Apple Watchのパスコードが面倒くさい
Apple Watchのセキュリティを高めるためにはパスコードを設定する必要がある。4桁の簡単なパスコードかそれ以上の複雑なパスコードを選ぶことができる。
パスコードなんて、Touch IDとFace IDと進化してきたiPhoneと比べると前近代的な手法だが、Apple WatchにはTouch IDもFace IDも導入されていない。
ただ、Apple Watchには連携するiPhoneのロックが解除されればApple Watchも自動的にアンロックする機能がある。
ただ、この機能が結構微妙で、説明に記載があるとおり「iPhoneのロックを解除」しないとだめ。iPhoneをアンロック状態で、Apple Watchを装着してもApple Watchのロックは解除されないのだ。その場合は、Apple Watchを装着した状態でiPhoneを一時的にロックさせて再びアンロックする必要がある。とても面倒だけど、それ以外にはApple Watchにパスコードを入力するしかない。
オフにするとApple Payが使えない
Apple Watchのパスコードをオフにすることもできる。
ただ、これも問題がある。Apple Payが使えなくなるのだ。Apple PayをApple Watchで使うにはパスコードが必須になる。もちろんSuicaも使用できない。Apple Watchを使う大きなメリットはApple Payなので、Apple Watchのパスコードを設定しないのはありえない。
Touch ID、Face IDの導入は?
近年のApple WatchはiPhoneからの独立を目指してきた。GPS、モバイル通信、App StoreとiPhoneがなくても使用できるようにApple Watchは進化してきた。それなのにロック解除がiPhoneに頼っているのは心もとない。
では、iPhoneに導入されているTouch ID、Face IDの導入はあるのか。こちらはかなり懐疑的だ。Touch IDにはホームボタンのような指を置くスペースが必要だ。ボディが小さいApple Watchの前面にはそのようなスペースがない。Face IDもカメラがないと実現できない。画面内のどの場所でも指紋認証できる技術が発達すれば、いずれApple Watchにも導入される可能性はあるが、まずはiPhoneからだろう。
生体認証は?
身につけるウェアラブルデバイスとしてのApple Watchとしての特性を活かして、指紋以外の生体認証はどうだろう。
実は、いくつかの特許をAppleは申請している。ひとつは静脈認証。赤外線を照射して戻ってくるタイミングで静脈パターンをスキャンする方法だ。人体の静脈パターンは無限に近く、各人が固有のパターンを保有している。三菱UFJ銀行が「てのひら静脈認証」を導入している。
ただ、これも赤外線を照射するパーツをApple Watchに追加する必要がある。
もうひとつは、肌の肌理(きめ)で認証する方式だ。
Apple Watchのバンド裏側に配置したカメラで肌の肌理をスキャンする。これも現行Apple Watchにはないカメラを内蔵しなければならない。
いずれも特許申請段階なので、Apple Watchに導入されるかは不明だ。
新型Apple Watchでどうなる?
春に発表されたwatchOS 6でも、Apple Watchのセキュリティーについての言及はなかった。OSのアップデートでなにも発表がないときは、秋に発売する新型のハードウェアに新機能が導入されることが多い。
Apple WatchがiPhoneから独立するためには、Apple Watchのセキュリティ問題の解消は不可欠だ。新型Apple Watchにはなんらかの新しい認証方式が導入される可能性はある。見てきたようにFace IDの導入は難しそうだ。Touch IDもホームボタンのようなスペースはとれそうもない。
ただ、指を置ける平らな部分ならディスプレイ以外にApple Watchにはある。それは側面についているデジタルクラウンの頭の部分だ。従来のホームボタンよりはかなり狭いが、Apple製品には導入されていないだけで、より小型な指紋認証センサーを導入しているケースは他社製品にはある。デジタルクラウンはかなり小さくはあるが、導入できないサイズでもない。
または、指紋認証(ひょっとするとFace ID機能)をモジュール化して提供されるのはどうだろう。
Apple Watch本体ではなくバンドに機能を搭載するアイデアは以前より囁かれている。Apple Watchにない機能のひとつであるカメラもバンドに搭載する噂もある。
指紋認証(またはFace ID)も本体ではなくバンドに搭載して提供されるかもしれない。