2019年回顧
年号が変わり、色々と変化があった2019年、Appleは多くの製品とサービスを発表した。一年を回顧して、来年のAppleがどうなるか考えてみます。
第3の柱「サービス」
今年のAppleの大きな変化はサービス部門の拡大だろう。3月のイベントで発表した動画配信サービス「Apple TV+」、定額ゲームサービス「Apple Arcade」を秋に開始した。まだ、大きな人気を博しているわけではないが、成功しているApple Musicのように今後のAppleを支えるサービスに成長することが期待されている。
ハードとサービスを連携させるのが現在のトレンドだ。Appleは強大なブランドとOS・ハードを一体化した製品を中心とした上質なサービス空間の提供で、ライバル企業と争っている。
来年は今年開始したApple TV+とApple Arcadeを育てる一年になるだろう。
動画配信はNetflix、Amazon、Disney、ゲーム業界は任天堂、Microsoft、Googleとライバルが多い。
他社の映画も提供するAmazonとNetflix、過去の資産が豊富なDisneyと異なり、Appleオリジナル作品だけを提供するApple TV+は独特のポジションに位置している。
価格はNetflixよりは安いが、AmazonやDisneyとはあまり変わりがない。今はApple製品を購入すると一年間無料になっているが、今後の価格はどうするか。今の作品数だけでは明らかに割高だ。
オリジナル作品を増やしつつ、他社の作品もサービスに含めるか、今後の価格をどうするか判断する時が来るだろう。
整理が進む製品ラインナップ、成熟したiPhone
今年も多くの製品が登場した。モデルチェンジを行う中で、ここ数年混迷していた製品ラインナップが整理されてきた。
基本的に、無印のスタンダードとProモデルに分かれた。
- 標準モデル:iPhone 11、iPad、MacBook Air
- Proモデル:iPhone 11 Pro、iPad Pro、MacBook Pro
ただ、ディスプレイサイズが近いiPadとiPad Airの両モデルがまだ存在している。CPU性能も価格も異なるが、いずれiPad Airは淘汰されるかもしれない。
Macは3年ぶりにモデルチェンジしたMacBook Pro16インチモデルが登場した。このモデルでは、今まで不具合が多かったキーボードがリニューアルしたのが話題になった。Appleが積極的に搭載していたバタフライキーボードから、従来のシザース型に戻したからだ。
USB-Aの廃止など、今までユーザーの不満が多くても進化のためには方針を変えなかったAppleにとっては珍しい判断だった。何度改修しても満足できるキーボードを作ることができなかったとはいえ、Appleがユーザーの声を聴くようになった証左だ。
ユーザーの意見が多かったiPad miniのモデルチェンジも今年実現した。Mac miniも昨年復活した。ひょっとすると、Appleは、Proモデル、標準モデル、小型のminiモデルを各ラインナップに用意するつもりなのかもしれない。来年は噂のiPhone SE後継の「iPhone 11 mini」が登場するかも?
Appleの屋台骨iPhoneの性能に大きな変化はなかった。トリプルカメラはiPhone 11 Proには搭載されたが、それ以外はバッテリー性能が目立つ程度で、iPhoneというかスマートフォンが成熟化し、今後の進化の方向性が見えなくなってきているのが、より鮮明になった。
来年のiPhoneは、5G、画面内指紋認証の搭載など大きな変化が予想される。ここで他社にない新たな製品をAppleが提供できるか、それとも他社と変わらない製品になるのか、スマートフォン全体の方向性が問われる製品になりそうだ。
AirPods Proの登場
iPhoneの性能が停滞する中、高性能なAirPods Proは、久々にAppleらしさを感じる製品だった。初代とは思えない高いノイズキャンセリング性能、装着していないと感じさせる自然な外部音取り込みモード、AirPods ProはいかにもAppleらしくスマートに使用できるイヤホンだ。
ワイヤレス充電対応のAirPodsと合わせて、AirPodsシリーズはAppleの新たな成長エンジンとなりつつある。AirPodsはiPhoneがほぼ必須のアイテムだ。
バッテリー内臓のiPhoneケースもシャッターボタンが追加されリニューアルした。
iPhoneの性能が停滞しても、周辺機器を増やすことでiPhoneのエコシステムを拡大し、Apple全体の売上を伸ばすことができる。
来年は、また新たなiPhone周辺機器が登場するかもしれない。
増えるAppleストア
日本だけの話題だが、今年はApple丸の内とApple川崎のオープン、Apple表参道のリニューアル、Apple福岡の移転と、昨年のApple新宿、Apple京都に続いて、Appleの日本投資が継続した一年でもあった。
iPhoneのシェアが大きい日本市場をAppleは重要視している。国内にAppleの研究所もできたので、来日する機会も増えて、Apple社員は日本市場を身近に感じているに違いない。
Apple幹部は明言はしていないが、来年も国内に新たなAppleストアができるかもしれないし、Apple銀座のリニューアルもあるかもしれない。
定まった方針を先に進める一年
ここ数年のAppleは大きな変化がなく、小規模な改善が続き、製品数ばかり増えて混乱している感じもあった。
今年は新たな試みが増え、ラインナップも整理されてきた。
来年は、今年定まった方針を進める一年となるだろう。今年開始したサービス、
Pro、スタンダード、miniの3モデルの深化が課題になるだろう。