宝島社より 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」 が発売になりました。私にとっては初の商業出版になります。
自分の小説が本屋に並ぶという中学生からの夢がようやく実現します! 興味がある方は書店で予約してみてくださいませ。

MENU

Appleショックの処方箋

Appleショック

Appleの業績予想の下方修正により、Appleの株価は10%下落し、昨日の米国株式市場も660ドル安で取引を終えた。それに伴い、本日の日経平均も下落中。

決算前に下方修正するのは市場に過度なインパクトを与えないためだけが、Appleほどの規模だと市場への衝撃は避けられなかった。 

昨日の記事で書いたようにAppleの業績悪化は中国市場の問題だけではなく、Appleがイノベーション溢れた製品を作り出せなくなったことにある。

f:id:tkan1111:20190104122020p:plain

今後の株価の動向

Appleに関して言うと、画期的な製品がでてくるか大胆な戦略を繰り出さないと株価の回復は難しいだろう。現状のAppleの株価はかなり割高で、Appleショックが癒えても米中貿易摩擦もあり、世界経済の見通しは不透明だ。今までどおりの施策ではAppleの株価が急反発するとは考えづらい地合いだ。

値下げの必要性

株価回復に必要な施策のひとつが、価格の改訂だ。高いブランド力を背景にAppleは他社よりも高い値付けで販売台数の停滞を補ってきたが、ここにきて肝心の製品力が低下し、高値では売れなくなってきている。

Appleは安売りを行なわず利益率を重視する会社だが、高い利益率を維持しても、売上が減れば総利益も減少してしまう。今やAppleは少数の従順な客だけを相手に商売する規模の会社ではなく、多くの顧客を獲得して初めて経営を維持できるレベルの会社になってしまった。

販売額を上げるには、ある程度の値下げが必要だと思う。特に、買い替え需要を起こすためにもiPhoneの3モデルの値下げは必須だろう。

統一サービスの登場

停滞するiPhoneに代わりにAppleが期待しているのはサービス事業だろう。Apple Musicは米国で多くのシェアを獲得している。サブスクリプションモデルは日銭が入るので、一度シェアを握ればハードよりも継続的な売上を期待できる。サービスはハードと比較して利益率も高い。

今のAppleのサービスの課題は、統一されていないことだ。Apple Music、iCloudストレージ、iTunes Movieなどばらばらのサービスであり、動画配信はAmazon Prime Videoのようなサブスクリプションモデルがない。

様々なサービスを統一して「Apple Prime」を創設すれば、強いブランド力とiPhoneの高いシェアで多くのユーザーを獲得できるだろう。

製品以外にもできることはある

魅力的な製品が出せるに越したことはないが、それ以外にも製品の値下げ、統一サービスの提供とAppleができることはある。

WWDC前の3月には何か新しいアクションを起こすと思われる。iPhone、iPadなど主要な製品のモデルチェンジは昨年終えている。3月に登場するのは、噂のAirPowerの発表なのか、ここで挙げたような値下げや新サービスなのか注目だ。

Appleが業績見通しを下方修正せざるを得なかった本当の理由

業績見通しを下方修正

AppleのクックCEOは10-12月期の売上を当初予測より5%から10%減少すると発表した。

アップルが売上高予想を下方修正、中国で急減速 - WSJ

Appleが決算事前に下方修正するのは珍しい。時価総額がトップレベルのAppleの決算は市場全体に大きな影響を及ぼすので、売上減少による株価下落のインパクトを抑えたかったのだろう。

ただ市場は敏感に反応しており、取引時間後にAppleの株価は急落している。

f:id:tkan1111:20190103103548p:plain

中華圏での売上が落ちたのが大きく、アメリカとの貿易摩擦の影響があったとクックは説明している。

以前から指摘されていたリスクが表面化

一番大きな問題は中国経済だと言っているが、他製品の不調にもクックは言及している。新型iPhoneへの買い替え需要が弱かったこと、Apple Watch series 4、iPad Pro、MacBook Airと大量の新製品の供給が十分ではなかったことも理由に上げている。

今回の下方修正は、Appleが抱える課題と戦略ミスがでた結果だ。Appleの中国への傾斜はクックCEOの代になってから強まった。直近ではAppleの売上の約2割を中国向けが占めている。不透明な中国政治と経済により掛かる懸念は、以前から言われていたことで、今回はトランプ大統領の外交政策により、その懸念が一気に表面化した形だ。

iPhoneの買い替え需要が弱いのと、買い換えるほどに製品に魅力がないのは新型iPhone発表直後から言われていた。 

Appleもそのことを見越していたから、iPhone以外にもiPad Pro、MacBook Airなど少々過剰とも言える新製品投入を行ったが、今度はそれだけの新製品の供給を支えきれなかったようだ。

ただ、日本の販売状況を見る限り、大きな供給不足は起こっていないので、ちょっと言い訳にも聞こえる。実際には、新製品が新たな需要を喚起するほどの魅力はなかったのだろう。

本当の問題は別にある

Appleの本当の課題は、中国の経済減速でも、供給不足でもなく、新たなイノベーションを起こせないことだ。

現行のAppleのビジネスは、6つのカテゴリに分かれている。f:id:tkan1111:20190103102004p:plain

そのうちの4つであるMac、iPad、iPhone、Watchのモデルチェンジを行ったが、どれも予想の範囲内だった。ソツがないアップデートだったが、需要を大きく刺激するまでには至らなかった。MacBook Air、iPad Proも悪くないモデルチェンジだったが、新たなイノベーションは感じられなかった。

電気自動車などの新しいカテゴリーに踏み込まなくても、既存のカテゴリーでも斬新な製品はまだ開発できる。ひとつの鍵はAIだろう。我々がPCやiPhoneで行っていることは、まだ旧態依然なことばかりだ。Excelに数字を埋め、予定表に手動でスケジュールを入力する。AIが進化すれば、人間が行うことは自動になり、人は少しの判断と思考に注力できる。

メール内容から予定の設定をSiriが提案し、写真撮影にAIが用いられるなどの片鱗は見えてきている。今年のモデルチェンジに向けて、どこまで斬新な変化を見せられるかが今年のAppleの課題となるだろう。

Amazon Echo(Alexa)を使って音声でApple TVを操作する方法

SiriでApple TVを起動できない?

