新しいポメラ
キングジムがタイピングツール「ポメラ」の新型を発表した。
ポメラを買わない理由
ポメラはテキスト入力に特化したメモツールだ。筆者のように小説やブログを執筆する者には最適なツールだ。ポメラを愛用している現役ライターの方々も多い。
新しい機種が出る度にチェックするが、ポメラを一度も買ったことがない。
以前記事にしたように、iPhone+Bluetoothキーボードの執筆環境のほうがなれているからだ。
ここで、ポメラとiPhone+Bluetoothキーボードを比較してみよう。
セットアップしやすさ
- ポメラ
実際にタイピングできるまでのセットアップのしやすさを比較。これはポメラの圧勝だ。ポメラはカバーを開ければすぐにタイピングができるのが売りで、開いてから3秒も経たずに入力を開始できる。
iPhoneは、iPhoneのロック解除、Bluetoothキーボードの設置、スタンドにiPhoneをセットなど、いくつもの手順を踏まないとタイピングできない。
モビリティ
- iPhone+Bluetoothキーボード
可搬性の良さはiPhoneとキーボード。iPhoneは必ず持ち歩くから、あと必要なのはBluetoothキーボードだ。多くのBluetoothキーボードが200g、ポメラDM200で580g、今回発表したDM30が450gとキーボードだけのほうが軽い(当たり前だが)。iPhoneを足せばキーボードの方が重いが、スマートフォンを持たずにポメラだけ持ち歩くことはないだろう。
データの同期
- iPhone+Bluetoothキーボード
筆者にとって、データの同期がポメラの最大の弱点だ。初期に比べて、QRコード、Gmail経由など様々な同期を行う手段を増やしてきたが、それでも常にクラウドに接続しているiPhoneとは利便性で比較にならない。
ポメラだけで完結すればよいのだが、自宅に戻ればPCを使いたくなるし、文書も保存したくなる。一度クラウド環境に慣れてしまうと、同期が取れていない複数の機器で文章を書くのが不安になる。どれが最新版かわからなくなるからだ。
デスクスペース
- ポメラ
使用する時に使用するデスクスペース。画面とキーボードが直結しているポメラに分がある。iPhoneとキーボードだと、スタンドが必要なのでスペースを取る。スタンドに置いてあるだけのiPhoneが不安定だから、飛行機のテーブルで揺れるとiPhoneが落ちそうになる。ポメラはその心配がない。
机がなく膝の上に置いて使う場合もポメラが圧勝だ。iPhoneとキーボードでは膝の上で作業しづらい。電車の中で使う場合はポメラが便利だろう。
キーボード
- お好みで
どちらのキーボードが良いかは好み。ポメラの歴代キーボードは非常にしっかりしていて打ちやすい。ポメラほど堅牢なコンパクトBluetoothキーボードをみたことがない。ただ、キーボードは交換ができるし、種類も豊富だ。自分好みのキーボードを見つけられたらiPhoneとキーボードのスタイルが有利だ。
日本語環境
- ポメラか?
いわゆるIME。ポメラは「ATOK for pomera」を搭載する。iOSのIMEは以前よりは使えるようになったが、簡易版とは言えATOKにはかなわない。
ただ、ネットで語句を調べ、過去の文章を引用できるのはiPhoneとキーボード。文章を完成させる総合力を問えば、両者互角だ。
画面
- iPhone+Bluetoothキーボード
画面は、ストレート型のDM200がTFT液晶、今回の新型DM30が電子ペーパーディスプレイ。筆者のiPhoneはiPhoneXなので、有機ELディスプレイ。画質はiPhone Xの圧勝だ。いくら文字しか打たないとしても、文字の精緻さは比較できない。
個人的には電子ペーパーディスプレイは好きではない。以前よりもずいぶん改善されたが、それでも画面リフレッシュとスクロールの遅さは辛い。
価格
- iPhone+Bluetoothキーボード
ポメラは意外に高い。今回発表したDM30は電子ペーパーディスプレイ搭載で41,417円(2018/05/25 Amazon調べ)、すでに発売しているDM200が34,980円(同じくAmazon調べ)。3,000円台からあるBluetoothキーボードは非常に安い。スマートフォンが別途必要だが、前述の通りポメラを買ってもスマホを買わない選択肢はないので、スマホの金額は除外して比較する。
4勝3敗1引き分け
色々と要素を並べてみると、両者ほぼ互角だった。ポメラを使う上で筆者が一番気にかかるのはデータの同期だ。Wi-Fi対応のSDカード「FlashAir」を使えば、ポメラからのEvernoteなどのクラウドサービスへのアップロードができるみたいだが、筆者が行いたいのは『転送」ではなく「同期」だ。一つの原稿で複数の版ができてしまうと、どれが最新版か判断するのが大変だ。誤って古い原稿を推敲してしまうと非常に面倒なことになる。
やはりしばらくはiPhoneとBluetoothキーボードで執筆を続けようと思う。