Appleのサーバーから「不正なチップ」を発見?
Super Micro社が販売したサーバーに不正なマイクロチップが埋め込まれていて、このチップを介して社内ネットワークにアクセスが可能だった、そのサーバーはAmazonやAppleも使用していたとBloombergが報じた。
それに対して、AmazonもAppleも全否定し、特にAppleはそんなチップは社内で発見されていないと強く否定し、プレスリリースまでだした。しかも、ご丁寧に日本語訳のリリースまで作成している。
引用:Bloomberg
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「不正なチップ」とは?
チップを不正に埋め込んだのは中国人民解放軍の工作員の仕業だとBloombergは報じている。中国国内の工場でチップは製造されサーバーのマザーボードに埋め込んだ。
不正な情報入手というとサーバーへのサイバーアタックが一般的だが、今回はサーバー上にチップを密かに載せることでサーバーへの不正なアクセスを実現したという。ハードウェアに不正が施されると、アクセスの記録が残らず、発見は常に難しい。
言うまでもなく、サーバーやマザーボードの多くは中国の工場で生産されている。
AppleとBloombergどちらかが嘘をついている
Bloombergの記事をまとめると、以下のとおり。
- チップを介した攻撃対象にAppleも含まれていた
- 15年夏にサーバーで不正なチップをAppleは発見した
Appleの反論は、まとめると以下のとおり。
- 不正なチップは自社サーバーでは発見されていない
- この件でFBIなど公的機関と接触した事実はない
- Super Micro社製サーバーにウィルスが発見された事件と混合しているのでは?
双方の意見は相反しているので、どちらかが嘘をついているとしか思えない。
Appleなぜ強く反論したのか?
どちらが本当のことを言っているのかわからないが、Appleの反応はかなり強硬だ。その背景には、個人情報の保護がAppleのビジネスにとって重要なことがある。
Facebook、Googleが個人情報の収集とビジネスへの転用で批判されている中、Appleは「個人情報で商売はしない」と高らかに宣言し、消費者の信頼を得ようとしている。
Google、Facebookと異なり広告で利益を得るのではなく、ハードウェアとサービスを販売している企業だから、Appleはこういった宣言ができるわけだが、Googleはスマートフォンのライバル企業もである。Googleに対抗するためにも、個人情報に対するポジションの違いはAppleとしては明確にしたい。
社内サーバーに不正なアクセスがあったことをAppleが容認できるわけがない。
米中の対立がIT業界に影響を及ぼす
米中の対立が激化していくと、両国の情報戦争も激しさを増していく。すでにアメリカ政府は中国メーカーのスマートフォンの禁止を決めている。その背景にも、今回露見したサーバーの不正チップ事件があった。
中国国内の工場で不正なチップを埋め込まれたとなると、中国メーカーだけではなく、アメリカのメーカーでも安心して使用できなくなる。防止するためには中国からアメリカ国内への工場移転も視野に入ってくる。
気になるのが、この流れがトランプ大統領の政策と一致していることだ。アメリカ政府が自身の政策実現のために、有利な情報を意図的に流している可能性もある。
こういった観点からニュースを観測するのも興味深い。
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