Apple TVを音声で起動しようと思い立って、色々試してみた。iPhoneのアプリやリモコンでApple TVの起動できるけど、音声で操作ができれば家事をしながらiPhoneやリモコンを触らずにApple TVで動画を鑑賞できる。

試したのは、まずSir。同じApple製品であるiPhoneのSiriならApple TVを操作できて当然だと思って、色々やってみたけど、どうしてもできない。

「Apple TVを起動」とSiriに命令すると、iPhoneのアプリ「Remote」は立ち上がるが、Apple TVは起動しない。アプリの画面をタップすれば起動するが、それでは音声で操作する目的は達成できない。

「Apple TVをつけて」とSiriに命令すると、「homeで設定しろ」と言われる。どうやら「XXをつけて」とSiriに命令するとアプリ「ホーム」に登録した家電をコントロールする仕掛けのようだ。

f:id:tkan1111:20181229123439p:plain

「ホーム」に設定すればSiriでApple TVをコントロールできそうだけど、これがどうしてもできない。

Apple TVの「設定」→「AirPlay」で「部屋」を選ぶとiPhoneのアプリ「ホーム」にApple TVを追加できるが、Siriではやっぱり操作できない(使用方法がわかる人がいたら、教えてください)。

<2019/11/02追記>

iOS 13.2で試すと、「Hey Siri、Apple TVをつけて」で起動しますね。

Amazon EchoでApple TVを操作する方法

仕方がないので、部屋にあるAmazon Echo Dotで操作する方法を試みる。Apple TVはAlexaに対応していないので、家電を赤外線コントロールするeRemoteも使う。 

 eRemoteは家電のリモコンが発する赤外線を登録して、スマートフォンやスマートスピーカーで家電を操作できるようにする機器だ。Apple TVのリモコンが送出する赤外線(IR)をeRemoteに登録すれば、Amazon Echoに命令して起動できる。

ところが、そう簡単にはいかなかった。筆者がもっている第4世代Apple TVのリモコンである「Siri Remote」はBluetooth経由でApple TVと接続する。Siri RemoteにもIRを送出する機能はあるが、Bluetoothで接続しているときは、IRを送出してくれない。

f:id:tkan1111:20181229223620p:plain

Apple TVとSiri RemoteのBluetooth通信を遮断すればリモコンからIRを送出してくれそうだが、設定のどこを探しても機内モードみたいにBluetoothを停止する方法が見つからない。

色々試した結果、別のリモコンをApple TVに追加して、そのリモコンのIRをeRemoteに登録すれば良いことがわかった。

Apple TVはホームシアター用など別のリモコンをApple TV用のリモコンとして追加できる。その機能を利用するのだ。

ただ、Siri Remoteとは別のリモコンを用意する必要がある。しかも普段使っているテレビのリモコンだと、テレビを操作するたびにApple TVが起動することになるので、未使用のリモコンが必要。

幸い使っていないシアタースタンド用のリモコンがあったので、それを用いることができた。

設定手順を簡単にまとめると、こちら。

  1. 使っていないリモコンを用意
  2. 用意したリモコンをApple TVに登録
  3. 登録したリモコンをeRemoteに登録
  4. Amazon Echoの定形コマンドに登録

詳細な設定方法は、こちら。 

別のリモコンをApple TVに登録する方法

  1. Apple TVを起動→「設定」→「リモコンとデバイスを追加」→「リモコンを追加」を選択
  2. 「開始」を選ぶとリモコンの各機能の登録がはじまるので、用意したリモコンのボタンを長押ししていく。どのボタンにどの機能を割り当てたか覚えておく
  3. 最後にリモコンの名前をつける
  4. 登録が終わったらリモコンでApple TVが起動するか確認する

リモコンをeRemoteに登録する方法

  1. iPhoneのアプリ「eHome」を起動
  2. 登録するeRemote→ 画面下の「追加」をタップ
    f:id:tkan1111:20181229230630p:plain
    f:id:tkan1111:20181229230725p:plain
  3.  「テレビ」→画面下の「該当がない場合は手動学習へ」を選択
    f:id:tkan1111:20181229230810p:plain
    f:id:tkan1111:20181229230917p:plain
  4. 「名前」を「Apple TV」と入力し、使用する「部屋」を選び「決定」を選ぶ
    f:id:tkan1111:20181229231125p:plain
  5.  Apple TVに登録したリモコンをeRemoteに向けて学習したいボタンを押す。いくつかのボタンを登録しないといけないが、起動だけを行うなら、「電源」以外の登録は適当でもOK
    f:id:tkan1111:20181229231234p:plain

  6.  登録が終わったら、eHomeのアプリからApple TVの電源が入るか確認

Amazon Echoの設定方法

  1. iPhoneのアプリ「Amazon Alexa」を起動
  2. 左のメニューから「デバイスを追加」→「eHome」のアイコン→「デバイスを検出」をタップ
    f:id:tkan1111:20181229232844p:plain
    f:id:tkan1111:20181229232903p:plain
    f:id:tkan1111:20181229232918p:plain
  3. 検出された「Apple TV」をタップし「デバイスをセットアップ」→「グループを選択」し使用する部屋を選ぶ

    f:id:tkan1111:20181229233113p:plain
    f:id:tkan1111:20181229233202p:plain
  4. 左メニューから「定形アクション」→右上のプラスマークをタップ
    f:id:tkan1111:20181229233702p:plain
    f:id:tkan1111:20181229233543p:plain
  5. 「実行条件を設定」→「開始フレーズを設定」をタップして、「Apple TV」と入力して「保存」

    f:id:tkan1111:20181229233922p:plain
    f:id:tkan1111:20181229233949p:plain
    f:id:tkan1111:20181229234012p:plain
  6. 「アクションを追加」→「スマートホーム」→「デバイスをコントロール」をタップ
    f:id:tkan1111:20181229234330p:plain
    f:id:tkan1111:20181229234400p:plain
    f:id:tkan1111:20181229234424p:plain


  7. 「Apple TV」→右上の「次へ」→右上の「保存」をタップ
    f:id:tkan1111:20181229234540p:plain
    f:id:tkan1111:20181229234617p:plain
    f:id:tkan1111:20181229234752p:plain


  8. 最後に「Alexa、Apple TV」と音声で命令し、Apple TVが起動することを確かめる

これで、設定は完了。Amazon Ecoに向かって「Alexa、Apple TV」と叫ぶと、Apple TVが起動する。

新年あけましておめでとうございます。2018年で人気があった記事ベスト5

謹賀新年

新年あけましておめでとうございます。旧年中は当ブログをお読みいただきありがとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

昨年3月に思い立ってからブログの更新を毎日実施できました。280日連続更新し、Appleを中心としたIT業界、デバイスの便利な使い方などを記事して数も460を超えました。訪問してくれる人も徐々に増えて、当初では考えられないぐらい多くの人に毎日見てもらえるようになりました。

複雑で変化が激しいIT業界を理解する一助になれたのであれば幸いです。

2018年に人気があった記事ベスト5をお知らせします。

f:id:tkan1111:20181229094147p:plain

第1位:ビジネスで使う人が買う新Apple Watch 4の組み合わせ

Apple Watchのユーザー数も随分増えてきました。今では腕時計の中で世界一の売上を誇っています。

2018年秋に登場した「Apple Watch series 4」はバンドやケースの素材など多くの選択肢があります。運動ではなく、仕事でApple Watchを使う人のための組み合わせを考えてみました。

