一段落したQRコード決済ブーム
一時期、鬼のようにたくさん登場したQRコード決済も最近は落ち着いてきた。以前あったような30%ポイント還元のような大胆なキャンペーンも減って、レジでQRコードを見せる姿も日常化した。
MMD研究所の「2021年7月スマートフォン決済(QRコード)利用動向調査」によると、最も利用されているQRコード決済はPayPayで全体の半数近い。PayPayに続くのがd払い、楽天ペイ、au PAYと見事に携帯キャリア会社が運営するサービスが上位を独占している。
これは、携帯キャリアが積極的にPRしていることと、携帯サービスと連動しているからだろう。値下げが続く通信料金だけでは将来が見通せない携帯キャリアとしては、PayPayモールなどの販売事業にも直結するQRコード決済事業を伸ばしたいのだろう。
その中でもPayPayが圧倒的だ。対応店舗数が多いことと導入初期の派手なキャンペーンで顧客を掴んだことが大きい。
ソフトバンクグループの強大な営業力のおかげで、小さな個人商店がPayPayに多く対応したことが大きい。今まで現金しか使えなかった個人商店や直売所のようなところでも使えるPayPayは確かに便利だ。
クレカに迫るスマホ決済
QRコードだけではなくWAONなど非接触決済を含めたスマホ決済を使っている人は全体の約半数、クレジットカードは約71%なので、かなり接近してきている。
筆者の場合、クレジットカードを使うのは、スマホ決済が使えないときだけだ。もうひとつ、高額決済のとき。高級レストランや店舗で購入するときはスマホ決済ではなく、クレジットカードを用いることが多い。高額の場合、なんとなくQRコード決済を使いたくない。「ペイペイ!」とかいう音が気になるからかも。
旧来のサービスが強い非接触決済サービス
非接触決済サービスのシェアはどうだろう。MMD研究所の「2021年7月スマートフォン決済(非接触)利用動向調査」によるとiD、モバイルSuica、楽天Edyが拮抗している。どれも老舗のサービスだ。対応店舗が多いのと、最初に使ったサービスを使い続ける傾向にあるようだ。
QRコード決済と異なり、派手なキャンペーンも少ないので、非接触決済サービスの場合、様々なサービスを使うモチベーションは低い。スマホをかざすだけだから使い勝手も大きく変わらない。
最近Apple Payに対応したnanacoやWAONのシェアは今後増えるかもしれない。
あまり変動がない
以前確認したときもPayPayがシェアトップだった。QRコード決済を使うにはアプリをインストールし、チャージする設定を行わないといけないので、新たに決済サービスを導入するのは面倒だ。デファクトスタンダードが強いのは世のサービスの常で、決済サービスの場合は対応店舗数が使い勝手に大きく影響する。
PayPayは手数料を有料化したので、店舗は決済手数料を支払うようになった。それによる店舗数の減少は0.3%だとPayPayの親会社であるDHZが発表している。契約解除した店舗が増えないようなら、他のサービスは自力でシェアを増やす活動をする必要がある。ドコモやKDDIなど携帯キャリアが中心に様々なキャンペーンを仕掛けて利用者を増やしていくことになるだろう。
また、PayPayを抜くには地道な営業努力により店舗数を増やしていく必要があると思う。