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どうして日本で新型コロナウィルスが感染爆発しなかったのか素人なりに考えてみた

感染爆発しなかった日本

日本で新型コロナウィルスが収束に向かっているのは間違いないようだ。「どうして日本はロックダウンもしないのにウィルスを抑え込めたんだ。奇跡だ」と世界で騒がられている。

感染初期はダイヤモンド・プリンセス号の対応でで日本は非難を受け、欧米で感染が拡大してくると「2週間後、東京はNYのようになる」と言われたが、いつまで経っても東京はNYのような惨状にならなかった。

本来このブログはIT関連の記事ばかりだけど、興味があって調べてみたので、どうして日本で感染が爆発しなかったのか素人なりに考えてみます。

本当に日本は感染爆発していなのか?

まずは日本は本当に感染が爆発しなかったのかデータを見てみる。

国別の感染者拡大を比較するために、人口百万人あたりの感染者を並べてみる。

人口100万人あたりの感染者数(2020/05/18現在)

  • スペイン:5,950人
  • アメリカ:4,687人
  • イギリス:3,632人
  • ドイツ:2,117人
  • 日本:129人

欧米各国と比べて日本の感染者数は10分の1にも満たない。日本の感染者があまりに少ないので、日本はPCR検査の数を絞って感染者をカウントしないようにしていると疑惑がもたれた。人口百万人あたりの検査数を比較すると、確かに日本の検査数は少ない。

人口100万人あたりの検査数(2020/05/18現在)

  • スペイン:64,977人
  • アメリカ:37,188人
  • イギリス:39,542人
  • ドイツ:37,584人
  • 日本:1,977人

ただ、陽性率を比べると日本の陽性率はドイツと同じぐらいだ。検査を不当に絞っているなら、検査を受けるのは症状が悪化した人ばかりになるはずなので陽性率は上がらないといけない。

陽性率(2020/05/18現在)

  • スペイン:9.2%
  • アメリカ:12.6%
  • イギリス:9.2%
  • ドイツ:5.6%
  • 日本:6.5%

それでも「保健所の電話がつながらない」「検査を受けられない」という苦情が多かったが、無症状・軽症者が多いコロナウィルスの患者が医療機関に殺到して、医療崩壊を起さないようにするのが日本の方針だったからだ。他の国も全ての患者の検査を行なっているわけではない。コロナウィルスは無症状感染者が約8割いるので、全ての感染者を補足することはそもそも不可能だ。

死亡者を比較する

感染者よりも捕捉しやすい死亡者数で比較してみる。

こちらが人口100万人あたりの死亡者。感染者数と同じく、日本の死者数は圧倒的に少ない。

人口100万人あたりの死者数(2020/05/18現在)

  • スペイン:593人
  • アメリカ:278人
  • イギリス:513人
  • ドイツ:97人
  • 日本:6人

死亡率で比べる。医療崩壊したと言われるスペインやイギリスより低く、医療が充実しているドイツと近い数字。もしも、日本が検査を怠り市中に感染者数が充満しているなら死亡率が高くなるはずだ。死者は隠せないからだ。

死亡率(2020/05/18現在)

  • スペイン: 10.0%
  • アメリカ: 5.9%
  • イギリス: 14.1%
  • ドイツ: 4.6%
  • 日本: 3.9%

それでも、「死者を隠蔽している」「コロナ患者がただの肺炎で処理されている」と思う人もいるだろう。

今年3月の東京の死亡者数は10,613人。 昨年の3月は10,266人なので、ほとんど変わっていない。昨年より東京の人口は増えているので、誤差範囲と考えられる。

感染が爆発的に広がらなかった日本

今までの日本の感染は二期に分類される。最初は1月から2月に掛けての感染拡大。ウィルスの解析結果によると中国由来のウィルスが広がったらしい。その多くは中国からの観光客がもたらしたものと思われる。

一月の春節時の中国からの観光客は史上最高の75万人。中国からの観光客が最も多かった国は日本だ。それにもかかわらずクラスター対策の成果もあり、感染者は抑えられて、2月初旬には一旦収束した。

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ところが日本より中国からの来訪者が少ない欧米で感染が爆発し、欧米からの帰国者によると思われる第二波が3月に来た。一時期は1日500人以上の感染者を出し、日本でも医療崩壊が懸念されたが、欧米のように強制的なロックダウンを行わなかったにもかかわらず、徐々に感染者数は減っていき、現在に至る。

グラフを見ると、4月7日の緊急事態宣言が発令されたので感染が収まったように見えるが、毎日発表されている新規感染者の数字は自治体が感染の報告を受けた日である。感染から発症まで平均5.1日と言われ、症状が出てすぐに検査を受けるわけではないので、報告された日の約2週間前に感染したといわれている。

