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「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の「夏のピルグリム」を7月18日に刊行

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2020年回顧。動画配信サービス編。コロナによって激変した市場

コロナ禍で伸びたサブスク

人とモノの流れが途絶えたコロナ禍で伸びたのがオンラインサービスだ。自宅にいる時間が伸びて、動画配信サービスの売り上げが一気に増えた。

2020年を振り返り、来年以降の業界の流れを考えてみます。

ベースサービスと付け足しサービス

Amazon Prime VideoとNetflixの2大巨頭がコロナ禍でも強かった。Netflixは独自制作の作品が好評で、日本のアニメが世界で人気になっている。

auやドコモが自社のユーザーにAmazonプライムやNetflixの使用料金を割り引き、携帯路料金とのパック料金を開始した。動画鑑賞でパケットを使ってもらうのと、携帯キャリアの長期間契約が難しくなったので新たな「縛り」としたかったのが理由だ。

また、クレジットカードを使わない人たちにとっては携帯電話料金とサブスクの料金を一括して支払えるのは魅力的でもある。

旧作の映画やドラマを鑑賞できるAmazonプライムとNetflixはサブスクの「ベース」みたいななものだ。特にAmazonプライムは動画だけではなく音楽や配送特典も大きく、多くのユーザーを獲得している。

それ以外の動画配信サービスは2つのサービスの付け足し、オプションみたいな立場を狙っている。日本では、アニメ好きのためのdアニメが代表的だ。こういったオプション的サービスも今はAmazon Prime VideoチャンネルとしてAmazonで一括して契約できるようなった。

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それ以外にも、ディズニーグループの作品が鑑賞できるDisney+がスタートした。このDisney+もドコモと協業している。低料金ということもあり(国内では月額700円)、特にアメリカでは付け足しサービスの枠を超えてシェアを獲得している。

同じ付け足しサービスを狙っている「Apple TV+」は苦戦している。目玉の作品がなく作品数が少ないことが要因だ。来年以降、Appleがどのように巻き返すか注目だ。

巨人YouTube

コロナ禍で大きく伸ばしたサービスの一つがYouTubeだ。活動が制限された中で、芸能人や棋士、多くの人がYouTubeに独自のチャンネルを開始した。視聴者数が増えたことで、YouTubeでの配信で売上が立つようになったことが大きな要因だ。

今年、テレビからYouTubeへ視聴者が大きく移動した印象がある。この状況は今後も大きく変わらないだろう。

ただ、気をつけなければいけない点もある。YouTubeの配信者に料金をとったり、視聴数の売上を減らしたりする権限はGoogle一社が権限を握っている。

配信者と視聴者がYouTubeから逃れられない状況になってから、グーグルフォトが有料化になったように、有料化や報酬の引き下げなどの判断をGoogleを行う危険性はある。

Tver

地上波テレビ番組をネットで視聴できるTverも一般化した。以前に比べて多くのテレビ番組がTverで視聴できるようになり、HDDレコーダーで録画する必要が減った。

今年から日本テレビがリアルタイムの配信を開始し、同じリアルタイム視聴ができるNHK Plusと合わせて、いよいよ地上波テレビ番組のネット配信が本格化してきた。若者がテレビ受像機を買わなくなったといわれる現代、この流れは加速すると思われる。

大きな影響を受けるのはHDDレコーダーメーカーと地方局だろう。地方局は主にキー局の番組の間に地元企業のCMを流すことで経営が成り立っている。Tverで地上波を視聴できるようになると、地方局の経営はダメージを受けることになる。

それでもYouTubeに対抗するために、地上波テレビはネット配信を進める流れは止まらないと思われる。

テレビ番組をYouTubeにアップロードする犯罪が後を絶たない。著作権者が通報すればYouTubeから違法コンテンツを削除できるが、別のユーザーがすぐにアップされるのでいたちごっこになっている。違法アップロードされるぐらいなら、公式がYouTubeに率先してアップする状況が生まれている。M-1の漫才コンテンツは放送後すぐに公式がYouTubeにアップした。

来年はこの流れがさらに加速すると思われる。

ABEMAの苦心

巨額の赤字が続くABEMAだが、売り上げは確実に伸びてきている。ただ、ここにきて芸能人がYouTubeに移行したことでABEMAの勢いが弱まってきたと思う。元々ABEMAは地上波テレビに近い番組をネットで配信するネットテレビを目指してきた(ABEMAの番組を制作しているのは主にテレビ朝日のスタッフ)。

YouTubeに芸能人がチャンネルを持ち、Tverで地上波テレビ番組が配信されてしまうとABEMAは優位性を失うことになる。

ABEMAは録画番組だけではなく、ニュース速報など即時性をアピールしている。また、CMではなく有料会員ABEMAプレミアムの獲得に注力していてプレミアム会員専用の番組を増やしている。地上波テレビを模したCMモデルでは広告料が増えないので黒字にするのが難しく、サブスクブームの流れに乗って有料会員の方が売上が伸びると判断したからだ。

だが、一旦はオワコンと思われたCMモデルだが、TverとYouTubeはCMモデルで収益を得ている。YouTubeの短いCMは多くの人にとって許容範囲だし、CMに我慢できない人はYouTube premiumの会員になる手段もある。

ABEMAは有料会員になってもリアルタイム番組内の広告はなくならない。公営ギャンブルとの連携などリアルタイム放送ならではのコンテンツも増えている。

ABEMAの独自な取り組みが今後さらにユーザーを獲得できるのか興味深い。

コロナによって進んだ時計は戻らない

コロナ禍によってサブスク動画配信サービスとYouTubeの視聴は一般化した。ただ、コロナ禍が起きなくても、地上波テレビからネット配信への流れは起きていたし、いずれ現在の状況になっていたと思われる。コロナが時計を早く進めてしまったのだ。

コロナが収束しても、一度進んだ時計は戻らないだろう。YouTubeの短いCMを流すビジネスモデルとサブスクモデルが拡大し、地上波テレビもネットへ軸足を移すことになっていくに違いない。

 
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