過去最大の赤字
楽天は2022年第2四半期の決算を発表した。最終損益が1766億円と過去最大の赤字を記録した。足を引っ張っているのは楽天モバイルだ。楽天モバイルだけで1240億円の営業損失を計上した。
前年同期比マイナス246億円だ。
ユーザー数が減少
今期、MNOの契約数が過去初めて減少し、前期の568万件から22万件減少した。原因は、1GB未満ユーザーが解約したからだ。解約した8割が1GB未満ユーザーだそうで、1GB以上ユーザー数は純増だそうだ。ただ純増の件数は明らかにしていない。
この数字は6月末のもので、6月末以降は解約数が減っているらしいが、8月末まではすでに契約しているユーザーは1GB未満無料が継続する。そこでまた解約が増えると予想される。さらに、10月末までは楽天スーパーポイントで還元されて実質1GB未満無料が続くので、そこでまた解約が増えると予想できる。
発表前よりメイン回線としての利用者の割合が増えたと主張しているが、解約した1GB未満ユーザーはサブ回線が多いだろうから、当然の結果だ。
また、20GB以上使用顧客の割合が増えたとも主張しているが、これも1GB未満ユーザーが減ればそうなるに決まっている。
興味深かったのは、20から30代の割合が増えていることだ。ということは、その上の年代が主に解約したということだ。楽天のグラフを見ると。50代と60代が大きく減少している。この世代の方が、支払額にシビアなのだろうか。
エコシステムへの貢献は?
最近の楽天の主張は、楽天モバイルは赤字でも楽天エコシステムの拡大に貢献しているということだ。楽天スーパーポイントをコネクションにして、無制限に利用できる楽天モバイルユーザーは他の楽天サービスを利用することが多いらしい。
実際にどれだけ効果があるかわからないが、国内EC市場の売上はたしかに伸びている。
問題は、他の楽天エコシステムの利益で楽天モバイルの赤字を補填できるかどうかだ。
楽天モバイルも今後継続的に損益改善が進むとしている。改善要因として、無料終了によりARPUが上昇するとしているが、無料ユーザーが解約するだけではARPUは変動しても売上は増えない。
今後は契約者数を増やすとも言っているが、これも現段階では不透明だ。プランを改悪したことで楽天モバイルのブランドイメージが悪化している。
auへのローミングをやめたことで、今でも「繋がりにくい」という評判を聞く。今後ネットワークを改善し来年には人口カバー率99%までもっていくとしているが、一度ついた悪い評価は容易に変えられない。
ソフトバンクも開設当時はプラチナバンドがなかったこともあり同じように繋がりにくいという評判が立ち、イメージを覆すのには数年かかった。
数年間もこの巨額の赤字を補填する余裕が楽天にあるかどうかがポイントだ。Eコマースが順調な間はよいが、逆風が吹くとどうなるかわからない。
あまりに巨額の赤字が続くようなら、創業者である三木谷会長の経営責任が問われる事態になることも考えられる。
強引なやり方は好みではないが、三木谷会長がいなければ第4のキャリアを立ち上げるような力技はできなかったと思う。ユーザーときちんとコミュニケーションしながら楽天モバイルには成長していってほしい。