「第6波」発生
オミクロン株流行に伴い、日本で新型コロナウイルスが感染拡大している。
2022年1月18日時点で、1日の感染者数は3万人を超えている。これは過去最高だった第5波を上回る数字だ。
政府は、首都圏などへのまん延防止条例の発令を決めた。何度も何度も収束しては感染が拡大する現状にうんざりしている人も多いと思う。
日本のコロナがいつ「収束」するか考えてみます。
弱毒化したオミクロン株
第6波はデルタ株が流行した第5波とは様子が異なる。第5波の時は1日の感染者が3000人を超えてから、2万人に達するのに1ヶ月を要したが、第6波では半分の14日だ。オミクロン株の感染力がいかに強いかがよくわかる。
感染者は増大しているが、重症者数は第5波よりはるかに少ない。1月18日時点の重症者数は281名、第5波の重症者のピークは2000名以上だった。
重症者数は遅れて増えるという人もいるが、感染者数は報告ベースなので、感染者数にカウントされた時はすでに「遅れている」。
日本だけではなく、オミクロン株が最初に感染拡大した南アフリカでも、オミクロン株の重症化率はデルタ株より7割8割低いという報告が上がっている。
これはオミクロン株が弱毒化したからだと思われる。重症化しやすい強毒のウイルスは患者がすぐに入院してしまうので、感染が拡大しづらい。一方で、弱毒化したウイルスは感染しても無症状か軽症の場合が多く、感染者が入院せずに出歩くので感染が拡大しやすい。エボラ出血熱は致死率が高い故に感染は広まりづらい。
感染者ほど重症者が増えないのには、第5波時点と異なり、ワクチン接種者が増えたのも要因としてあるだろう。
いずれにしろ、感染者数ほど重症者は増えない可能性が高い。
他の国では?
日本の比ではない感染者数を出している欧米はどう対処しているだろう。アメリカでは毎日100万人以上の感染者を出しているが、経済規制を行っていない。ヨーロッパも同様で、フランスでは連日30万人前後の感染者を出しているが、ワクチン接種してマスクをしていればそれ以上の規制はなく、日本のように飲食店の営業時間を短縮する動きには至っていない(検討はされているようだが)。
欧米では、感染が拡大しても、死亡者数が増えないようであれば、経済活動を維持すると判断しているようだ。
北京冬季オリンピックを控える中国では感染者が出ると、都市機能を麻痺してまで感染拡大を抑えているが、一党独裁の中国と日本では政府の権限が比較にならない。
「収束」とは?
どのような状況になったら、「収束」とするのか。感染者がゼロになるのはおそらく不可能だろう。人類が根絶できた感染症は天然痘しかない。風邪もインフルエンザも毎年流行する。コロナ前ではインフルエンザは毎年1000万人が感染し、死者数は2万人に達していた。
過去に人類が免疫を持たないウイルスが全世界へ広範囲に広まった以上、今後も変異株が登場し、感染が拡大するのを避けることはできそうにない。
その度に、経済を止めてまで感染拡大を阻止するかは議論が分かれるところだ。
オミクロン株は重症化しづらいといっても、基礎疾患のある高齢者、ワクチン未接種者を中心に重症化する人はゼロにはならない。人が亡くなる可能性がある以上、行動を制限して感染拡大を防ぐというのも一つの考え方だが、一方で経済活動が縮小すれば、生活が困窮する人が出てくる。
過去にインフルエンザでは数万人が亡くなっても学校閉鎖以上の行動制約はなかったが、コロナに関しては国民とマスコミの関心が高く、政治も批判を恐れて行動を制約する施策を打たざるを得ない状況になっている。
現状は、コロナ感染防止に強行措置を支持する意見が目立つ。感染拡大防止を強化する岸田総理の支持率は上昇している。
オミクロン株による第6波は、南アフリカやイギリスでは3週間程度でピークを迎えている。日本の場合は感染防止がしっかりしているため、感染スピードは少し遅い。それでも、他国と同様にいつかは第6波も収束するだろう。本当にコロナが「収束」し正常化するには、マスクを外して普通の暮らしに戻らないといけない。
そのためには、コロナの感染と被害を国民がある程度許容する決断をする必要があるが、現状そのような雰囲気になっていない。
日本のコロナの「収束」はもうしばらく先になりそうだ。