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「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の「夏のピルグリム」を7月18日に刊行

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有機ELテレビは”第4の矢”

今年のCESで、ソニーとパナソニックが有機ELテレビを発表した。今まで液晶テレビに注力していたのに、日本の二社が同時に有機ELテレビへの参入を表明したのは、現時点で世界で唯一大型有機ELパネルを生産できるLGディスプレイが自社だけではなく、他社にもパネルを供給する決断をしたのがひとつの理由だ。

http://www.ces.tech/CES/media/news-images/photo-gallery/Show Day 4/_M4_7737.JPG?ext=.jpg

LG OLED TV display at CES 2017.

 

一社独占で販売していくよりも他社にパネルを供給・量産して、製造価格を下げ、より多くの製品を販売し、有機ELの知名度を上げる狙いがある。他社パネルで差別化を図れるか心配する向きもあるが、テレビの質はパネルだけで決まるのではなく、画像処理エンジンが鍵になるので、日本の二社でも十分競争になる。液晶も同様で、ソニーもパナソニックもテレビ用大画面液晶パネルを生産しておらず、他社から調達している。

 

今までずっと液晶テレビをプッシュしていた二社が有機ELテレビを発表したのは、現行の液晶テレビでは新機軸を作れなくなったからである。

薄型ハイビジョンテレビは2006年あたりから本格的に伸びてきて、2011年のアナログ停波が成長のピークで、停波以降大きく落ち込んだ。冷え込んだ市場を回復させるために導入されたのが2010年から販売されたフルHDの3Dテレビだった。

3Dテレビは一時期需要を喚起したが、3Dメガネを掛ける手間と、テレビを観る人数だけメガネを用意しなければいけないなどのネガティブな要因のせいで、大きく伸びずに消えていった。

代わりにメーカーが販売を開始したのが4Kテレビだ。2013年頃から本格的に売れるようになり、金額ベースで昨年出荷されたテレビの約7割が4K対応だった。地上波で4K放送はまだ始まっておらず、放送開始時には別途チューナーを購入しなければならない現行の4Kテレビは、かなり無理筋な商品だと筆者は思うが、ハイエンドを志向するユーザーが多い日本では定着した。

4Kテレビも本格的な販売から今年で4年が経ち、そろそろ次の需要喚起を考える時期にさしかかってきている。そこで新たな目玉としてピックアップされたのが有機ELテレビだ。本格的に普及していくのは来年ぐらいだろう。

  • 2006年 薄型ハイビジョンテレビ
  • 2010年 フルHD 3Dテレビ
  • 2013年 4Kテレビ
  • 2018年 有機ELテレビ

 薄型ハイビジョンテレビから数えて、有機ELテレビは”第4の矢”になる。有機EL技術技術が量産化できる時期にさしかかっただけでなく、マーケティング的に必要になってきたので、ソニーとパナソニックは有機ELテレビの販売を開始したのだ。