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どうして人間はAIを恐れるのかを考える

脅威のAI

今年に入って「Chat GPT」登場により、今まで以上にAIが注目を浴びている。ここ数年「AIが仕事を奪う」という脅すような記事が書かれてきたが、Chat GPTのあまりの有能さに、AIの脅威が現実のものとして捉えて始めている人も増えてきていると思う。

AIは便利なものなのに、どうして人はAIを脅威と感じるのか考える。

未知なものは怖い

人は未知なものを怖がる。たしかにAIは未知なものだ。子供の頃からパソコンを扱い、IT業界で長年仕事をしてきたので、新しいデバイスや技術もどのような設計になっているか大体想像がつく。スマートフォンやスマートスピーカー、ブロックチェーンなど、仕組みを少し聞けばおおよそはどのようなか理解できる。

だけど、Chat GPTなど対話型AIだけはさっぱりわからない。あまりにも多彩な用途に使えるし、あまりにも的確で、あまりにも反応が素早い。どうしたら、こんなスピードで結果を表示できるのか理解が及ばない。対話型AIの説明を読んで、どのような仕組みなのかある程度は理解したけど、現実の性能を見てしまうと、腑に落ちないところがある。

ITに詳しくない方は、まるでAIが魔法みたいに見えるのかもしれない。

わからないものは、やはり怖い。便利と思うの同時に怖いという感情をもたげてしまう。

パソコンができて起こったこと

人がAIを恐れるのは、AIに自分の仕事を奪われてしまう恐れがあるからだ。AIが進化して優秀になればなるほど、人の代わりに仕事ができるようになる。AIは疲れないし、飽きない。いつまででも仕事ができる。時給はかからないから、ランニングコストもわずかだ。

AIができるなら、人は不要になる。そう思うのは無理がないかもしれないけど、同じようなことはパソコンやスマホでも言われてきた。

たしかに人が行ってきた仕事の一部はパソコンに取って代わられた。30年前は電卓を叩いて手書きで帳簿をつけていたが、パソコンによって作業は迅速化された。だけど、やはり人間が帳簿を作成しているのには変わりない。一方、パソコンを導入したことでパソコンの管理する人、プログラムを作る人の仕事が増えた。

パソコンが導入されて、人が行う仕事の総体は減ったとは思えない。減ったのは単純な作業だ。

AI導入で起きることも、パソコンの時と基本的に同じ流れことだと思われる。

要望を生み出すのは人間

「AIはパソコンとは違う、人工知能なんだからパソコンを操作する人間にとってかわる」と主張する人がいるだろう。

でも、考えてみてほしい。「Chat GPT」に質問や要望をしているのは誰だろう。ユーザーである。AIがAIに質問したり要望を出したりするわけじゃない。人間が疑問を浮かばない限り、AIは何もしない。あくまでも人間が発端なのだ。AIが行っていることは、人間の手助けに過ぎない。

それでも、「AIが進化したら、AIが自分で質問して自分で回答するのでは?」と考える人もいるかもしれない。センサーで現在の状況を感知し、それに合わせた計算をして動作することをAIが全て自分で行うことができれば、人間は仕事を失うと想像するのも致し方ない。

でも、現在でも同じようなことが行われている。エアコンは気温や湿度をサーモスタットなどで計測し、コンプレッサーなどを動作させて快適な室内温度を保つことができる。コンピューターが自動的に行っていて、人間が行うことは最初に電源を入れることだけだ。

AIと人間の役割も基本的にはエアコンと人間と同じだ。AIが自分で疑問を抱き、それに回答した場合、その作業は人間には見えない。人間に見えない部分を評価する人もいない。利益を得ようとしないAIが要望を出すことはないし、利益のために進化することもない。

要望は人間が生み出すものだ。

AIは暴走する?

そうはいっても、AIの進化は加速度的だ。将来的には人間と同じようにAIが要望を生み出し、自己解決する世界が生まれると想像する人もいるかもしれない。

AIが人間を真似て現状の改善を望み、自ら解決することが可能になると思う。だが、そのような世界を誰が望むのだろう。AIを設計するのも運営するのも人間だ。人間が望まなければ自己完結型のAIは稼働することはできない。人間にメリットがないAIは開発されないし、稼働もできない。

自己完結型AIの設計が可能なら、ターミネーターのスカイネットのように自我を持ったAIが人間を攻撃することが現実に起きるのでは? と想像する人もいると思う。

その危険性を完全に否定することはできない。人間が設計する以上、設計ミスは起きるし、悪意を持った人間が世界を滅ぼすためにAIを暴走させることはあり得る。

だが、それが可能になるには、まだ少し時間がある。核兵器や原発の管理など人類にとってクリティカルな作業までを自己完結型AIが管轄させようと判断するのは人間だし、その際にはセーフティ機能を人間は設けるに違いない。

IT関連のブログをほぼ毎日更新していますが、本業は高山環(たかやま かん)というペンネームで小説を書いています。
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