新型コロナウィルス事件
アメリカで感染者が増大したことで、世界経済が大混乱に陥っている。株価は連日歴史的な暴落を続け、トランプ大統領はヨーロッパからの入国を禁止する異常事態が毎日起きている。
よく言われるように、新型コロナウィルスの死亡者は、毎年流行するインフルエンザに比べて、かなり少ない。日本では毎年3,000人ぐらいインフルエンザで亡くなっているが、新型コロナウィルスでは10人前後だ(2020/03/13現在)。
それなのに感染者が出ると都道府県知事が会見をおこないNHKが中継する状況が続いている。過敏な反応だと思うが、未知な脅威に対する恐れと、マスコミの過剰な報道により、実体のリスクよりも過大に認識された人の意識が増幅されている。
それに政治家が人気取りのために、過激な政策を行なうことで混乱が激しさを増している。日本では急激な一斉休校が批判されたが、アメリカのトランプ大統領は人・モノに制限を加えると発言し、市場は失望した。
中国の発表が正しければ、中国では感染拡大は収束しつつあるが、中国は国内全域で店舗やビジネスに制限を加えて、強権的な対処をして、ようやくここまで抑えてきた。これだけの制限が民主国家でおこなえるかはかなり疑問だ。
医療体制・経済が貧弱なイタリアでは医療崩壊が起きていて、満足な治療が受けられず亡くなっている患者もでているらしい。
さきほど新型コロナウィルスの死亡者はインフルエンザと比べてかなり少ないと書いたが、新型コロナウィルスの未知なる部分は、感染がいつ収束するか見通せないことだ。
インフルエンザは毎年春になれば収束する。湿度が高くなり、一定数の人が感染して抗体をもつと感染者が減ると言われている。
ただ、「新型」だけに今回の新型コロナウィルスがいつ収束するか誰もわかっていない。インフルエンザと異なり、長期間感染拡大が続くと、医療施設だけではなく、人も社会も疲弊してくる。
当然、IT市場にも多大な影響を及ぼす。
東京オリンピック
今日(2020/03/13)現在、スケジュールどおりに東京オリンピックが開催されるか不透明になってきている。7年前に開催が決まった東京オリンピックに合わせて、多くのイベントと新しい技術の発表が予定されている。
日本の5Gサービスは東京オリンピックの年に合わせて準備されてきた。オリンピックで5Gのメリットをアピールすることで世間に広める予定だった。
もしも、オリンピックが延期・中止になると、これまでの準備が無駄にはならなくても、インパクトはかなり小さいものになるだろう。
新製品発表
すでに多くのイベントが中止になっている。オンラインでの発表も定着しつつあるが、観客や記者がいる本来のイベントに比べてインパクトが小さい。
経済が停滞すれば、新製品を発売しても、ヒットしない可能性が高まる。
Appleは3月の新製品発表イベントを中止したと報道されている。毎年6月におこなわれるWWDC(世界開発者会議)の開催もわからなくなってきている。
6月のWWDCで新OSのβ版を発表し、秋にOSを搭載した新デバイスを発売するのが、ここ数年のAppleのスケジュールだった。WWDCは、ただの発表イベントではない。開発者が新技術を学習し、情報交換する貴重な場だ。
WWDCがおこなわれない事態になれば、Appleのロードマップに少なからず影響を与えるだろう。
5G
高速かつ低遅延の5Gは、ここ数年のITの中で、もっとも重要な技術だ。
5Gにより実現するリモートサービス、有線インターネット回線の代替など、新たなインフラとして5Gは世界を覆い尽くすはずだ。
だが、世界規模のインフラの構築には多額の費用がかかる。需要がなければ、コスト回収できなくなる。新型コロナウィルスにより景気が悪化すれば、5G投資にも影響が出る。
パニック終焉の先に
現在、世界はパニックの渦中にあると思う。経済も政治も民衆も、過去にない状況に右往左往し、絶望している。ここはデータや分析を確かめて科学的見地に立って、冷静に行動することが大事だ。