売れているApple Watch
昨年のApple Watchの出荷台数が約3000万本だったと調査会社であるStrategy Analyticsが発表した。前年比プラス36%と大幅な伸び。この数字はスイスの全腕時計出荷位台数の1.5倍に相当する。当初は「今更腕時計をつける?」みたいな批評も多かったが、街でApple Watchをつけている人を見かけるのも珍しくなくなり、すっかり一般化した。
発売してから5年間ほぼ毎日Apple Watchをつけている筆者が考えるApple Watchが売れている理由を記します。
通知
Apple Watchを身につける最大の利点は「通知」だと思う。大型化したスマートフォンをズボンやシャツのポケットに入れておくのが難しくなり、バッグに入れている人が増えた。スマホを身につけていないと困るのがメールやメッセージを着信に気づかないことだ。人前で着信音を響かせるわけにもいかない。
Apple Watchがあれば振動で「通知」がわかり、手首で内容を確かめることができる。LINEやメッセージが着信したときは手首をタップして返信することもできる。
これだけのためにApple Watchを買う価値があると思う。
Suica
Apple WatchはSuicaを登録することができる。iPhoneを取り出す必要がなく、Apple Watchをかざすだけで駅の改札を通過できるのは非常に便利。
右利きだと左腕につけることが多いApple Watchを改札機にかざすのは難しいと想像しがちだが、実際にやってみるとそんなことはない。特にキャリーバッグなどの荷物が多い時はiPhoneを取り出すのも面倒なので、少しだけ体をひねりApple Watchをかざして改札を通過するのは一度行うと、それ以外の方法で電車に乗るのが煩わしく感じるほどだ。
JR東日本では、新しい改札機の導入を検証している。この改札機ではICカードのタッチ部分が斜めになっている。まだ試していないけど、Apple Watchをより楽な体勢でかざすことができそうだ。
PayPay
Apple WatchでPayPayが使える。PayPayアプリを起動すれば、Apple Watchの画面を見せるだけでコンビニなどで買い物できる。
Apple WatchではApple Payも使えるが、PayPayならクレジットカードを使わない人でも利用できるし、PayPayが行っている様々なキャンペーンにも参加できる。
Apple Watch単体でも動作するので、ランニングや散歩中でもiPhoneがなくてもドリンクなどを買うことができる。
ワークアウト
Apple Watchはワークアウトに最適だ。ランニングやウォーキングはもちろん、多くのワークアウトに対応している。
ワークアウトは継続することが大事だが、Apple Watchはワークアウトを継続するのが巧みだ。こういう通知を毎日送ってきて、エクササイズを促してくれる。
音楽
Apple Watchは音楽再生を操作できる。iPhoneで音楽を聴いているとき、手首で再生・停止、音量を調整できるのは非常に便利だ。
オーディオブックの再生も手元で操作できる。ランニング中や通勤中、iPhoneが使えない状況でも簡単にボリューム調整できる。AirPodsは耳元で再生・停止などの操作はできるが、Siriに頼まないとボリュームは調整できない。
Apple Watchに音楽やオーディオブック(Audible)をダウンロードできるので、AirPodsとApple Watchだけで外出するのも容易だ。AirPodsと合わせて使うことで、Apple Watchの可能性がさらに広がる。
時間
「Apple Watchで時間がわかる」という一周まわったAppleのキャッチフレーズが話題になったけど、実際にApple Watchの画面を一番見るのは時間を確認するときだ。
スマートフォンを持ち歩くようになって腕時計を身につける機会が減り、時間を確認するのにスマートフォンをとりださなければいけなくなった。
Apple Watchがあれば手首で時間を確認できる。腕時計なので当たり前なんだけど、スマートフォンに慣れてしまった人間からすると、これが本当に便利。
特にApple Watch Series 5になって、常時点灯できるようになったので手首をひねならなくても時間がわかるようになった。
そんなに変わっていない
Apple Watchを使うメリットを上げてみたら、昔からあまり変わっていないのに気づいた。SuicaとApple PayはApple Watch Series 3からだが、それ以外の機能は初代から搭載されている(常時点灯やGPSなど多少進化しているが)。
それでも売れているのだから、初期のデザインからApple Watchが優れていたということなのだろう。
一方で、Apple Watchの進化が停滞しているともとれる。昨年モデルでは常時点灯以外に目立った新機能はなく、内部構造も変化しなかった。
進化が停止すれば、いずれ飽きられてしまうし、市場も飽和するときがくる。それを打破する新しい機能を今年は見せてくれるのだろうか。