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楽天ワンデリバリー構想の成功を決める信頼関係

ワンデリバリー構想

楽天が、自社で物流を一括して管理する構想を発表した。

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japan.cnet.com

楽天市場に出店している店舗の商品を楽天が預かり、管理・配送まで行うことで、より迅速できめ細かい配送を実現するという。

この改革によって、国内でも日増しに存在感を増すAmazonに対抗する意思を三木谷会長は鮮明にした。

Amazonと異なる楽天モデル

楽天はAmazonと比較されるが、ビジネスモデルは全く異なる。楽天市場は出店した企業から出店料を徴収して利益を得るモデルだ。Amazonは自社で商品を販売し、購買者から利益を得るモデルがはじまりだ(最近では他社をAmazonサイトに出店して手数料をとるマーケットプレイスも増えてきている。USの例で言えば約20%がマーケットプレイスの手数料による売上)。

よく言われるのは、楽天市場はショッピングモールみたいなもので、魅力的な店舗に出店してもらうことが重要となる。

これが楽天の特徴でもあり、弱点でもある。昔からよく言われる「楽天サイトは見づらい」「検索しにくい」というのは、出店店舗を多く表示するためであり、表示する頻度や大きさにより「出店料」を確保しているためだ。

物流は一筋縄ではいかない

「ワンデリバリー」構想は、不明な点がまだ多いが、課題のひとつは配送だろう。いくら楽天が潤沢な資金を保有していても、今から全国規模の配送を一社で行うのは困難だだ。商品の荷捌き、保管、梱包までは自社で行うとして、全国の顧客への配送はどこか別企業に委託するか、どこかの配送会社を買収するしかない。そうなると、既存の配送業者より、どれぐらい安価で迅速に行えるか気になる。

配送以外にも課題はある。物流拠点の運営もノウハウと経験が必要な分野だ。楽天は今までも自社で倉庫管理を行ってきたが、今回のワンデリバリーとは規模が異なる。

しかも物流業界は、人件費高騰を受けてIoTなどのIT技術を活用した変革のさなかにある。変革の先端に立っているのがやはりAmazonだ。Amazonは自社で一括管理をずっとしているので規模も大きく、経験も豊富だ。

出店企業の賛同は? 

さらに、大きな課題は、楽天に出店している企業がワンデリバリー構想に賛同するかだ。発表では2020年までにすべての楽天市場の商品を預かるとしているが、出展企業の賛同が不可欠だ。

商品の保管・配送まで行ってくれるなら手間がなくなり出店企業にとってメリットばかりにも見えるが、商品を預けるということは店舗経営のほとんどを楽天に依存することなる。悪い言い方をすれば、楽天から抜けられなくなる

過去に楽天は、手数料の改定について出店企業の反発を受けている。以前は楽天が徴収した手数料は楽天市場に出店する料金だったが、今は売上に応じた料金、検索結果に連動した料金など、様々な手数料がかかる。

今回の配送についても、最初は安い料金で楽天に委託できても、楽天の都合で値上げされてしまったら、預けた商品を人質にされているので、容易に撤退できない。

成功の鍵は出店企業との信頼関係

インターネット通販の鍵は物流であることは言うまでもない。どんなにIT技術が発展しても、最後は人が物を運ぶ必要がある。物流で革命を起こせれば、他社よりも優位に一に立てる。

楽天のワンデリバリー構想成功の可否は、物流のプロをいかに集められるかと、出店企業との信頼構築が鍵となるだろう。

www.kantakayama.com