サイバーエージェントのQ3決算
サイバーエージェント2019年4月から6月の決算が発表された。前年同期比で売上8.8%増、営業利益38.3%と大幅な改善が見られる。前回の下方修正前から行っていたコスト削減の結果だ。
引用:サイバーエージェント決算
では、注目のAbema TVはどうだったか。チェックしてみます。
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Abema TVは順調か?
サイバーエージェントの藤田社長は、Abema TVの視聴者数は順調に増えており、目標だった1,000万人のアクティブユーザーを達成し、黒字化を視野に入れる時期に来たと発言した。
大きな話題となった宮迫と田村亮の会見をはじめ、「大事件があればAbema」という習慣ができつつあるのは大きい。
「地上波の時代を終わらせる」意気込みで始まったAbema TVだが、出資会社でもあるテレビ朝日との連携を強化し、当初の方向性とは変わり始めている。尺の関係で地上波では流せないコンテンツをAbema TVで流し、インターネットテレビの利点である「実況」を利用した番組づくりと、地上波との相互補完を強めてきている。
変質というより、市場に合わせた藤田社長の柔軟な取り組みを評価すべきと思う。
着実に、ネットユーザーの視聴パターンに浸透してきたAbema TVだが、売上はどうだろう。
売上は前年同期に14.6%増だが、開始当初以外では初めて前期比で売上が減少した。SNSサービスである「アメーバピグ」の終了予定が影響したと言っているが、12月に終了するサービスの影響がそこまで大きくでるのだろうか。
営業利益の赤字は減少したが、サイバーエージェント全体で実施したコスト削減の効果だと思われる。
元々広告収入での売上を主体と考えていたAbema TVだが、最近では有料会員での売上向上に軸足を移しつつある。有料の「Abemaプレミアム」の会員数は増え続けているが直近では会員数の伸びが落ちているのが気になる。
オンデマンドではなくビデオでの視聴者になるAbemaプレミアムは、Netflixなどの動画配信サービスとバッティングするので、コンテンツの質が大きく影響する。
藤田社長が言っているように、コンテンツ勝負では資本力の違いでNetflixなどの外資系サービスには歯が立たない。そのNetflixにも、会員数の伸びが停まり大幅な株価下落に直面している。市場が飽和しつつあるようだ。
とは言っても、黒字化のためには広告収入と有料会員による課金収入に頼らざるを得ず、今回公表された中長期の売上高イメージでは、将来は課金収入と広告収入が全体の売上の半々を占めるような将来を考えているようだ。
様々なコンテンツを集め、視聴者数の獲得には成功しつつあるが、それをマネタイズする手法では苦しんでいるように見える。
楽天と提携したら?
インターネットテレビであるAbema TVは、地上波のようなCMよりはインターネット通販との連携のほうが相性は良いように思う。Abema TVでも通販番組を放送しているが、CMと購買が直結し、CMで紹介された商品を1クリックで購入できたらどうだろう。
インターネット通販の大手Amazonは自前の動画配信サービス「Amazon Prime」があるので提携しづらいが、楽天ならどうだろう? 色々なものに手を出す楽天は「Rakuten TV」をスタートさせたが、そこまで評判になっていない。
楽天が参入しようとしている5G高速通信網のキラーコンテンツのひとつとして屋外での動画視聴があげられる。楽天モバイルがサイバーエージェントと提携して、Abema TVがフリー視聴(ギガが減らない)ができるようになれば、視聴者数はさらに増える。
地上波のようなCMではなく、通販的番組のようなCMを流したらどうだろうか。欲しくなったら、タップひとつで楽天市場で購入できる仕組みになれば、通販の売上に直結するし、視聴者の利便性も高まる。
国内最大手の楽天なら、参入企業も多く、品揃えも豊富だから番組とのコラボも容易だ。
いかがでしょうか? 藤田社長。