公正取引委員会によるApp Storeの調査が終結
Appleは日本の公正取引委員会による調査が終了し、アプリ内に自社サイトのリンクを含めることを許可すると発表した。
今までApp Storeからダウンロードするアプリには自社サイトへのリンクを貼ることが禁止されていたが、今回解禁されることになった。
ご存知の方も多いと思うが、App Storeのアプリのサブスク料金は30%がAppleに徴収される「Apple税」が批判を浴びていた。
今回の外部リンクの許可は日本だけではなく全世界で許可されていて、「Apple税」への批判を避ける意味がある。
この規制緩和により、今までAppleが守ってきたApple税は消滅するのか。考えてみます。
アプリ外の課金は認めていない?
アプリからの外部リンクをAppleは許可したが、App Store外での支払いを認めるとは言っていない。iPhoneにインストールするアプリは全てApp Storeを経由する必要があるのは変わらないので、有料アプリを販売するなら「アップル税」を回避することはできない。
アプリのダウンロード時は無料にして、後から課金するパターンもあるが、それを許可するとはAppleは言及していない。
では、許可されたリンクは何に使うというと、ユーザーがアカウント設定や管理するためのものというのがAppleの主張だ。
Apple税は?
米国では裁判の和解案の中に、外部リンク以外の合意事項もある。その中には年間収入100万ドル以下の企業には30%のApple税を15%に減額する措置を今後3年間継続するという事項もある。
この和解通りなら、減額はされるが、Apple税自体のスキームは維持されることになる。
Appleの牙城は崩れない
ユーザーがアプリを健全に利用するためにApp Storeは不可欠だとAppleは主張している。WindowsやMacなどPCの世界では、誰でも好きなアプリをインストールできるのが当たり前だった。自由ではあるが、ワームを内包した悪質なアプリをインストールしてしまう危険もあった。その反省からスマホアプリをAppleを管理下に置くことを決めた。これはAppleがハードウェアとOSを独占しているからできることだ。
いわゆるApple税はその運営費だとAppleは言っている。
一方で、iPhoneを中心とした垂直統合内でのビジネスを死守したいAppleの思惑がある。ハードウェアであるiPhone、専用OSであるiOS、そしてアプリをApp Storeに限定することで、Appleの箱庭の中でしかビジネスができないようになっている。
安全で、自社のブランド価値を維持し、潤沢な利益を得るというAppleビジネスの生命線は、今回の合意では揺るぎそうもない。
Appleの株価は過去最高値を更新しており、市場も今回の合意がAppleの業績に悪影響を与えないと判断しているようだ。