新型コロナウィルスの猛威
世界中を新型コロナウィルスの猛威が襲っている。中国から端を発し、欧米全域に広がり、ここにきて日本でも感染者が増えている。
日本で感染者数が急増してきたのを見て、この先アメリカやヨーロッパのように感染者が拡大し、死亡者が増えるかもしれない危険性が言われ始めている。
欧米在住の人から「日本は甘すぎる」「すぐに欧米のようになる」と警告が発せられている。
本当にそうなのだろうか。感染症についてなんの知識もないけど、数字を見て考えてみよう。
感染者数(累計)の推移
こちらが、日本・アメリカ・フランスの累計感染者数の伸びだ。横軸は、死亡者数が累積で9名を超えた日からの経過日数。見てみるとすぐにわかる通り、アメリカとフランスは死亡者数が9名を超えて2週間後から感染者数が爆発的に増えている。パリでは12日後にロックダウン、20日後にはニューヨークがロックダウンされたが、ロックダウンして感染者数の増大は緩やかになったが止まっていない。
欧米と比較して、日本の感染者数がほとんど増えていないのがわかる。死亡者数9人を超えてから30日を過ぎた先週になって感染者数が少しずつ増えているが、増え方はアメリカやフランスとは全く異なる。
日本の人口はアメリカとフランスの間ぐらいだが、感染者数の伸び率はかなり低い。
死亡者数(累計)の推移
感染者数は検査数に左右される。アメリカも日本も全ての感染者を検査できていないと言われている。だけど死亡者数は検査数に左右されない。
肺炎で亡くなった人の中にコロナでの死亡者が混じっているという陰謀論めいた話が出ることがあるが、可能性は低い。全国の医療機関がコロナウィルス に対して神経質に対処している。コロナウィルス患者が放置されていたら、院内感染が起こり、高齢者が多い患者に深刻な被害が出てしまう。よって、コロナウィルスで亡くなった人がカウントされていないことは日本では起こり得ない。
こちらが、日本・アメリカ・フランスの死亡者数の伸びだ。感染者と同じように累積の死亡者数が9名を超えた日をDay 1としている。
アメリカとフランスでは感染者数の伸びから少し遅れて死亡者が増えているのがよくわかる。ニューヨークがロックダウンしてから3週間経過しても、アメリカの死亡者は減っていない。感染者数の伸びは少し落ちてきているので、来週辺りから減ってくると思われる。
アメリカ・フランスと比べて、日本の死亡者数の伸びは低いままだ。先週、日本では感染者が増えてきたので、2週間後に死亡者数が増える可能性はあるが、アメリカとフランスの伸びとは全く異なる。
現時点では、日本は欧米とは全く違う
日本は欧米の数週間前という話はあるが、数字を見ると実情は全く異なるのがわかる。感染者が見つかったのも日本の方が早いので、感染の広がりは日本の方が早いはずなのに感染の伸びは比較にならないほど欧米の方が早い。
どうしてこんなに欧米と日本で差異があるのかはわからない。BCGワクチンを打っているかどうかという推測もあるが、まだ検証は終わっていない。
こちらは、3月からの全世界の死亡者数だが、犠牲者のほとんどが欧米なのがよくわかる。日本だけではなく、他のアジア各国、アフリカ・南米でも死亡者の伸びは緩やかだ。
ロックダウンしても感染が広がり死亡者が増大した欧米と、それ以外の地域では対照的だ。
コロナウィルス について不明な点が多い。今後、日本で感染が広がり、欧米のように死亡者が増える危険性ももちろんある。感染すれば、高齢者を中心にリスクは高い。急激な感染増加は医療崩壊を起こし、他の重症患者への対処ができなくなる。
感染が急激に広がらないように、行動には気をつけないといけない。
ただ、現時点では、日本と欧米の状況は全く異なることは認識しても良い。未知であるものだからこそ、正しい認識を持って恐れるのが大事だと思う。