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Abema TVの現在地。収益への模索。みんなCMが嫌い

Abema TVの現在地

インターネットテレビサービスであるAbema TVのWAU(週間アクティブユーザー)が1000万人を超えた。WAU1000万人を超えることはメディアが一般化するひとつの指標だと藤田CEOが常々語っていたように、ここにきてAbema TVを知る人はかなり増えたと感じる。Abema TVの現在について記します。

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Abema TVを観ている人

Abema TVの利用者は若年層が多い。リアル恋愛バラエティが人気になっている。この状況をサイバーエージェントがどこまで予見していたかわからないが、テレビを観なくなった若年層の目を捉えることに成功している。

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先日の”山ちゃん”と蒼井優の結婚会見では過去最高の視聴者を集めた。「何かあったら、テレビではなく、Abema TVを観る」というのが視聴者の習慣になってきている。

臨機応変に放映時間を気にせず番組を中継できるのは、インターネットテレビの大きなメリットだ。

地上波テレビに代わるインターネットテレビ局を作るという藤田CEOの目的は達成しつつある。ただ、収益化の課題はまだ残っている。2019年もAbema TVは200億円の赤字を計上する予定だ。

収益化への試行錯誤

当初Abema TVは、地上波テレビと同様にCMを流して広告料金で収益を立てようとしていた。

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企業CMは少しずつ増えてきているが、自社番組のCMが多く、収益化の柱としては心もとない。専門チャンネルだから、広告のターゲットを決めやすいはずだが、クライアントの獲得にはうまくいっていないように思う。

Abema TVの最初のライバルは地上波テレビ局だったが、開局から3年間でサブスクリプション型の動画配信サービスが台頭してきた。有料ではあるが、見放題のAmazon Prime Video、Netflixは、好きな番組を好きなだけ観たいユーザーをとらえた。

有料の動画配信サービスにはCMがない(あってもスキップできる)。地上波を録画してCMをスキップして視聴している人も多い。多くの人がCM、自分が選んでいないコンテンツを観ることを拒否し始めている。

サブスクリプション型は好きなときに好きなコンテンツを視聴できる。番組を待って、その時間になったらチャネルを合わせて視聴する習慣も、ユーザーから忌避されてきている。

Abema TVが地上波テレビから奪い取ろうとしているCMモデルは消えつつあるのだ。

Abema TVでも、リニア視聴からオンデマンド視聴が増えている。有料会員である「Abemaプライム」ユーザーは、多くの番組のビデオを観ることができる。

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広告モデルだけではなく、有料会員の月会費での売上を増やそうと、Abema TVも色々な対策を打っている。無料お試し期間も用意し、アプリにも「Abemaプレミアム」を誘導するメニューが増えている。その結果、有料会員数は40万人を超えた。

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他にも収益化のために、放送外収入を得ようと試みている。競輪チャンネルではレースを観戦しながら投票できる。ギャンブルの中継は長時間放送する必要がありCMもつきづらいので、地上波では放送しにくい。ギャンブルは利益を得やすいので、Abema TVの収益化には貢献するだろう。

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以前は、テレビをなんとくなく観ている「ながら視聴」する人がターゲットだったが、今は能動的に番組を選択する人がAbema TVのターゲットになってきている。

いつ黒字になる?

Abema TVの視聴者数は増え、一定のブランド力を獲得した。試行錯誤を繰り返し、売上を伸ばす手法を複数もつようになった。

ただ、これで200億円の赤字が解消できるかは不透明だ。

藤田CEOの予言どおり地上波TVの視聴者数は減ってきているが、同時にそれはAbema TVが奪おうとしていたCMモデルの衰退も意味している。

藤田CEOがよくインタビューに答えているので、サイバーエージェントの会社と思われがちだが、Abema TV株式会社の37%の株はテレビ朝日が保有している。

地上波テレビが衰退していく危機感から、テレビ朝日はAbema TVに投資して、テレビ放送のノウハウを提供した。それは今までのテレビ局の高コスト体質もAbema TVが引き継いでいることを意味する。

テレビのCMモデルが衰退してく中で、CMモデルからの脱却と同時に、地上波テレビの番組製作も変える必要があると思う。

Abemaの番組には地上テレビに出演している芸能人が多数出演している。番組内容も、地上波のコンプライアンスからは多少逸脱しているが、大きくは逸脱していない。

CMモデルを維持するために大手企業のクライアントを獲得する必要があるので、どうしても保守的な番組にならざるを得ない。

新しい番組を制作するためには、CMモデルから本格的に脱却し、新しい番組作りを再度検討する必要があるように思う。

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