2023年Q1決算
Appleが2023年度Q1決算を発表した。売上は前年同期比マイナス5%で、減収減益だった。
Appleにしては困難だった決算を振り返ります。
iPhoneの不調
カテゴリー別で一番大きく売上を落としたのはiPhoneだ。前年同期比マイナス8%だった。iPhoneが前年同期比で売上を落としたのは2020年度Q4以来。
新モデルの売上が反映されるQ1での売上現象は過去に記憶がない。
iPhoneの新モデルが期待外れだったのが要因だと思われる。昨年販売したiPhone 14は目新しい機能が少なく、標準モデルはチップも前年モデルと同様だった。この仕様では不景気の中、買い替え需要は起きにくい。
ただ、計測期間は異なるが、IDCの報告では、iPhoneはマイナス15%の出荷台数だった。生産台数の減少に比べて、売上がマイナス8%で収まっているので、iPhoneの平均販売単価が上昇した可能性がある。iPhone 14はほとんど機能が変わらなかったが、ProはDynamic Islandなど新たな機能が盛り込まれた。標準モデルから単価が大きいProモデルへ意図的に誘導している。
Proモデルへの誘導がある程度効果があり、iPhoneの平均販売単価が上がった可能性がある。
Macの不調
Macは前年同期比マイナス29%と大きく売上を落としている。巣篭もり消費の効果が薄れたのと、Windows PCを含めた世界的なPC不況の影響だと思われる。
昨年のWindows PCは記録的な生産減少に直面した。中国のロックダウンと半導体不足が主な原因だ。Macは最新モデルのMacBook Proなどが中国の生産遅延の影響を受けたとAppleも説明している。
MacはWindows PCほどではないが、影響を受けた。
iPadの好調
iPhoneとMacの不調を尻目にiPadは好調だった。アップデートした無印iPadが好評だった。ただ、無印iPadは大幅モデルチェンジした結果、価格が跳ね上がったので、台数が増えたのではなく、今回の売上増は値上げの影響が大きかった可能性がある。
Apple Watchの不調
Apple Watchを含むアクセサリ部門は前年同期比マイナス8%の売上だった。Apple Watch series 8の売上の影響が大きい期だったが、あまり伸びなかったのか。
Apple Watch series 8は性能向上が乏しく、期待外れだったのかもしれない。
全くの新ラインナップであるApple Watch Ultraは価格が上がったので、ヒットすれば売り上げが伸びるはずだが、値段もサイズも人と使い方を選ぶモデルだったからか、決算からはヒットしているかどうかわからない。
サービスの好調
iPad以外で売り上げが伸びたのはサービス部門で、前年同期比プラス6%。過去最高の売上だ。Apple MusicやiCloudが好調だったのだろうか。
どの地域もマイナス
地域別の売上は、全地域でマイナス。一番多く減ったのはヨーロッパと中国だ。中国はロックダウンの影響が大きかったか。
新モデルか抜本的なテコ入れか
インフレやパンデミックによる世界的な不況の影響が影を落とした決算だった。
外的要因だけではなく、近年のAppleは、主力商品であるiPhoneとApple Watchの売上不振、革命的な新モデルの欠如が起きているように思う。
チップの進化が停滞し新機能も少なく、最近のiPhoneとApple Watchはモデルチェンジしても新鮮味が薄い。市場が飽和化しつつある現状では、買い替え需要を狙うべきだが、これでは大幅な売上増は見込めない。
また、ここ数年のAppleは新しいラインナップの製品が出ていない。噂のARゴーグルも、噂だけでなかなか登場しない。今すぐに登場してもAppleの決算に貢献するのはかなり先の話だ。
インフレの影響は徐々に改善しつつあるので、今の間に新モデルの準備を進めることが重要だと思う。