第2位:Apple WatchでマラソンするならNIKE+ Run Club

第2位はランニング向けアプリ「NIKE+ Run Club」(以下、NRC)の紹介記事。NikeモデルにプリインストールされているNRCは、ランニングを継続するための多くの機能を有しています。Apple Watch純正アプリ「ワークアウト」もwatchOS 5で随分進化しましたが、継続するモチベーションを高める仕掛けなど、NRCの方が優れている点も多いです。Apple Watch単体で音声ガイダンスができるアプリはNRCだけです。

第3位:AirPodsで音が出ない時の対処法

AirPodsのトラブルシューティングをまとめた記事です。

 発売から2年が経過しても人気なAirPods。イヤフォンには物理的なスイッチが一切ないシンプルなインターフェイス、Apple製品との接続性の高さは素晴らしいですが、一度不具合が起きると対処方法が難しい製品でもあります。

第4位:iPhone XSとGoogleの新スマホ「Pixel 3」を比較する

10月に登場したGoogleのスマートフォン「Pixel 3」とiPhone XSの比較記事。新機能に乏しかったiPhone XSが期待はずれだったのか、Pixel 3に注目が集まりました。iPhoneよりも安い価格、iPhoneを研究したと思われるデザインと機能はiPhone対抗モデルとして十分の存在感があります。

示し合わせたわけではないだろうけど、AIを用いた写真撮影機能をAppleとGoogleが同時期に搭載してきたのは面白いのと、将来のスマホの方向性を見せてくれました。

第5位:新型Apple Watch 4で使えるコンプリケーション一覧

Apple Watch series 4でしか使えないコンプリケーションの紹介記事。今まで3モデルのコンプリケーションは共通でしたが、大型化したディスプレイ専用の文字盤には独自のコンプリケーションが用意されました。

コンプリケーションの形状も11種類に増えて、それぞれの形状に対応しなければならないアプリ開発者は大変です。

2018年のIT業界を振り返る。その6:電子マネー

2018年の電子マネー

来年度予定されている消費税値上げの緩和策としてポイント還元が検討されたことで注目を集めたキャッシュレス決済。中国や韓国に比較して日本のキャッシュレス決済は大きく遅れている現状を打破するのと、消費税値上げのインパクトを抑えるのと一挙両得になると政府が進めている政策だ。

比較的治安が良い日本では現金での決済がまだ一般的で、クレジットカードの利用率が他国と比較して非常に低い。借金を忌避する国民性も影響し、現金を好む国民が多い。

 Suicaのインパクト

状況が変わったのはSuicaとApple Payの普及だ。公共交通機関が発達している日本ではSuicaをはじめとするIC乗車カードが大きく普及した。

ただ、日本のスマートフォン市場で大きなシェアを握るiPhoneが電子マネーに対応していないので、Suicaもカード型が主流だった。

その状況が大きく変わったのは、Apple Payの開始だ。2016年に日本でもはじまったApple Payにより、モバイルSuicaが一気に普及した。Apple Payに対応したiPhoneが登場して3年が経ち、都市生活者を中心にApple Payの利用者は増加した。

公共交通機関発行の電子マネーが標準となり、日本は独自の電子マネー環境となっている。

f:id:tkan1111:20181226174436p:plain

QRコード決済の先にあるもの

PayPayの大胆なキャンペーンで一般にも知れ渡ったQRコード決済。

端末を購入しなければならない店舗側の負担が電子マネー普及を阻害している。QRコード決済では、店舗側の負担は大幅に軽減される。PayPayなどは店舗側が負担する導入料金などをゼロ円に設定している。

f:id:tkan1111:20181226174525p:plain

電子マネー決済を導入していない個人経営の店舗にもQRコード・バーコード決済がある程度普及するかもしれない。

ただ、利用者が増えなければ、いくら無料でも導入する店舗は増えていかない。ネックになるのはSuicaだ。改札でも使えるほどスピーディーな反応速度を誇るSuica決済はコンビニでは最も便利な決済方法だ。QRコード決済のようにアプリをいちいち起動させる必要がない。

公共交通機関を利用するためにSuicaへチャージする人は多い。QRコード決済が普及するにはSuicaを上回る利便性を高める必要がある。

たとえば、iOSがQRコード決済をOSレベルでサポートすれば、状況は大きく変わるかもしれない。

今年はQRコード決済元年と呼べる年だった。来年が本格普及の年となるかは、OSの対応が鍵となるかもしれない。

2018年のIT業界を振り返る。その5:スマートスピーカーからスマートPCへ

2018年のスマートスピーカー

スマートスピーカーの先鞭となったAmazon Echoが発売になったのは2015年だが、日本では今年ようやく一般化した気がする。筆者宅でもAmazon Echo Dot(2代目)とGoogle home miniが稼働している。

f:id:tkan1111:20181226153643p:plain

スピーカーからディスプレイへ

スマートスピーカーが日本でも定着し始めた今年、本場アメリカではスマートスピーカーにディスプレイがついたモデルが人気になった。日本でもAmazon Echo Spot、Amazon Echo Showが発売になった。

f:id:tkan1111:20181226153747p:plain

スマートスピーカーは音声で命令できて手軽だが、情報を耳でしか取得できないので、瞬時の情報量としては画面に劣る。じっくり聞かないと情報をインプットできない。その弱点をカバーしたのがディスプレイ付きスマートスピーカーだ。

日本未発売だがGoogleも同じディスプレイ付き「Google Home Hub」をアメリカで出荷している。

ディスプレイがつくとスマートスピーカーというより、音声コマンドで操作するコンピューターだ。つまりスマートコンピュータ。スマートフォンではAppleとGoogleに負けてプラットフォームを握れなかったAmazonは、音声コマンドで動作するスマートコンピュータで覇権を握ろうとしている。

IoTが一般しコンピュータ化する家電をコントロールするハブとしてスマートコンピュータの役割はさらに大きくなる。Amazon Prime Videoなどの豊富なサービスと連携できるAmazonのスマートコンピュータがプラットフォームとして定着する可能性は大いにある。

