コロナウィルス騒動の果て
コロナウィルスは欧米を中心に感染が拡大している。ヨーロッパでは感染者の伸びがようやく少し弱まってきたが、医療崩壊が起きたと言われるイタリアでは死亡者が増え続けている。
日本も都市圏を中心に感染者が増加してきて、このまま収束するかどうか不明なところに来ている。
感染者数の把握も大事だけど、今回のウィルスのように無症状者が多いと、感染者数を完全に把握するのは難しい。もっとも減らさなければいけないのは死亡者数だ。
これは死亡者数が2倍になるまで何日かかったかを示すグラフ。日韓の数値はかなり低く、中国は収束しつつあり、イタリアもようやく逓減傾向になりつつあり、フランスとイギリスも同様な傾向。問題はアメリカで、上昇傾向に歯止めがかかっていない。
というように、今日現在(2020/03/30)では、この先どうなるのか極めて不透明な状況だ。
だけど、どんな災厄もいつかは収束する。今後、IT業界にどんな影響があるのか考えてみよう。
収束すれば景気は急速に回復する
感染症が収束するための選択肢は、ワクチンなどの特効薬が開発されるか、多くの人間が免疫をもつか、ウィルスを封じ込めるかの三択だ。
筆者はこのまま緩やかに感染者が増えて多くの人間が免疫をもったときに収束すると予想している。ここまで全世界で感染してしまうと「ウィルスを封じ込める」ということは非常に難しい。一つの国が封じ込めても、外国から感染者が入国する可能性があるからだ。国内では収束しつつあった最近の中国の感染者は外国から来た人間が多い。
ワクチン開発には1年以上はかかるので、緩やかに感染者が増えていき、免疫を獲得した人が一定数増えていくのが唯一の突破口だと思う。
ただ、ウィルスが収束すれば景気は急速に回復すると思う。中国では都市部の渋滞ももとに戻り、工場での生産も再開している。リーマンショックのように金融システムが崩壊したわけではないので、人の行動が元に戻れば、景気の回復は早いと思う。
世界各国が未曾有の景気対策を実施するのも景気回復に大きく影響するはずだ。
問題は収束時期だが、アメリカがいつ収束するかにかかってきている。現段階では収束の気配が見えていないが、仮に感染が広がり、アメリカ全土がニューヨーク州のような状態になるとすると、収束する時期はかなり遅くなり今年の年末になる可能性もある。
ITロードマップは半年遅れる
新型iPhoneの販売延期が噂されているが、コロナウィルスによりITのロードマップは半年近く遅れると思われる。開発が遅れることもあるが、経済が回復するまで新製品を販売しづらい環境が続く。
国内に目を向けると、東京オリンピックを目指して進めてきたプロジェクトが軒並み延期になっている。オリンピックは一年延期になったが、そこまで延期にできない新製品などはコロナウィルス収束と同時に発表されることになるだろう。
テレワークの拡大
東日本大震災の教訓がバックアップ施設の増強・クラウド化を進めたように、コロナウィルスの教訓でテレワークをすすめる企業が増えると予想される。
テレワーク実現のために、社内システムの仮想化、各家庭への高速回線の敷設、家庭用パソコンの需要が増えると思われる。
ITにどっぷりつかっているとわからないが、各家庭の光回線の普及率は60%強で、3世帯に1世帯は高速回線をもっていない。5Gの利用促進にテレワーク拡大が貢献するかもしれない。利用可能範囲が広がれば、高速回線である5Gが家庭内でも利用できるからだ。
そうなると、「自宅では光回線とWi-Fi、外ではモバイル通信」という常識が崩れ、「どこでもずっとモバイル通信」に変わることになる。
オンラインイベントの浸透
コロナウィルスにより、無観客でのイベントが増えている。昨年までは想像もできなかった無観客の競馬と相撲が現実となった。
製品発表会もオンライン開催が一般化してきた。観客を入れずにプレゼンターが説明する動画を配信し、記者からの質問はネットで受け付け回答するスタイルが浸透してきている。
コロナウィルスが収束したら、以前のように観客や記者をいれたイベントが復活すると思うが、多人数が集うことにリスクを感じる雰囲気は暫く続くと思われる。
コロナウィルスがインフルエンザのように毎年流行する危険性はあるし、また別のウィルスが流行する事もありえる。
平時でも満員電車を避けられるテレワークをおこなう企業が増えてくると、「人が集まること」が以前より減る可能性もある。
特段問題がなければ、コストが掛からないオンラインイベントが浸透する可能性は高い。
ひとつのきっかけになるか
新型コロナウィルスは全世界で数多くの悲劇を生み出している。人々の健康だけではなく、経済にも大きな影響を及ぼし、ウィルスによる不景気が失業者を生み、人々の生活を困窮とさせる。
だけど、窮地から人は多くのことを学ぶ。現代に起きた世界規模の感染症は社会を変え、人の行動を変え、今までとは少し違う世界になろうとしている。その少し違う世界は、教訓を活かして今までよりも少しだけ良い世界となれると思う。