コロナがもたらしてしまったもの
コロナウイルスは人々の生活を変えてしまった。外出先でのマスク姿はもはや日常だし、テレワークやリモートサービス、巣ごもり消費は一般化した。
ただ、ワクチンが普及し始めたことで、日常生活を取り戻した国も増えてきている。ワクチンを接種した国民が増えれば、日本でも元のような生活が戻ってくる可能性が高い。
それ以降のことはまだわからない点も多いが、国民が落ち着きを取り戻した後は、インフルエンザと同様にワクチン接種をしながら、社会はコロナウイルスと付き合っていく事になると思う。
しかし、暮らしは元に戻っても、進んだ時間は戻らない。1年間のコロナ禍で進んでしまって、元通りにならない事象を考えてみます。
少子化
昨年の出生数は約87万人で、前年よりも2万六千人減少している。婚姻数は前年比マイナス13%、今年の出生数は過去最低の77万人程度と予測されている。
少子化は長い間進んできたトレンドだが、コロナのせいで一気に進んでしまった。過去の予測よりも少子化が10年以上早まった事になる。いうまでもなく、少子化は人口減少につながり、経済の縮小をもたらす。
そして、一度減った人口が元に戻るのは容易ではない。
テレワーク
以前からニーズはあったのに浸透していなかった在宅勤務だが、コロナ禍でテレワークが浸透した。リモート会議は一般化し、対面で集まっての会議はかなり減った。
そして多くの場合、リモート会議でもほとんど問題がない。コロナ禍が去ってもリモート会議の習慣はなくならいだろう。
テレワークの浸透で、パソコンの売上が伸びて、半導体不足が起きるまでになっている。コロナ禍は産業構造まで変えてしまった。
セルフサービス
セルフレジや無人ストアは開発に時間がかかるので、まだそこまで増えている印象はないが、各社が実験店舗を出店するなど確実に進捗はある。
少子化により労働人口が減少するので、セルフレジと無人ストアは今後発展するだろう。
時計の針は戻らない
進んでしまった時間は取り戻せない。特に少子化は深刻だ。人と接触する機会が減れば婚姻も減った。感染者が減っても会合や飲み会が減ったままなら婚姻数は回復しない。生活習慣が回復しなければ、コロナで進んだ少子化がさらに進行しそうだ。
ワクチンが国民に行き渡り感染が止まったイスラエルなどではマスクを外した日常が戻ってきた。
日本人は清潔でゼロリスクを好む国民だ。コロナは日本でも社会問題になっているが、欧米と比べて日本の感染者数は一桁少ないのに経済や社会への影響は突出している。経済成長率の回復度合いも日本が最も鈍い。
ワクチンが普及して感染者がほとんどいなくなった後、日本人はマスクをとるのだろうか。多くの人がマスクをつけ続けて、マスク着用を無言で強要する雰囲気が続くようでは、経済も少子化も回復しないように思う。
もちろん、感染者が減ってもマスクを着用していればリスクは減る。ただ、それでもリスクはゼロにはならないし、コロナの感染者が減っても、少子化や不況などのリスクは回避できない。要はバランスなのだ。
リスクの大きさを正しく科学的に見つめて、対処することが必要なのだと思う。