2018年のIT業界を振り返る。その4:スマートフォンの停滞

2018年のスマホ

今年のスマートフォンを一言で表すなら、「停滞」となると思う。内蔵カメラはデュアル化し、OLEDも一般化するなどスペック面での進化は著しい。

ところが、スマホ市場は拡大せず、買い替え需要も伸びないために、販売台数は頭打ちの傾向が強まった。 

スマートフォンが以前のパソコンのようにスペックが向上しても、「やれること」が変わらず、ユーザーの興味が薄らいできている。

f:id:tkan1111:20181229075004p:plain

Appleの躓き

スマートフォンに大きな影響力を持つAppleは今年iPhone XS / XS Max / XRを発表した。昨年のiPhone Xに続く高い値付けと、代わり映えしないデザインと機能に買い替え需要は減退し、株価の低落を招いた。

来期からAppleはiPhoneの販売台数を非公開にすると発表しているので、台数がどれだけ下落したかわかりづらくなるが、サプライヤーからの情報ではiPhoneの台数大幅減少は事実のようだ。Apple自身が肯定するようにiPhone XRの実質値下げを実施した。

来年のAppleはiPhone事業をどのように立て直すかが注目だ。全体の売上の6割近くをiPhoneに依存するAppleにとって、iPhoneの売上は死活問題だ。

AIを用いた新しい使い方の提案ができるかどうかが鍵となる。

中国メーカーの台頭と懸念

今年スマートフォン市場で最も伸びたのは、Huawei、Xiaomiなどの中国・台湾メーカーだ。安価でスペック重視のHuawei、Xiaomiが大きく成長して割りを食ったのが同じアジアメーカーであるSamsungだ。Samsungは今年大きくシェアを落とした。

ここに来て、先進国の間でHuaweiの情報漏えいが大きな懸念となっている。 

真偽の程はさておき 、世界の経済大国となった中国が一党独裁だというリスクを改めて感じた年となった。一方で、中国から話題は逸れるが、民主的な選挙で当選したトランプ大統領がアメリカだけではなく世界経済のリスクとなっているのは、また皮肉なものである。

f:id:tkan1111:20181229075705p:plain

2019年のスマートフォン

来年のスマートフォンは、PCと同様に「文房具」となり、安く大量生産できるメーカーが生き残るのか、まだ夢を見ることができる魅惑的なデバイスであり続けるか真価の問われる年となるだろう。

その鍵のひとつがAIだ。AIにより写真撮影技術が進歩したように、スマホを使って面倒だと思うことがAIによって楽になれば、スマホの魅力を向上するだろう。ただAIの進化がハードの買い替え需要にどこまで影響するかは不透明だ。

もうひとつの鍵は5Gだが、来年はまだ一般化しないだろう。2020年に向けて5Gの姿が見えてくる年に来年はなるに違いない。

4K/8K放送開始が盛り上がらない理由

4K/8K放送開始

今年のAV業界の大きな出来事のひとつは、4K/8K放送だ。12月1日からBS・CS放送で4Kと8Kの放送がスタートした。単純に言えば、4Kは2Kの4倍の解像度で、8Kは2Kの16倍の解像度だ。地上波アナログ放送のSD画質とデジタル放送のHD画質の画素素数の差は約3倍だったことを考えると、画質的には大きな進歩だが、実際に自宅で4K・8Kの視聴環境を整えた人はごくわずかだろう。

地上波アナログ停波のときは、テレビの買い替えで大騒ぎになったのに、最初とは言え今回の放送開始はやけに静かだ。

どうして盛り上がらないか考えてみる。

f:id:tkan1111:20181228094514p:plain

チューナーがない

4K放送を視聴するには4K対応テレビと対応チューナーが必要だ(CS放送にはアンテナの調整も必要)。数年前から4Kテレビはハイエンドの受像機として発売されているので持っている人はいるだろうが、対応チューナーを別途用意しないといけない。

最初はチューナー内蔵のHDテレビが普及したデジタル放送開始のときとは大きく異なる。

ãã¥ã¼ãã¼ã®ã¤ã©ã¹ã

既存の放送は停波しない

地上波デジタル放送開始のときと異なり、既存の放送が停波するわけではない。4Kは、あくまでも追加のコンテンツでしかない。地上波の4Kへの移行も現在のところ未定だ。

ä½ãæ ã£ã¦ããªããã¬ãã®ã¤ã©ã¹ãï¼é»ï¼

魅力的なコンテンツがない

現在の4K放送はBS・CSがメインだ。NHKと民放の両方が放送を開始している。と言っても、民放のBS 4Kはアップコンバートした番組がほとんどで4Kで撮影した番組は少ない。現場の撮影機器と伝送する機器すべてを4Kに対応するには膨大の投資が必要だ。4Kを率先してきたNHK以外の民放は、そこまでの投資に踏み込めていないのが現状だ。

ãã¬ããã©ãã®ã¤ã©ã¹ã

放送よりも通信

地上波デジタル放送開始時と大きく異なるのは、コンテンツの配信が放送だけではないことだ。今でも放送の影響力は大きいが、現代ではAbema TVや多くの動画配信サービスなどの通信によるコンテンツ配信が増えてきている。NetflixやdTVなどの動画配信サービスが4Kのコンテンツを配信している。

UHD BDもあるので、4K放送以外でも4Kコンテンツを視聴できれば、視聴環境を整えるプライオリティは下がる。

ã¤ã³ã¿ã¼ãããã使ããªããæ­åãã人ã®ã¤ã©ã¹ã1

HDで満足

地上波デジタル放送のときは、ブラウン管から液晶ディスプレイへの買い替えとわかりやすい変化があった。奥行きがあって邪魔だったブラウン管から薄い液晶ディスプレイへの買い替えは見た目のインパクトが大きかった。デジタル放送で普及したデータ放送もわかりやすい追加要素だった。

今回の4Kは画素数と音質は異なるし、視聴すればHDとの違いは明確だが、一般の人がそこまでの画質を求めるかは疑問だ。

液æ¶ãã¬ãã»ã¢ãã¿ã®ã¤ã©ã¹ã

4K放送と通信の普及のどちらが早い?

4K放送は静かな船出となった。まだロードマップに乗っていないが、いずれは地上波放送も4Kになるときが来るだろう。その時が4K放送普及の分岐点になるはずだ。それまでに通信でのコンテンツ配信が主流になっていれば、4K放送は盛り上がらないまま一般化しない可能性もある。

色々理由をあげたが、4K放送が今のところ盛り上がらないのは4K動画配信の影響が大きいと思う。一番先に新しい規格に飛びつくアーリーアダプター層もすでに4Kコンテンツを通信やUHD BDで入手してしまっているので、新たにチューナーを買うほどのインパクトがない(CS放送などの受信にはアンテナの向きを調整する必要もある)。

放送と通信。HDから4Kへの移行を境に放送と通信の割合がどう変わるか、それにより将来の視聴環境が決まっていくだろう。

Apple Watchの未来。次期モデルはAndroidにも対応する⁉

完成に近づいたApple Watch

今年Apple Watchは初めての大型モデルチェンジを行い「Apple Watch series 4」を発表した。大画面化したApple Watchは、スマートフォンのように一般の人でもようやく使えるデバイスになった。

