サイバーエジェントの決算が発表された。無料のインターネットテレビ局『Ameba TV』を含むメディア事業は売上高は約60億万円だったが、営業損益はマイナス約46億円だった。
Ameba TVは、受動的に地上波放送を『ながら見』している層、既存のテレビでは満足できない若者をターゲットにしている。
インターネットは自分で検索し、面白いコンテンツを見つけるのは宝探しみたいで楽しいが、能動的に動くのが億劫なときもある。地上波のように何の手間もなくダラダラと観続けるメディアをAmeba TVは目指している。
ところがダウンロードしたユーザーは1300万人を超えたが、アクティブ視聴者数は鈍化している。事業が黒字になるには1000万人の視聴者層が必要らしいが、年末年始が終わった今月のアクティブ視聴者数は360万人。相当の開きがある。
TVの視聴率は世帯視聴率なので、10%の視聴率が1000万人の視聴者数とはならないが、ほとんどの家庭にあるテレビでも1000万人の視聴者数は相当難しい数字だとわかる。
Ameba TVの視聴がテレビほど気楽に観られない点が視聴者増加の障壁になっている。多くの人が朝起きたらまずテレビをつけ、帰ってきたらとりあえずまたテレビのスイッチを押す。電源ボタンを押せばすぐに画面が表示されるテレビと比べれば、スマホなどのデバイスのロックを解除しアプリを立ち上げないといけないAbema TVでの作業は煩雑だ。
Abema TVをスマホで視聴している人は8割近い。
現代人がテレビをだらだら観るときにどうしているだろう? スマホをいじりながら横目でテレビ画面を観ている人が多いのではないだろうか。スマホを使って視聴したら、当たり前だがスマホを操作できない。
クレームを恐れて自主規制に縛られた既存の地上波放送に飽き飽きして、新しいメディア、インターネットテレビを望んでいる人は多い。できればAmeba TVが成功し、次々とインターネットテレビが流行って欲しい。どうしたら、インターネットテレビをもっと多くの人が観てくれるようになるのか。
ヒントはコクーンにある。コクーンとは、2002年にソニーが販売したHDDレコーダーだ。
コクーンは画期的なレコーダーだった。当時DVDに焼いて残すのが一般的だったレコーダーの中でDVDドライブを持たず、HDDがいっぱいになったら自動で消去してくれた。
コクーンの最大の特徴は「おまかせ録画」だ。オーナーの好みの番組を判断して自動で録画して保存してくれた。録画された番組が好みでないとコクーンに伝えれば次回からは録画しなくなる。視聴する時間が多いジャンル、例えばサッカーの試合をよく観れば重点的にサッカー番組を録画してくれる。ジャンルだけではなく、好きな俳優が出演する番組も自動で録画できる。
録画した番組を家族の好みごとに自動で仕分けしてくれる機能まであり、あたかも自分好みのチャンネルができたように思えてくる。
Ameba TVに必要なのは、この自動カスタマイズ機能だ。視聴者の好みの番組をまとめて延々と流してくれれば、地上波よりも気楽に自分好みの番組が「ながら見」ができる。ザッピングする必要もない。Amazonのリコメンド機能をみてもわかるように、コクーンが販売されていた時代よりもはるかにAIは発達しているし、Ameba TVはネット上で観られているわけだからテレビ番組よりもメタデータを容易に管理できる。
あたかも自分だけの好みのチャンネルを作れれば、テレビよりも気楽に視聴できるとPRできるだろう。 様々なインターネットテレビ局が良質な番組と自動カスタマイズ機能を訴えて競争しだしたら、メディア業界ももっと活気づくと思う。
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