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藤井六段をつくったのはAIではない

藤井六段の強さ

ここ数ヶ月、棋士藤井聡太さんのおかげで将棋界が活況を呈している。羽生竜王の衛生七冠獲得と国民栄誉賞受賞もビッグニュースなのだが、朝日杯将棋トーナメントの準決勝での対戦の舞台設定みたいになってしまった。

 最年少中学生棋士であり、最多連勝、一般棋士戦での最年少優勝と、藤井六段の実績は、過去のどの棋士をも超越している。

集中力、体力、一瞬の判断力が必要な棋士は20代がピークな場合が多いが、経験と経験に費やす時間も重要なので、中学生が一流棋士と対等に戦うのは極めて難しい。

ところが、藤井六段は一流棋士を倒し、現在14連勝中。

 この「規格外」の藤井六段の快進撃をAI将棋のおかげと考えている人がいる。自分も将棋にそれほど詳しいわけではないが、その言説は間違いだと思う。

巷で言われていることを検証してみよう。 

AI将棋で研究しているから、藤井六段は強い

藤井六段も、二年ぐらい前から(中1?)PCを使って研究・対戦を行っていると言っているので間違いではないが、AI将棋での研究は、今ではほぼ全棋士が行っている。藤井六段の専売特許ではない。

学業との両立で少ない時間で効果的に研究できたり、地方にいながら他の棋士と対戦できるメリットはあるが、小学生の奨励会の棋士でも行っていることだ。 

いつか藤井六段はAI将棋に勝てる?

これは本人が明確に否定している。すでにAI将棋は人間が叶う相手ではない。ウサイン・ボルトがバイクと速度を競っても意味ないのと同じだ。 

AI将棋の棋譜を暗記しているから藤井六段は強い?

一昨年の将棋ソフト不正疑惑以降、AI将棋の手筋を覚えれば強くなれると言われたり、従来では思いつかないような奇手が出るとAI将棋の影響だと言う人がいる。

たしかにAI将棋を使って研究しているのだから、AI将棋と同様の手筋を実戦で披露することはあるだろうが、将棋はそんなに単純な競技ではない。

チェスや囲碁と異なり、獲得した駒をもう一度使える将棋は終盤になっても選択肢が減らず、無限に近い手筋がある。棋譜のパターンは全宇宙の電子の数を超える。チェスと囲碁は構造的に終盤では選択肢が限られてくる。

当たり前だがAI将棋の手筋をすべて暗記するなんて不可能だ。

どうして藤井六段の棋力だけが突出しているのか?

以上、見てきたように藤井六段の強さはAI将棋が主因ではない。ほぼすべての棋士がAI将棋で研究している。AI将棋を使って効率的に研究を進められるので、従来よりも早く中学生棋士と一般棋士の差が縮まることはあっても、それは他の若手棋士にも言えることだ。

藤井六段の強さは知力に加えて、並外れた集中力と負けず嫌いによると思われる。すべての棋士が負けず嫌いではあるが、幼少時に敗北し泣き止まなかった姿を見ると相当なもののように思える。

羽生竜王が登場してから30年。30年に一度、「天才」棋士が現れる確率は、非常に興味深い。

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