それは、ウェアラブルデバイスとしてApple Watchの当面の課題がなくなったことを意味する。バッテリーが複数日保たない課題は残るが、毎日充電が必要なのはスマートフォンも同じだ。就寝時に腕時計を装着したい人は少数派だろう(24時間ライフログを取得したい人は入浴中にでも充電しよう)。

そうなると、来年以降のApple Watchはどうなるのだろう?

f:id:tkan1111:20181227111944p:plain

Apple Watchの未来

Apple Watchを利用する人は増えた。日本ではApple Payに対応したことでApple Watchは電車に乗るのに、買い物するのに便利なデバイスとなった。

次期Apple Watchはどうなるのだろうか。初代からApple Watchの進化は次のような方向性だった。

  • ラグジュアリーからアクティビティへ
  • iPhoneからの独立
  • ヘルスケア機能の充実

ラグジュアリーからアクティビティへ

初代Apple Watchは100万円超えのモデルがあったほどラグジュアリーの方を向いていた。利益率が高い高級腕時計市場を開拓しようとしたからだ。多く売れたのは最も安いApple Watch Sportsで、それ以降Apple Watchはアスリート向けに軸足を移していった。高級モデルは絞られ、スポーツ向きのバンドが増え、アクティビティ機能が強化された。ランニングだけではなく、防水機能を付与してスイミングにも対応、登山用など様々なアクティビティを計測できるようになった。

スポーツウォッチとして取得できていないのは、有酸素運動のバロメータぐらいだが、新たなセンサーは不要で、OSのアップデートで有酸素運動の有無などの計測は可能だ。あと不足しているのは気温湿度計か。登山などアウトドアでは便利なセンサーで、現状はネット経由でしか数値を取得できない。

f:id:tkan1111:20181227113902p:plain

iPhoneからの独立

もうひとつの大きな流れは「iPhoneからの独立」だ。初代ではiPhoneから取得するしなかった位置情報を2代目からはGPS機能を付与してApple Watch単体でも取得可能になった。3代目ではセルラーモデルを用意して、Apple Watchがモバイル通信できるようにななり、ランニング時にiPhoneを持ち歩かなくてすむようになった。

4代目と同時にリリースされたwatchOS 5では、Apple Watch単体でのWi-Fi設定も付与された。

世代を重ねるに連れてApple Watchだけで「できること」が増えてきた。Apple Watchの歴史は、iPhoneから独立したデバイスを目指す歴史だった。

だが、まだApple WatchはiPhoneと離れられない。watch OSのアップデートはiPhoneからしか行えないし、アプリのインストールもiPhone経由だ。そもそもApple WatchのセットアップにはiPhoneが必要だ。

iPhoneが必須ということは、当然AndroidユーザーはApple Watchを利用することが出来ない。Apple Watchがさらにユーザーを増やすためにはiPhoneからの完全独立が必要だ。

次世代モデルでは、watchOSがiOSから独立し、Apple Watch単体での稼働を目指すと予想する。

f:id:tkan1111:20181227113952p:plain

ヘルスケア機能の充実

当初はワークアウトと心拍数の記録ぐらいだったApple Watchのヘルスケア機能は世代を重ねて、より高性能な心拍数センサー、転倒検出など拡張されていった。

今後は、万が一の際の自動連絡、健康状態の送信など、医療機関と連携を強める方向に進むのではないだろうか。各国で法律も規定も異なるのでグローバルの展開は難しいので、Appleの調整能力が問われる分野だ。

f:id:tkan1111:20181227114037p:plain

全ての人のためのウェアラブルデバイスへ

今までの決算では「その他」のカテゴリーで入っていたApple Watchは次の決算から「ウェアラブル」として独立する。本当にApple WatchがAppleの一本の柱となるためには、Apple WatchがiPhoneから独立する必要がある。

2018年IT業界を振り返る。その3:PCは停滞から安定へ

2018年PC業界

今年のPCの出荷台数は前年とほぼ横ばい。スマホとタブレットの流行で、家庭・ビジネス用のPCの出荷台数は長年減少し続けたが、ここ数年の台数は安定している。

タブレットがPCの代替にならず、特にビジネス用としての需要はあまり変わらない状態で落ち着いている。

トップ3は健在

安定してPCを供給しているのは、Lenovo、HP、Dellのトップ3企業だ。3社合計のシェアは5割を超え、市場の寡占化が進んでいる。シェアを握る3社はIntelなどから大量かつ安く部品を調達することで、他社よりもコストパフォーマンスが高い製品を販売している。

f:id:tkan1111:20181226111357p:plain
スマートフォンのように中国メーカーが台頭する様子はない(世界企業となったLenovoを除く)。ビジネス向けが多いPC事業はリセラーやチャネル販売が多く、他社が容易に組み込めない構造になっている。最近では、情報流出が懸念される中国メーカーが忌避される傾向もある。

2 in 1 PCは?

OS・ハードの垂直統合により新たな価値を創出するMicrosoft Surfaceは少しずつシェアを広げている。定期的に新しいWindowsを販売するモデルチェンジ商法が終わりを告げ、売り切りモデルだったOfficeがサブスクリプション版に移行を進めた中で、Surfaceは気軽で高品質なPCとして学生を中心に人気を集めている。

今年話題になったSurface Goは、iPad対抗としての地位を確保しようとしている。ただ、日本では旧来の商習慣であるOffice同梱を継続したため、高い値付けが逆に話題になった。

クラウドとAIビジネスにフォーカスする現代のMicrosoftがコンシュマー向けのSurfaceに対してどこまで本気かは不透明だが、ブランドイメージ浸透のためにも当面は事業を継続すると思われる。

f:id:tkan1111:20181226111000p:plain

Appleの動向は?

