『スーパーマリオラン』が思ったより売れなかったようだ。全世界で9000万ダウンロードされたが、課金したユーザーはわずか3%だった。
スマホゲームの世界では珍しい1200円の買い切り型が受け入れられなかった。上達すれば無料でも長く遊べるスマホゲームに慣れたユーザーには割高に取られた。
買い切り型への反発は任天堂も想定していたが、マリオなら乗り越えられると考えたのだろう。
市場から要求されても任天堂は頑なにスマホへ参入してこなかった。スマホ世界の低料金に飲み込まれ、既存ゲームの売上に影響が出たら、今までの業績を維持できなくなるからだ。課金システムが子供をターゲットにしている任天堂ブランドに馴染まないのも敬遠した理由のひとつだった。
市場の圧力に抗うことができず、ついにスーパーマリオランで任天堂はスマホゲームに参入した。ただ飲み込まれないように任天堂は既存ゲームとの差別化を周到に図った。
マリオがオートで走り、ワンタップでジャンプするのは、コントローラーがないスマホの欠点をカバーするのと同時に、マリオの行動を制約した。「自由にマリオを操りたかったらコントローラーがあるコンソール機を買うしかない」のメッセージが聞こえるようだ。
マリオの動きに制約をかけても、マリオブランドがあれば障害を乗り越えて飛躍できると任天堂は判断した。リオ五輪の安倍マリオで注目を集め、iPhone 7の発表会で取り上げられたのに、それでも売上に繋がらなかった。任天堂の想定よりもマリオブランドは弱かったのだ。
スーパーマリオブラザーズ以降の2Dマリオは二次元の世界で生きている。もしも正面から見たら、そのマリオはとても薄い。