好調なAmazon
Amazonが第2四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比39%増、純利益は約13倍の25億3400万ルで過去最高を更新。驚異的な成長率だ。Amazonの好調さを改めて立証する決算となった。
売上の61%が北アメリカの売上で、プライム会員の値上げや買収したホールフーズ・マーケットが好調だった。
AWSの売上はAmazon全体の11%だが、営業利益になると55%になる。Amazonの利益の源泉がAWSということがよくわかる。
Amazonは市場を占有している?
Amazonが急成長を続けると市場を占有し、独占禁止法違反の疑いが生じてくるのだろうか。
ECの世界でAmazonは北米の50%以上のシェアを握っているが、全小売の売上では5%ほどしかない。アメリカの大部分を占める地方では自宅から5マイル以内での店舗へ週末自動車で買い物へ行くことが多い。Amazonがスーパーマーケットを買収したのも、その買い物需要をオンラインだけではカバーできないと判断したからだ。
AWSどうだろうか。クラウドサービスの売上におけるAWSのシェアは30%強だ。Microsoft Azureの伸びもあり、AWSの成長率は鈍化しつつあるので、寡占化を理由にAWSを独占禁止法の対象にするのは難しい。
アメリカでは民主党を中心に強大になりすぎたAmazonなどのIT企業の分割論もでているが、上記のようにAmazonが市場を寡占化して競争を不当に妨げる事実はない。独占禁止法は、市場を独占することで消費者に悪影響を及ばさないための法律だ。
消費者がAmazonを好んで利用しているのは明らかだ。
本当に独占しているのは顧客データ
Amazonが独占しているのは顧客データだ。Amazonで買い物をした人の住所はもちろん買い物の嗜好や家族構成など、大量の顧客情報をAmazonは抱える。
今回の決算でベゾスCEOが強調したようにAlexaのユーザーは急増している。顧客情報に紐付いた音声情報までもAmazonは蓄積している。Amazonプライムビデオやミュージックでユーザーの趣味の好みまでもAmazonは知っている。
これだけ多方面に及ぶ顧客情報を集めた企業が過去にあっただろうか。この情報を使えば、市場をコントロールすることも可能だし、他の業界へも参入しやすい。
顧客情報の独占をどう監視していくか、EUや日本でも議論ははじまっているが、まだ有効な手立てはない。議論が進み、個人情報の独占が独占禁止法違反となると、Amazonのビジネスに大きな影響を及ぼすことになるだろう。
それはいつになるかわからないが、いずれ何らかの制約ができるに違いない。