HomePodの販売不振
Appleのスマートスピーカー「HomePod」が販売不振だそうだ。
昨年の販売延期から、ようやく2月に販売されたHomePodだが、先行したAmazon Echo、Google Homeに売上では追いつけてはいないようだ。すでに生産数削減の噂も出ている。
高すぎるスピーカー
ネックは価格とスマートスピーカーとしての性能だろう。HomPodは日本円で約37,000円。ライバルよりも2万円以上高い。
スピーカーとしての評価は決して低くはないが、優れたスピーカーなら他にも選択肢はある。わざわざApple Musicしか使えないスピーカーを買う動機を持つ人は少ない。
AppleはHomePodをスマートスピーカーとして販売しておらず、Siriはあくまでもスピーカーをより便利に使うための付加機能としている。だから、スピーカーとしての性能が高ければ売れると判断したのだろうが、如何せん高すぎたようだ。
ライバルに先行されたままの音声認識
音声認識とAIアシスタントなどのスマートスピーカーとしての性能が充実していれば、まだ選択肢に上るだろうが、多くの人がAlexaやGoogleアシスタントの方がSiriより優れていると結論づけている。
音声認識では先行していたSiriが現在のような状況に至った一つの要因は、Appleの厳格な個人情報管理にある。
不気味と言われるが、AmazonもGoogleもスマートスピーカーで収集した音声をクラウドに送信して分析している。ウェイクワードを認識して起動するスマートスピーカーは、ウェイクワードがいつ発せられるか常にユーザーの音声を聞いている。一方で、AmazonとGoogleは膨大な音声情報と個人情報を元に分析を進め、正確な音声認識と精緻な音声アシスタントの開発に繋げている。
AppleのSiriもクラウドに音声情報を送っているが、匿名情報であり個人情報は厳格に守られている。このあたりは、どちらが良いか悪いかではなく、プロダクトを売るAppleと個人情報が有効的に活用し良質なサービスを提供するAmazon・Googleとのビジネスモデルの違いによるところが大きい。
楽園の住民は幸せか?
HomePodは非常にAppleらしい製品である。ユーザーはストレスなくセットアップでき、気軽に良質な音楽を楽しみ事ができる。ただしAppleのエコシステム内という条件がつく。楽園内であれば幸せに暮らせるが、その楽園の大きさには限界があり、楽園に逗まりたい住民も、それほど多くないかもしれない。