出生数80万人以下
2022年の出生数が80万人を切る危機的状況だと松野官房長官が懸念を示した。過去最低だった昨年よりもさらにマイナス5%で、政府の想定より6年も早いペースの減少だ。
経済不況により出産を控える人、個人主義の台頭で結婚しない人が増えたのが原因と言われる。結婚した人が出産を控えているよりも、婚姻数の減少幅の方が大きい。大雑把に言えば、結婚する人が減って子供も減っているわけだ。
昨年の婚姻数は約50万組で、前年よりも約2万組減っている。コロナ以前では60万組以上の婚姻が年間にあったので、コロナが婚姻数減少の大きな原因となっているのは明らかだ。今年も昨年並みの婚姻数のようで、コロナ前の数字には回復していない。
マスクで素顔がわからない?
コロナで変わった生活様式といえば、マスク装着と人との接触が減ったことだ。マスクをすれば顔の半分ほどが見えない。マスクをしているからクラスメイトの素顔がわからないまま卒業する学生もいるそうだ。この3年で、マスク装着が習慣化して、若者の中には「マスクは下着と同じ」と感じている人もいる。
外国ではマスク装着はほとんどやめてしまっているのに、日本人だけマスク装着をやめない。屋外でのマスク装着はほとんど効果がないと政府が喧伝しても、ほとんどの人がマスクを外そうとしない。
恋愛の最初の一手は、相手の顔を見る事だと思う。マスク装着により、その半分の可能性が失われている状態が日本では続いている。
非接触な暮らし
今年になって、ようやく変わってきたが、昨年まではイベントや飲み会が制限されていた。そういった会合で人は出会い、親密になる。出会いの数が減れば、恋愛に発展するケースも減る。
今年になって、飲み会などの制限は撤廃されたが、一度失われた習慣は容易に元には戻らない。昨年時点の調査では、飲み会が半減したというアンケート結果が出ている。
変わらない習慣の一つが、「オンライン」だ。オンライン勤務と大学のオンライン授業は一般化した。家から出なければ、出会いももちろん減る。
コロナで減る子供
結婚する人が減っているのは、コロナ以前からの傾向ではある。一人でも暮らせる、価値観の多様化により結婚したくない人は確かに増えてきた。その傾向をコロナが加速したのは間違いないように思う。
コロナでついた慣習を早めにやめて、他の国と同様に以前の暮らしを取り戻すのが、婚姻数・出生数の回復に繋がる。
政府はコロナを「5類」へ変更する検討をようやく開始し、正常化に取り組んでいるようだけど、もう手遅れかもしれない。