MVNOの勢いが停滞
MVNO(仮想移動体通信事業者)の勢いが止まっている。
ここ数年、総務省の圧力もあり、MVNOの契約台数が急伸し、一般の人への認知も進んでいたが、キャリアの新料金プランやサブブランドの伸長により、MVNOの伸びが以前よりなだらかになってきている。
出典:MM総研
既存キャリアの顧客引き止め策
MVNOへの流出は既存キャリアにとって死活問題であるので対策が必要だ。とは言っても料金を下げるのも限度があるので、各キャリアは契約者に付加価値を与えることでつなぎとめようとしている。
ドコモでは、契約者だけが契約できる「DAZN for Docomo」やdポイントクラブによる長期契約者の優遇を開始している。
auは、au STAR、「三太郎の日」キャンペーンや新料金プランだ。auの決算発表によると「auピタットプラン / auフラットプラン」契約者数は500万件を突破し、解約率も下がってきてる。
出典:au
ソフトバンクは、大騒ぎになった吉野家無料などの契約者向けキャンペーン以外に、Y!mobileの貢献が大きい。誤解されやすいが、Y!mobileはいわゆるMVNOではなく、ソフトバンク本体が運営しているブランドだ。ファストリテイリング社がユニクロと、ユニクロよりも廉価なブランドであるGUのブランドを抱えているのと同じである。
Y!mobileのおかげでソフトバンク社トータルの契約者数は伸びているが、代わりにトータルのARPU(1回線あたりの月間売上高)は下がっている。
MVNOは一時のブームで終わるのか?
既存携帯キャリアの反撃で、MVNOへの流出は一時のブームで終わるのだろうか?
MVNOの命運は、総務省の方針と携帯キャリアからMVNOへの回線卸代が妥当かどうかの議論も影響してくる。
ユーザーからしたら、MVNOでも既存携帯キャリアでも安くて良質な回線が利用できれば良いのは当たり前だが、わかりやすい選択肢が提示されることが重要だ。多少高くても良いサービスや店舗のサポートが必要な人もいれば、安ければサービスは不要という人いる。
各業者には透明性があるプランの提示を求めたい。