今年のPC業界の驚きのひとつは、MacBook Air、Mac miniのモデルチェンジだ。長らくモデルチェンジをしていない両モデルに新機種が登場したのは、AppleがMac事業に対して本気であることを窺わせる。

とは言え、Appleのシェアが大きく伸びるとは思えず、Intelなどから主要なパーツを購入して製造する現在のビジネスモデルでは、コストがかかり、利益がでない。

どこかで自社開発のARMベースのCPUへの移行が行われるのだろう。来年は、ARMベースのMacはまだ登場しないだろうが、その兆候は見られるかもしれない。

f:id:tkan1111:20181226111045p:plain

ゲーミングPCの存在

低成長のPC事業の中で、伸びているのがゲーミングPCのジャンルだ。eSportsが一般化しつつある中で、高性能高価格帯のゲーミングPCは、PCの中で数少ない成長分野だ。

もちろん、PC全体からしたら販売台数は少ないが、eSportsの流行が拡大すればゲーミングPCがさらに売れるようになり、各社の開発競争が激化し、より魅力的な製品が登場するだろう。

f:id:tkan1111:20181226111151p:plain

2019年のPC業界

来年のPC業界は、基本的に安定傾向が続くだろう。ビジネス用PCの代替ツールは現れず、「文房具」としてのPCは変わらず売れていくと思われる。

Microsoft、Apple、そしてゲーミングPCの動向は大きなPC業界の流れの中で、どこまで新しい波になるかが注目される年になるのではないか。

2018年のIT業界を振り返る。その2:AIとGAFA

2018年のIT業界

クリスマス・イヴが終わり、12月25日から30日までって、微妙な5日間ではないですか? クリスマスの浮かれた空気が厳かな年末に、洋風から和風にトランスフォームする間、なんとなく落ち着かない。

そんな時期に2018年のIT業界を思いつくまま振り返ってみよう。

AIというバズワード

新しいシステムを売るために、IT業界は様々なバズワードを開発してきた。最近ではBYODやビッグデータ、オムニチャネル、IoTなどだ。一般に定着するものもあれば、あまり語られなくなるワードもある。そもそも、今までの技術とどう違うのかよくわからない概念も多い。

2018年にIT業界で最も使われたワードはAIだろう。AI(人工知能)が人間の仕事を奪うと予測されたのは去年の話。今年は、AIをより身近に実感する年となった。

音声の質問に回答し、家電をコントロールしてくれるスマートスピーカーは、AIの実力をわかりやすく僕らに伝えてくれた。

iPhone XS、Googleのスマートフォン「Pixel 3」は写真撮影をAIが補助してくれて、より美しい写真を残せるようになった。

下はGoogleトレンドの「AI」の人気度だが、AIという語句は昔から存在するが、大きく盛り上がってきたのは昨年12月辺りから。

f:id:tkan1111:20181225083327p:plain

人間のように知的な思考を行うAIという概念は古くから存在していたが、強化されたマシンパワーにより機械学習と呼ばれる自己学習を行えるようになり急速に進化した。

今後AIを予測するには多くの文章が必要になるが、ひとつだけ簡単に記すと、来年以降AIというワードは単体ではあまり使われなくなるだろう。AIを使ったシステムやソフトが一般化し、AIはそれ単体で語られることが減り、様々な用途に特化したAIへ移行していくと思われる。また第2、第3のAIとして、例えばスマートAIのように新しい語句として使われるようになると予測する。

GAFAの脅威

GAFAと呼ばれるGoogle、Apple、Facebook、Amazonのグローバル企業が世界を席巻した。IT業界を越えて、一般の人がGAFAのデバイスとサービスを使い、GAFAが大きなシェアを握り、GAFAの株価は急上昇した。

今年起きたIT関連の事件といえば、Facebookの個人情報流出が挙げられる。Facebookが大量の個人情報を有し、その個人情報を使ってビジネスを行っていることが白日の下に晒された。

以前からわかっていたことだが、流出事件により、改めて問題が世間にクローズアップされた。GoogleとFacebookは基本的に無料で様々なサービスを提供する代わりに、個人情報を収集し、カスタマイズされた広告を個人ごとに表示することで利益を上げてきた。

圧倒的なシェアを握るGAFAのパワーを、各国政府が規制や税制で縛ろうするとしている。EUではGoogleに対して制裁金を課し、日本でもいわゆる「GAFA」税が検討されている。現在GAFAの株価は大幅に下落している。

こういった状況にFacebookのザッカーバーグCEOは「金持ちだけではなく多くの人にサービスを無料で提供するためには今の方法しかない」と反論する。インターネットは無料で様々なサービスを提供することができたのは、広告モデルのおかげだ。個人情報と紐付いた効果的な広告を見せられる代わりに、我々は多くのサービスを無料で享受できてきた。

GAFAへの規制が強まってくれば、無料サービスの提供が制限される可能性はある。それはインターネットという楽園の終わりなのか、もう少し秩序だった新しい世界のはじまりなのかはまだわからない。

来年は、利便性と個人情報の関係がさらに問われる年になるだろう。

2018年のAppleを振り返る。2019年の課題は?

Appleの2018年を振り返る。

いつの間にか今年も年末。株価暴落など穏やかではない世相だが、Appleとしても激動の2018年だったと思う。年末らしく、2018年のAppleを振り返り、来年の課題を考えたい。

f:id:tkan1111:20181224091831p:plain

大量の新製品

2018年、過去にないほど多くの製品をAppleは発表した。

  • 3月 9.7インチ新型iPad
  • 6月 WWDC。iOS 12、macOS Mojave発表
  • 7月 Macbook Proアップデート
  • 9月 iPhone XS / XS Max / XR, Apple Watch series 5発表
  • 10月 新型iPad Pro、MacBook Air、Mac mini発表

毎年新製品を発表してきたiPhone、Apple Watchだけではなく、iPadシリーズ、Macの新製品も登場した。長らくアップデートされずに放置されてきたMacBook AirとMac miniの新製品には驚いた。今まではアップデートされないまま、そのままフェードアウトするAppleの製品も多かった。

12インチMacBookや13インチMacBook Proとディスプレイサイズが近いMacBook Airは、モデルチェンジしないままなくなると考えられていたが、フルモデルチェンジを果たした。

さらに驚いたのは12インチMacBookも併売になったことだ。12・13インチのノートブックは、MacBook、MacBook Air、MacBook Proの3モデルが併売されている。少数の厳選したモデルを販売し、高い利益率を上げてきたAppleにとって大きな方針転換だ。

f:id:tkan1111:20181224115148p:plain

似通ったiPhoneの3モデル

iPhoneも例外ではない。フルディスプレイの3モデルを今年発表した。3モデルを同時に発表したのは昨年のiPhone X、iPhone 8 / 8 Plusと同じだが、今年のiPhoneはすべてフルディスプレイで、ディスプレイサイズ以外の性能は似通っている。iPhone XRはシングルカメラ・液晶ディスプレイという点はiPhone XSとは異なるが、ユーザーが体感できる機能に大きな差がない。たとえば、iPhone XSの売りであるボケ補正はiPhone XRでも実現可能だ(Google Photoを使うとiPhone Xでもできてしまうが)。

iPhone XRはミドルサイズのスマートフォン市場を狙った製品だ。今まではiPhone SEのようにディスプレイサイズもデザインも大きく異なる製品をこの市場に投入していたが、iPhone XRはハイエンドモデルのiPhone XSに近い。

