近づくWWDC、少ない事前情報
WWDC2018が近づいてきているが、今年は事前情報があまりでてこない。WWDCはハードのお披露目会ではなくソフトウェア開発者のためのイベントなので、OSなどソフトウェアの情報がメイントピックスだ。工場やアクセサリーベンダーから情報漏洩が多いハードウェアと違って、OSはApple社内のみの作業でほぼ完結するので情報流出が少ない。
WWDC 2018の事前予想を見てみよう。
iPhone SE2
筆者はWWDCで登場する可能性が高いと予想する。パーツの画像やCAD情報など多くの情報が流出しているのが理由だ。
飽和しつつあるスマートフォン市場で売上を伸ばすためにはミッドレンジの価格帯であるiPhone SE2をAppleは投入する必要がある。
新iPhoneの発表が秋に移って以降、WWDCで新型iPhoneの発表がないのが少々気になる。初代iPhone SEは3月に行われたスペシャルイベントで、iPad Pro 9.7インチともにイベントの目玉として発表された。
Mac
2017年のWWDCでは、iMac/MacBook/MacBook Proのアップデート・値下げが発表された。Intelの次世代CPUはすでに市場に出ているので、「Macのアップデートは開発者が集うWWDCで発表する」と決めたのであれば、今年も刷新されるかもしれない。
筐体の変更などの大規模なモデルチェンジはないと予想する。ずっと噂に上がっていたMacBook Air、現行のボディになって3年経過するMacBookのモデルチェンジはありえるかもしれないが、故障率が高いと訴訟を受けている薄型キーボードや「微妙な評価な」Touch BarなどMacBook Proの大幅アップデートは今回は間に合わないと予想する。
Mac Pro
2019年発売とApple幹部が発言しているので、今回も見送り。iMac Proが昨年登場したので、ハイエンドMacの需要がどこまであるかAppleとしては見極めているところだろう。
AirPower
昨年10月に発表されてから一向に発売されないAirPower。流出もないし、WWDCよりは新型iPhoneと同時発売の方がしっくりくるので、秋まで発売されないかも。
iPad
廉価版iPadが3月に登場したばかり。iPad Proはどうだろうか。iPhone X風のホームボタンなしボディに変更になる可能性はあるが、最新テクノロジーはiPhoneから導入するAppleの法則に従うと、次にFaceIDを導入するのは次期iPhone 6になるはず。
筐体が大きいiPadのホームボタンを廃止するメリットも少ないし。
iOS / macOS / watchOS / tvOS
今回のアップデートは新機能の追加より質の強化にあてられると報道があった。
その方針には賛成だ。多くの機能を追加し続けて、今のiOSのインターフェイスは混沌としている。
特に昨年登場したiPhone X用のインターフェイスは改善の余地がある。Face IDでアンロックした後の上スワイプは不要だし、アプリの停止ももっと良いやり方がある。先日発表になったAndroid Pの方が洗練されている。
大きな変更が必要なのはSiriだろう。音声認識技術で先行していたはずなのに、Alexa、Googleアシスタントに大きく遅れを取っている。HomePodのシェアも世界4位とAmazon Echo(世界1位)、Google Home(世界2位)に負けている。今のSiriの実力はAIアシスタントというところまで至っていない。新OSが正式公開されるのは10月。このWWDCで抜本的な改善をみせないと、Amazon、Googleには追いつけないだろう。
スマートスピーカー市場での敗退はリビングからのApple機器の追放を意味する。リビングに自社製品を常置するのは各メーカーの悲願だ。
リビングを制するためにtvOSも重要だ。iTunesでしか映画などのコンテンツを購入できないApple TVは他社より高価なこともあり勢いがない。登場当時はiOSのようにアプリ市場の活性化することが望まれたtvOS対応のアプリも一向に増えてこない。
Apple TVを再度活性化させる斬新な変革が欲しい。
Mazipan
iOS機器とMac上で同一のアプリを動かす「Mazipan」プロジェクトが進行していると昨年噂になった。
MacなどPCの存在感が徐々に薄れていく中、いつかはMac専用のOS・アプリを開発することが非効率的な時が来ると思うが、今年はまだ早いと思う。AppleはMac用のCPUを内製化する噂もあるが、登場するにはまだ時間がかかる。どういった手段か別にして、MacとiOSの統合がWWDCで語られるのは来年以降と予想する。
その他の製品
事前情報がないので、すぐに販売されるサプライズはないと思う。ただ、OSのパートで触れたように、今後リビングにApple製品を置いてもらうためにHomePodとApple TVを刷新する必要がある。高性能マイク搭載のApple TVなど、分かりやすい新製品を発表できれば、スマートスピーカー市場で挽回できるのではないか。
<追記 2018/06/04>
WWDC 2018直前予想について別記事を掲載しました。こちらも、どうぞ。