そうなると感染のピークは3月末であり、緊急事態宣言の時にはピークを過ぎていた。これは専門家会議も認めている事実だ。

引用:JBpress

もちろん国民が自粛して三密を避けた成果だが、欧米の強制的なロックダウンを行わなくても感染を収束させることができたのだ。

 

まとめると、こんな感じになる。

  • 欧米と比べて、日本の感染率は圧倒的に少ない
  • 感染者数あたりの死亡率は大きく変わらない
  • 強制的なロックダウンをせず緊急事態宣言前に感染のピークは過ぎていた

数字を見る限りでは、欧米と比較して日本人は重症化しにくいのではなく新型コロナウィルスに 感染しにくいと言えそうだ。

では、どうして日本人はコロナに感染しにくかったのだろう。

日本が低いのではなく、アジアが低い

さっきから「欧米と比較して」と言い続けているが、アジア各国と比べると日本の感染者数は低くない。100万人当たりの感染者数がこちら。

PCR検査を徹底して行なった韓国を除くとアジアの中で日本の感染率は高い。

  • 中国:58人
  • 韓国:216人
  • 日本:129人
  • イラク:89人
  • タイ:43人

つまり「日本の感染率が低いのではなく、欧米と比べてアジアの感染率が低い」のだ。逆に言えば「欧米の感染率が高い」と言える。

 

どうして欧米とアジアでこんなに差があるのか。日本と違って、欧米の多くは都市をロックダウンしたにもかかわらず、感染者数が大幅に減ることはなかった。昨日のアメリカの感染者数は22,630人、イギリスは2,711人で、ピークは過ぎているが大幅に減ることなく推移している。

 人種や習慣の違い?

アジアと欧米での相違点を考えると、人種の違いがまず頭に浮かぶ。

ニューヨーク市ではアジア系が占める人口の割合は14%、死亡者数におけるアジア系の割合は7%。これがニューヨーク市を除くニューヨーク州になると、人口におけるアジア系の割合は4%で、死亡者におけるアジア系の割合も4%で、全く変わらない。

よく言われるように肥満や糖尿病の人がコロナにより亡くなる確率が高いので、相対的に痩せた人間が多いアジア系の死亡率が低くなることはありそうだ。

少なくても、アジア系だからといって感染しづらいと断言できるデータはない。

 

文化慣習の違いもよく言われる。キスやハグの習慣がない、家の中で靴を脱ぐ、箸を使うなど、アジアの習慣の多くが感染症予防に効果的なのは間違いない。

ただ、アジアの公衆衛生を一括りにするのは乱暴だ。アジアの中でもアメリカに近い文化習慣を持つフィリピンの感染率は欧米よりもアジアに近い。

BCG効果?

他の要因でよく言われるのが、BCG接種の有無だ。この前のNHKスペシャルでも相関はありそうだということが報告されていた。

これは、4月2日時点の国別死亡率をBCG接種の有無で色分けしたグラフだ。オレンジがBCG接種を中止した国、青が現在もBCG接種を続けている国だ。

これを見る限り、BCG接種を続けている青の国のほとんどがグラフの下に来ている。相関関係はありそうだが、実際にBCG接種によって感染を防げる臨床結果は今のところ得られていない。

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他に最近言われているのが、自然免疫だ。アジア各国は新型コロナウィルスが広がる以前に別のコロナウィルスなどによって自然免疫がついているので感染しづらいという説だ。

今のところこれを否定するデータはない。ただ、他のウィルスに感染したから新型コロナにも感染しづらいというのは、本来結核予防のためのBCGがコロナウィルスの感染予防に効果的なのと同じぐらいよくわからず、不明な点も多い。

現段階ではよくわからない

この前のNHKスペシャルでもそうだが、結局のところ新型コロナがアジアで感染爆発しなかった理由はよくわかっていない。

ただ、何らかの要因によって(山中教授はファクターXと呼んでいた)感染爆発から免れ多くの人が命を失わずに済んだのは間違いない。これを奇跡と呼ぶのは簡単だが、世界中に感染が広がったウィルスが根絶されることはないので、第二波第三波の到来が考えられる。

その時までに、この謎の要因を解明しておく必要がある。もしもBCGなどの要因で日本人がコロナに感染しづらいということが明確になれば、小規模の感染が再び発生しても、緊急事態宣言を発令することなく、通常のインフルエンザのような対処をすれば、いずれ収束することが期待できる。

ワクチン開発と並行して、「アジアの謎」を解明することは非常に重要だと思う。

 
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