米国の原子力事業で起きた巨額損失を埋めるために、東芝は虎の子の半導体事業を売却しようとしている。不正会計で地獄を見た東芝は、半年前には原発と半導体が事業の両輪だと言っていたのに、事業の両輪を失う新たな地獄に落ちてしまっている。
東芝のPC事業が今後どうなるのか、あまり表に出てこない。半導体事業より比較的規模の小さいPC事業に構っているときではないのかもしれないが、不正会計の舞台のひとつはPC事業だったし、富士通との統合などPC部門の切り離しは半導体売却がでる前から話は出ていた。
Lenovo,HP, Dellなどのグローバルベンダーに規模で劣る東芝のPC事業は今後大きな利益を生むことはないだろうから、いずれ売却か事業停止に追い込まれる可能性が高かった。
だが、車の両輪を失った東芝に残る事業はインフラとPCがメインになる。以前とは比べ物にならない事業規模とはなるが、売却とリストラで小回りが利くようになった東芝がPC事業に改めて注力するとしたら興味深いストーリーだ。
ダイナブックからはじまった東芝のノートPCは、今でも一定のブランド力がある。数はでなくても利益率が高い製品を販売すれば、事業を存続できる可能性はある。もっともこの分野はVAIO, MacBook, ThinkPadとライバルも多いので、困難な道なのは間違いないが、東芝が走れる道はもはや限られてきている。