旧態依然なカーナビ
カーナビで行き先を検索すると、あまりに酷いインタフェースに辟易する。筆者の愛車のカーナビはタッチパネルではないので、ダイヤルを回して施設名や電話番号を入力しないといけない。検索された施設名も文字だけの情報なので、詳細がわからない。
大抵の場合はカーナビを使わず、iPhoneのGoogle Mapを使う。
CarPlayはどうなった?
iOSの一機能であるCarPlayは、そんなレガシーのカーナビの代替として生まれた。
CarPlayは、スマートフォンの便利な機能を自動車内でも活用するための機能だ。CarPlay対応の新車を買わないと使えないので、大部分のユーザーには馴染みがないが、地道にバージョンアップを繰り返している。
Appleのサイトに詳しく説明されているが、CarPlayは、iPhoneと車がBluetoothで繋げて、車載のモニタとSiriをつかって、iPhoneに触れることなく、iOSの機能を利用できる。
CarPlayはどこまで便利なのだろう?
CarPlayでできることはiPhoneと変わらないので、車載の大きなモニタを使えるのが最大のメリットだが、iPhoneの液晶が大型化してきて、メリットが小さくなってきている。
Siriで音声操作するなら、タッチパネルのインターフェイスも不要だ。Bluetooth対応の自動車なら、車載のスイッチでSiriを起動できるので、CarPlayでなければいけない理由がない。
残念なことに、CarPlayではGoogle Mapが使えない。CarPlayで使えるApple純正のMapも進化してきているが、よく行く場所をGoogle Mapに登録していると、Apple純正Mapになかなか移行できない。
Appleも察してCarPlayの普及に熱心ではないのかと思ったら、対応車種は400以上だそうだ。外国車が多いが、少しずつ増えているようだ。
アメリカのカーナビ事情
盗難のリスクがあるアメリカでは、ポータブルナビが主流で備え付けのカーナビは普及しなかった。ポータブルナビも次の道順を矢印で示すシンプルな機能が多かったが、日本よりもシンプルな道路が多いアメリカでは、これで事足りていた。
ところが、スマートフォンとGoogle Mapの登場で、地図は行き先までの道順を調べるだけではなく、人気のスポットなどを検索し行き先自体を調べるものになった。ネットと接続できない大部分のカーナビはスマートフォンの地図に情報量で対抗できていない。
今までカーナビに満足していたユーザーも、スマートフォンに慣れると既存のカーナビの機能に不満を持つようになった。便利なものを一度知ったら、人は不自由なものに戻れない。
日本のようなラグジュアリーなカーナビをもたないアメリカ車にとって、モニタだけを追加すればカーナビ機能が使えるCarPlayの需要があった。
日本では?
日本では安い価格帯の自動車でもカーナビを搭載しているので、CarPlayがないとナビができない状況ではない。ただ、今のカーナビ市場がどこまで存続できるかわからない。
ガラパゴス的産業の典型である車載カーナビが日本市場だけで生き残るのが難しい時期がいつか来るだろう。今でも、車載カーナビは地図のアップデート作業費で利益を得ていて、本体の売値は一万円以下とも言われている。
どこかで「カーナビなくてもCarPlayでもいいや」というターニングポイントが日本でもきそうだが、それでも液晶モニタは車載しないといけないので、そこまでのコストダウンにはならない。
既存のカーナビはジャイロコンパスなどでGPSが届かないトンネル内でも位置を捕捉できるが、GPSでしか位置情報を入手できないCarPlayに全面移行すると「位置情報が間違っている」とうるさいユーザーからクレームが来るかもしれない。
日本では当分CarPlayがカーナビに取って代わることはなさそうだが、「便利なものを使いたい」というユーザーの声が大きくなれば、CarPlay対応のカーナビが増えるときが来ると思う。