Appleがモデム事業を買収
Intelのスマートフォンモデム事業を約1,100億円でAppleが買収した。約2,200名の従業員と17,000件の特許をAppleは手に入れた。
AppleとしてはBeatsに次ぐ大型買収の実現だ。どうしてAppleがInetlモデム事業を買収した理由を考えます。
5Gモデムチップの開発
今年から来年にかけて全世界で次世代移動通信網5Gがスタートする。4Gに比べて10倍の通信速度を誇る5Gへの転換は10年に一度のビッグイベントだ。
2020年にはiPhoneにも5Gモデムチップを導入すると言われている。自社で5Gモデムチップを開発製造する意味は大きい。
自前主義
ここ数年のAppleは、プロセッサに続いてGPUも自前で開発製造しようとしていると言われている。
スマートフォンがコモディティ化してきて性能が似てきた現状、自社で高性能なチップを開発することは他社との差別化に繋がる。AirPodsに搭載されたApple開発のH2チップはAirPodsのレイテンシーを上げて、商品価値を高めた。
モデムチップについても同様に、他社のスマートフォンに勝つ有力な材料になる。
Qualcommとの訴訟
Appleと5Gモデムチップの最大手Qualcommは取引条件について長年裁判所で争ってきた。今年の4月に和解したが、5Gに乗り遅れないためにAppleとしては苦渋の選択だった。
和解したとは言え、今後Qualcommが有利な条件で取引を持ちかけてくる可能性もある。他社の思惑に左右されないために、Appleとしては自社で調達したかったと考えるのは自然だ。
Appleの垂直統合主義は今後も成功するか
Appleは、ソフトウェア・OS・ハードウェアを自社で開発することでブランド価値を高め、他社と差別化してきた。AppleのOSを使いたいならAppleのハードウェアを買わないといけない。Appleの製品で囲われた楽園でユーザーは優れた顧客体験を得ることができる。
一方で、ここにきてApple MusicをAmazon Echoに提供するなど、自社のサービスを他社へも展開しはじめた。Spotifyなどライバルとの競争に打ち勝つために、より多くの顧客を獲得する必要があるからだ。
iPhoneの売上が停滞してきて、サービス事業に注力してきている中の大型買収。ハードウェアについては自前主義にこだわることで他社との競争に勝とうとAppleはしているようだ。