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「漫画村」を焼き払うのは誰の仕事か?

無料で海賊版の漫画が読める「漫画村」問題に対する議論が喧しい。

www.huffingtonpost.jp

法律なき規制

政府が漫画村への接続を遮断するようISP(インターネットサービスプロバイダー)に推奨したという報道に対して、「通信の自由」を標榜する業界団体が反発する事態となっている。

問題となった漫画村は一時接続できなかったが、新たに「漫画タウン」としてリニューアルしたそうだ。政府が名指しで非難しても、次々に名前を変えてしまえば、接続遮断の対象になりづらい。そんな「要請」を乱発し、ISPがあちこちのサイトを遮断してしまえば、「通信の自由」も保てなくなる。

news.nicovideo.jp

 「通信の自由」とは、通信を用いて、誰かに監視されることなく誰もが他人と交流でき、情報を公開・閲覧できることだ。法に触れない表現なのに、政府が強制的に情報公開を制限できれば、自由な表現が権力によって制約されることになる。

明確な不法行為なら、話は別だ。深い議論の結果制定された法に違反したのであれば、然るべき手続きを経て行われるサイトの遮断(サイトブロッキング)は合法になる。

現時点の問題は「漫画村」が不法行為と明確に言える法律がないことだ(著作権などの観点から脱法行為とは言える)。

今回は「緊急措置」として、致し方ない部分もあると思うが、法律の制定を早めに行うべきだ。

以前の違法P2Pとは異なるビジネスモデル

「漫画村」問題に対して、音楽の有料配信を例に上げて解決方法を説く人がいる。

以前P2Pで楽曲や映画を無料で違法に入手するのが流行り問題になったときに、iTunesなど安価で便利な購入できるサービスができたから、P2Pでの違法行為は減った、漫画などのコンテンツも同様にすればよいというが、半分あっていて半分間違っている。

法律違反のリスクと手間をかけてまでP2Pで入手するよりも、iTunesなど安くて便利な有料配信サービスに流れた人はいた。楽曲を有料で入手しなくても気軽に聴きたいユーザーはYouTubeで聴くようになった人も多い。YouTubeは公式なら著作権者が提供しているし、鑑賞した人が多ければ広告経由で著作権者に収入も入る。

その証拠に、WinnyなどP2Pが流行した2006年と比較して、有料音楽配信の売上は横ばいだ。

↑ 音楽ソフト・有料音楽配信の売上(再録)

引用:ガベージニュース

P2Pが衰退したのは、コンテンツを配信するメリットが少ないからだ。WinnyなどのP2Pで他人にコンテンツを提供する行為は、自己満足しかない(一部のソフトは配布することで優先ダウンロードができるなどのメリットもあるが)。直接的な金銭メリットがないのに法律違反のリスクは高まった。それでは規制が厳しくなれば、誰もやらなくなるだろう。

「漫画村」はユーザーを集めることで広告料金によって収入を得ている。これがP2Pの時代とは大きく異なる。「漫画村」は儲かるから行っているのだ。

これを止めるには「漫画村」に出稿している広告業者を糾弾し、資金源を断つのも確かにひとつの方策だ。

ただ、これも同様に誰かが違法サイトと判断して、広告業者にクレームを入れる必要がある。誰がどのような基準で違法サイトを判断するのだろう? それには政府が規制をかけるのと同様の危険が伴う。ご存知のようにネットで糾弾がはじまれば、魔女狩りのように脱法サイトではないグレーなサイトも攻撃を受けかねない。

広告業者も脱法サイトだと承知で出稿しているので(つまりアクセス数が多く儲かる)、おいそれとは広告を差し止めないだろう。

 では、どうすればよいのか? やはり慎重な議論を行い、法律を制定するのが最善になる。現実にEU諸国など多くの国で同様の措置をとっている。

ネットで匿名の人間たちが攻撃するのは、政府の規制以上に問題が生じると思う。

はじめての著作権法 (日経文庫)

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