小説とIT

「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の「夏のピルグリム」を7月18日に刊行

「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の 「夏のピルグリム」 が7月18日に発売になります。初の単行本形式の小説です。
興味がある方は書店で予約してみてくださいませ。

MENU

AppleがEpicを反訴。フォートナイトを巡る争いは次の段階へ

AppleがEpicを反訴

Epicの契約違反で損害を被ったとしてAppleが反訴した。Epicが独自の課金システムを立ち上げたことが契約違反であり、App Storeから得られるメリットを無料で享受しようとしているとAppleは主張している。

反訴の一方でAppleは、Epicのゲームの「Apple IDでのログイン」を禁止した。このサービスはアカウントを新規に作らなくてもApple IDを使ってゲームやサービスにログインできるシステムなので、今までApple IDでログインしていたユーザーはEpicのゲームで遊べなくなってしまった。

それに対して、Epicは不当な反訴だと主張しており、双方が和解に応じる素振りはなく、エスカレーションする一方だ。

今後どうなるか考えてみます。

f:id:tkan1111:20200911092345p:plain

AppleとEpicの主張

Appleの主張は「契約違反であり、EpicはApp Storeを無料で利用しようとしている」だ。契約違反についてはその通りだ。Epicは「Appleが独占的地位を利用して独自の課金システムを認めず強制的にApp Storeを利用させて30%の報酬を得ている」と主張しているが、一方でApp Storeに自社ゲームをアップロードした際に締結した契約に違反して独自課金システムを立ち上げたのは事実だ。

もう一つのAppleの主張である「App Storeのメリットを無料で享受しようとしている」はApp Storeで利用する前提の主張だ。

Epicは、Apple経由以外ではiOSデバイスにインストールできないことを問題としている。App Storeを利用しなくても、Epicは自社でアプリを提供し課金するシステムを提供できる力がある。Appleがそれを認めないから、仕方なくApp Storeを利用しているに過ぎない。

Appleはその事実を無視して、App Storeを利用する前提で主張しているわけだ(締結した契約にApp Storeを使うと記載があるのだから当然ではあるが)。

大雑把にまとめると、契約違反は許されないとAppleは主張していて、Epicはその契約自体が反トラスト法(日本でいう独占禁止法)に違反していると主張しているわけだ。

AppleとしてはApp Storeの存在意義に議論を広げたくなく、Epicとしては契約違反した事実だけに目を向けられたら困る。

つまり双方の主張は噛み合っていない。

どちらの主張にも一定の理はある。Epicが締結した契約に違反したのは明らかだし、App Store以外の課金システムが認められればAppleへ支払う手数料が免除され、ユーザーが支払う料金も値下げできる。

やっぱり契約違反がまずい

とは言っても、Epicが最初に契約違反したのはやはりまずいと思う。自分たちの主張が正しいと思うなら、契約違反せずに反トラスト法でAppleを訴えればよかった。

言い方は悪いかもしれないが、店から万引きした後に「この店は悪徳な商売しているから訴える」と言っているようなものだ。

現実に今困っているのはEpicのゲームで遊べないユーザーだ。全世界で大人気のフォートナイトはiPhone・iPadではアップデートできないので、最新バージョンのユーザーと遊ぶことができなくなっている。今回の「Apple IDでのログイン禁止」で遊べないユーザーはさらに増えるだろう。

ユーザーのためにも、Epicは契約違反以前の状態の戻したほうが良い。Appleは契約を遵守してくれれば、今までと同様のビジネスを認めると言っているのだから。

Epicが確信犯的に契約を違反したのは、Appleのやり方に世間の注目を向けるためだ。その目的はある程度は成功した。

であるなら、契約違反前の状態に戻してから反トラスト法違反かどうか法廷で争うのが正しい道だと思う。

 
IT関連のブログをほぼ毎日更新していますが、本業は小説家です。
ブロックチェーンなどITを題材とした小説の他に、ミステリー、恋愛物、児童文学など様々なジャンルの作品を取りそろえています。
Kindle Unlimited会員ならすべて無料、非会員の人にも99円からご用意していますので、お読みいただけると幸いです。感想もいただけたら感涙でございます。