スマートフォンの機能向上が頭打ちになり、Appleのブランドイメージを保ちながら、ハイエンドとミドルレンジの差別化が難しかったのが理由だが、今までのAppleなら旧モデルのiPhoneでこのエリアを賄ったと思う。

f:id:tkan1111:20181224115226p:plain

モデルチェンジされなかった製品

一方で、新型AirPodsやAirPowerは発売されず、スマートスピーカー市場で苦戦するHomePodは限られた国と地域でしか販売されていない。AirPowerは2018年内の発売を2017年に公表したにもかかわらず、ついに登場しなかった。

3つのデバイスを同時に充電できると発表されたAirPowerは開発困難で販売が延期になっているという。Siriで先行したはずの音声アシスタントはAmazonのAlexa、Googleに遅れをとるようになってしまった。

ハード、OS、ソフトを一括して開発販売することで高い製品品質とブランドイメージを維持してきたAppleだが、パーソナルコンピュータからスマートフォン、タブレット、スマートスピーカーと拡充したラインナップを維持するのは難しい。AirPowerの販売延期は、多くのラインナップを開発・アップデートする能力がAppleに不足している証明かもしれない。

f:id:tkan1111:20181224115259p:plain

新しい柱であるサービス

Apple MusicやiTunesなどのサービス事業はiPhoneに続く売上げ額を誇っている。Apple全体の約6割の売上げを担っているiPhoneがAppleの経営を支えている現状を変えるためにAppleはサービス事業の拡充を目指している。

Apple MusicはAmazon Echoへの対応を開始した。自社で全てを囲う今までの垂直統合モデルとは異なり、他社製品でも自社サービスを使えるようにすることで、自社サービスのシェアをさらに増やそうとしている。

f:id:tkan1111:20181224095717p:plain

Apple Storeの新店舗

今年、Appleは国内に新宿と京都に新しい店舗をオープンした。休業していたApple渋谷も10月にリニューアルオープンを果たした。来年にはApple川崎のオープンが噂されている。

Appleストアの拡充は、Apple製品の売上とブランドイメージ向上を目指している。アメリカ国内ではAppleストアの床面積当たり売上は全小売店の中で1位だ。プログラミング講座など多くのイベントをストアで開催することで地域との結びつきを強めている。

これは日本だけではなく、全世界統一の戦略だ。自社ストアをここまで成功させたメーカーは存在しない。

ライバル企業との競争が激化する中、AppleストアはAppleの大きな武器として機能するだろう。

f:id:tkan1111:20181224115358p:plain

2019年Appleの課題

iPhoneの売上減退が噂され、Appleの株価は大きく下落した。スマートフォンの機能が頭打ちになり、過去モデルとの差別化が難しくなっている。iPhone XとiPhone XSの機能は、買い替えを喚起するほどには差がない。

スマートフォン市場が飽和し、販売台数も伸びていない。機能が変わらず買い替え需要が起きず、市場も拡大しなければ、売上げが増えないのは当然だ。

全売上の6割を占めるiPhoneが売れなければAppleの経営は深刻なダメージを受けることになる。それを予測して、Appleは施策を打ってきた。

Mac、iPhone、iPadで過剰なまでに多くの製品を販売したのは、飽和した市場で少しでも多くのシェアを握るための戦略だ。

ハードの販売低迷をカバーするために、サービスの拡充に注力してきた。Appleの「武器」であるApple Storeの拡大に努め、さらなるブランドイメージの向上を図っている。

ただ、それだけでiPhoneの売上低迷を補填できるとは思えない。ユーザーがAppleに求めているのは画期的なデザインと機能だ。高いブランドイメージを土台にした、他社に真似できないクールな製品をユーザーは希求している。現に、Appleらしい製品であるAirPodsは発売から1年以上が経過しても売れ続けている。

画期的な製品を世に送り出すためには、開発能力を今までよりも上げる必要がある。元GoogleのAI開発トップを引き抜き、11月にはAIのスタートアップ企業を買収した。画期的な製品を開発するために、AIがひとつの鍵だとAppleは考えているのは間違いない。逆に考えると、現時点でのハードでの差別化が難しいとAppleは考えているのだろう。

一方で、モバイルCPUに続き、AppleはGPUも自社開発しようとしている。また、モバイルCPUを将来的にMacにも活用すると言われている。自社で開発製造することでコストを削減し、他社と差別化を図ろうとしているのだろう。

Appleが打っている施策がiPhoneの売上低迷をどこまでカバーできるか注目だ。

iPhoneの入力を簡単にする裏技・小技15選【2018年版】

iPhone入力の裏技・小技

今更だけど、iPhoneで入力する際の裏技をまとめました。15種類あります。

ちなみに、iPhoneのキーボードで最も早く入力するためには、ブラインドタッチでフリック入力ができるようになることが大事だと思います。

カッコは「や」をフリック

カギカッコはキーボードの「や」を左右フリックするとすぐに選べる。カギカッコを選ぶと、丸括弧などの他の括弧も選べる。

 

f:id:tkan1111:20181222112205p:plain
f:id:tkan1111:20181222112419p:plain

キーボード選択は地球アイコンを長押し

日本語や英語キーボードを切り替えるときは、地球アイコンを長押ししながら指を上にずらすと素早く選択できる。他にも「キーボード設定」へ移動しなくても「片手キーボード」を選ぶこともできる。

f:id:tkan1111:20181222112507p:plain

「空白」を長押しでトラックパッドモードに

3D Touch対応iPhoneなら、キーボードを強く押すとトラックパッドモードに移るが、「空白」または英字キーボードの「Space」を長押しでもトラックパッドモードに移行する。トラックパッドモードは、タッチパッドのようにカーソルを自由に動かせるモードだ。

f:id:tkan1111:20181222112720p:plain
f:id:tkan1111:20181222112733p:plain
f:id:tkan1111:20181222112737p:plain

クエッションマークをひっくり返す

クエッションマークとビックリマーク(エクスクラメーションマーク)を長押しすると、ひっくり返ったマークを選択できる。どういうときに使うか不明。

他のキーも長押しで様々な記号を入力できるので探してみよう。

f:id:tkan1111:20181222113219p:plain
f:id:tkan1111:20181222113155p:plain
f:id:tkan1111:20181222123828p:plain
f:id:tkan1111:20181222123839p:plain
f:id:tkan1111:20181222123856p:plain

「フリックのみ」で連続文字入力

キーボード設定で「フリックのみ」をオンにすると、同じ文字を連続文字入力ができる。オフで同じ文字を入力するときは、1文字打つ度に少し待つ必要がある。

f:id:tkan1111:20181222113430p:plain
f:id:tkan1111:20181222113442p:plain

日付や西暦を文字で入力

「きょう」「あした」「あさって」「しあさって」「ことし」「らいねん」「さらいねん」で日付や西暦、和暦が入力できる。「やのあさって」まで変換できるのは初めて知った。

f:id:tkan1111:20181222113626p:plain
f:id:tkan1111:20181222113633p:plain
f:id:tkan1111:20181222113641p:plain

