ソニーの第3四半期の決算は、ゲーム部門は好調だったが、映画部門の売上は前年同期比マイナス14%とソニー全体の足を引っ張った。メディアはソニーが映画部門を売却の交渉をしていると一斉に報じた。
映画産業は作品によって当たり外れが大きく、売上が安定しない。今季の東宝の『シン・ゴジラ』『君の名は。』のようにヒットすれば大きな増収になるが、見極めが非常に難しい。
飛べない”円盤”
今まではDVD・Blu-rayの売上を販売することで一定の売上を維持できていたが、ネット視聴が増えて売り上げが落ちている。近年Netflix、Amazonプライムビデオなど定額動画配信サービスが一気に伸びて、欧米だけでなく日本でも”円盤もの”の売り上げが急速に落ちている。旧作Blu-rayなど投げ売り状態だ。
LD、DVD、Blu-rayと高解像度の規格を繰り出すことでコレクターの需要を喚起していたが、次世代規格であるUHD BDはあまり盛り上がっていない。PS4 Proに搭載しないなどソニー自体がUHD BDに乗り気でない。ネットでの動画配信が主流になると判断しているからだろう。
コンテンツの時代
ネット時代になり、過去の成功体験が活かせくなった今、ソニーにとって映画部門はお荷物なのだろうか。
筆者は必ずしもそうは思わない。コンテンツの時代が来ているからだ。定額動画配信サービスが流行ったのは気軽にコンテンツを消費したい顧客が多い証左でもある。この流れが加速し、多くのユーザーが今まで以上に多数の映画をネットで鑑賞すれば、単価は下がっても総売上は増える。実際に今決算でもライセンス収入は大幅に上昇している。
自社の定額動画配信サービスに弱いのは課題だが、コンテンツの時代が続けば音楽部門と並んで映画部門がソニーの売上を支えてくれるはずだ。