止まらない感染と自粛
コロナ感染者が増えている。今は第7波と呼ばれているが、今までと少し異なるのが東京や大阪など大都市圏よりも、沖縄などの一部地方の方が人口比の感染者数が多い点だ。
人から人へ感染する感染症の場合、人口が密集する大都市の方が感染のスピードは速いのが通常だし、緊急事態宣言も大都市中心に発出されてきた。
しかし、コロナウイルスは、日本経済に大きなインパクトを与えている。その影響は大都市より地方経済の方が大きい。その理由をご紹介します。
多い高齢者
地方は都会より高齢者比率が高い。コロナウイルスは、高齢者の方が重症化率が高いので、感染への恐怖の度合いが大きい。地方ほど、人口が多い高齢者の意向が通りやすく、感染防止のための営業自粛、行動制限が大都市圏より徹底されている。
地方経済は小さいし、横の強がりも強いので、1店舗だけが自粛要請に逆らうのは難しい。いやゆる「村八分」になるからだ。
少しの感染でも自粛マインドが強くなる地方ではコロナによる悪影響は非常に大きい。
貧弱な医療施設
地方の方が医療施設は貧弱だ。感染病棟は用意できず、一部の公立病院に頼ることしかできていない。感染が急拡大すれば、医療が破綻しやすいのは地方だ。当然、感染拡大への警戒は強く、住民は行動を自粛し、消費マインドも低下している。
進まないDX
地方企業の多くがDXに対応できておらず、テレワーク導入が難しい企業もある。対面での仕事が大事だと考える古い経営者も多い。そのため社内でクラスターが発生させてしまっている企業もある。
IT設備が貧弱なので、地方企業は人力に頼らざるを得ない。オンライン販売、クラウドサービスにも導入していないので、コロナ禍で発達したリモート経済に対応できていない。
移動自粛の影響
コロナが感染拡大すると、県境をまたぐ行動は制限される。それによるインパクトが大きいのは、地方だ。地方経済といっても、支えているのは大企業の支社だ。コロナ禍では出張も自粛せざるを得ない。支社への出張が減れば、ホテルなど宿泊施設や飲食店業の営業にも影響がでる。
アウトバウンドの消滅
海外からの観光客で地方経済は潤っていた。外国人観光客が東京や京都など有名観光地から地方へ目が向いた矢先にコロナ騒動が起きた。観光客誘致に官公庁と地元経済が投資を始めたところだった。
コロナ禍で、地方の観光業への影響は大変大きく、倒産・営業をやめている施設も増えてきている。
出生率の低下
地方は人口減少が進んでいるが、地方は大都市より出生率が高く、人口減少のカーブを緩ませる効果があった。ところが、コロナ禍で結婚・出産数は減少しているので、地方の人口減少が加速している。人口が減れば経済は縮小し、働き手も減り人手不足も生じる。
時計の針を進めてしまったコロナウイルス
コロナは日本経済衰退の時計の針をすすめてしまったと言われる。元々衰退していた日本経済だが、営業自粛、コロナ禍による行動制限、消費マインドの後退、人口減少により、日本経済衰退のシナリオは数年分早く進行している。
中でも、人口減少が続く地方経済は深刻な状況に陥っている。
では、地方への処方箋はあるのか。まずは、このコロナ禍を脱することだ。これからもコロナの感染はなくならないだろう。それを理解し、ウィズコロナに舵を切らないと、本当に地方経済が崩壊しかねない。