数字を時刻表記に変換

4桁の数字を入力するだけで、時刻や日付表記に変換できる。

f:id:tkan1111:20181222124604p:plain

郵便番号から住所を入力

郵便番号を住所に変換してくれる。ただし7桁を正確に入力する必要あり。

f:id:tkan1111:20181222114009p:plain

iPhoneを左右に振って「取り消し」

iPhone本体を左右にシェイクすると文字入力を取り消せる。出来ない場合は、iPhone「設定」→「アクセシビリティ」→「シェイクで取り消し」をオンにする。

f:id:tkan1111:20181222114135p:plain
f:id:tkan1111:20181222114147p:plain
f:id:tkan1111:20181222114154p:plain

スマート句読点

「キーボード設定」で「スマート句読点」をオンにすると、ダブルクォーテーションとハイフンが自動変換される。

f:id:tkan1111:20181222121242p:plain
f:id:tkan1111:20181222121257p:plain
f:id:tkan1111:20181222121311p:plain

ダブルタップでCaps Lock

「キーボード設定」で「Caps Lockの使用」をオンにして、シフトキーをダブルタップすると、Caps Lockがかかる。

f:id:tkan1111:20181222121412p:plain
f:id:tkan1111:20181222121423p:plain

iPhone X系なら音声入力をオンでも大丈夫

旧モデルだと地球アイコンが半分になるので、音声入力をオフにする技があったが、iPhone X系だと音声入力が別個のアイコンになったので、オンにしても大丈夫。

f:id:tkan1111:20181222121847p:plain
f:id:tkan1111:20181222121822p:plain

スペースキーをダブルタップでピリオド入力

「キーボード設定」で「ピリオドの簡易入力」をオンにすると、英字キーボードでスペースキーをダブルタップで、ピリオドとスペースを同時に入力できる。

f:id:tkan1111:20181222122124p:plain

濁点がなくても変換できる

iPhoneの標準辞書は意外と優秀で、濁点をつけず促音にしなくても、普通のひらがなを正しい語句に変換してくれる。

f:id:tkan1111:20181222123212p:plain
f:id:tkan1111:20181222123225p:plain

文字を選択して再変換

一度確定した文字列も選択すると再変換できる。文字を選択すると、別の変換候補が現れる。

f:id:tkan1111:20181222124332p:plain

iCloudやiTunesで使える10%のボーナスをAppleからもらう方法(12/24までのキャンペーン)

10%のボーナス!

12月24日まで、Apple Music、iCloudなどの支払いに使えるApple IDへの入金に10%ボーナスがもらえるキャンペーンをAppleが実施している。

楽曲やアプリを買うときクレジットカードで支払うことができるが、Apple IDに入金しておいて支払うこともできる(Appleストアクレジットと呼ばれる)。

「音楽も映画も買わない」「アプリは無料しか使わない」という人もいるかもしれないけど、iCloudストレージやApple Musicへの毎月の支払いにも使える。

期間限定なので、今のうち入金しておこう。

f:id:tkan1111:20181222094715p:plain

10%ボーナスをもらう方法

  1. iPhoneの「設定」→「iTunes StoreとApp Store」をタップ

    f:id:tkan1111:20181222094303p:plain

  2. 「Apple ID」→「Apple IDを表示」をタップ
    f:id:tkan1111:20181222094409p:plain

    f:id:tkan1111:20181222094536p:plain

  3.  中段の「Apple IDに入金」をタップ

    f:id:tkan1111:20181222094607p:plain

  4. 「1,000円」「3,000円」「5,000円」「10,000円」「その他」の中から入金額を選ぶ。ボーナスがもらえるのは一人一回までなので注意

    f:id:tkan1111:20181222095515p:plain

  5.  入金額を選び「次へ」をタップすると、ボーナスがもらえる。

    f:id:tkan1111:20181222094952p:plain

毎月の支払いがある人はお得

Apple MusicやiCloudストレージの支払いが毎月ある人は、いつかは払うものなので、今入金しておくとお得だ。音楽や映画を買う習慣がある人は、実質10%割引になるので、多めに入金しておこう。途中でも書いたようにボーナスがもらえるのは一回限りなので、入金額を選ぶ際は慎重に。

 

ソフトバンク上場の目的と今後の成長戦略。株価はどうなる?

ソフトバンク上場

ソフトバンクが上場したが、公募価格を下回ったと大きく報道にされた。史上最大規模の上場で大量の資金を集めたおかげで、相場全体が崩れたと株式関係者から恨み節も聞かれる。

f:id:tkan1111:20181221103640p:plain

上場した目的は?

親子上場で資金集めが一番の目的だ。5Gへの投資のために多額の資金がキャリアは必要になる。

ソフトバンクの上場記者会見でも5Gの普及は通信事業の大前提となっていた。

f:id:tkan1111:20181221094422p:plain

引用:ソフトバンク上場記者会見資料

もうひとつの理由は日本市場への特化だ。ソフトバンクグループの事業領域が拡大して米国携帯キャリア、半導体と多岐にわたるようになった。孫さんがいるから為せる技だが、キャリアとしてのソフトバンクの位置が曖昧になってきた。

通信事業を主軸にして国内市場に集中し、より迅速なビジネス展開を図るのが新生ソフトバンクの戦略だ。

f:id:tkan1111:20181221095450p:plain

今後の成長は?

近年、どの携帯キャリアもいわゆる格安SIM事業者の影響を受けてきた。ソフトバンクは、ヤフーモバイルというサブブランドを展開し、MVNOへの移行を食い止める戦略にでて、ある程度の効果を出している。

ただ、今後は不確定要素が多い。

菅官房長官の「携帯電話料金を3割下げる」発言の影響がどうなるか。官房長官の発言を受けて、ドコモは値下げすると表明し株価を下げたが、ソフトバンクはサブブランドですでに値下げしていると反論したが、今後も抗うことができるか。

5Gへの投資も重荷だ。今後、3大キャリアで最も脆弱な通信網を保有するソフトバンクがどこまで5Gへの投資を加速できるか。

楽天の携帯キャリア進出に最も影響をうけやすいのもソフトバンクだ。楽天はauと提携して、携帯電話事業を加速させようとしている。楽天が通信網を築いて格安の料金で事業を開始したら、一般顧客からすると楽天と企業イメージが近いソフトバンクからの流出が予想される。

ソフトバンクは、キャリア以外の様々な成長戦略を描いているが、それらの事業をどこまで伸ばせるのか。上場して得た自由と資金をどのように成長につなげるか、一年以内に何らかの結果がみたいところだ。

f:id:tkan1111:20181221103122p:plain