DAZNが再度値上げ
スポーツコンテンツを配信している「DAZN」が値上げを発表した。
2月14日から月額料金が3,000円から3,700円に値上げになった。昨年の2月に1,925円から3,000円に値上げしたので、2年連続の値上げということになる。
価格の推移をまとめる、こうなる。
- 2022年1月:1,925円
- 2022年2月:3,000円
- 2023年2月:3,700円
1年ちょっとの間に月額料金は2倍近くになった。かなりの値上げ幅だ。月額料金3,700円は、サブスクとしてはかなり高価な額だ。
- Amazon Prime Video:月額500円
- Netflix:月額990円(スタンダードプラン)
- Hulu:月額1,026円
- U-NEXT:月額2,189円
- dTV:月額550円
- ABEMAプレミアム:月額960円
- Disney+:月額990円
動画配信サービスの中では最も高額だ。値上げすれば契約者数は減るのが普通だ。いくらインフレとはいえ2倍の値上げは他の商品と比べても突出している。
どうしてDAZNは大幅値上げできたのか理由を考えます。
独占配信
DAZNが他の動画配信サービスと異なるのは独占配信が多いことだ。Amazon Prime Videoなども独自コンテンツはあるが、映画やアニメなど多くの映像コンテンツは他のサービスでも配信している。
Jリーグやその他のスポーツコンテンツの多くはDAZNの独占配信だ。Jリーグを自宅で全試合鑑賞するなら、DAZNと契約するしかない。値上げしても、コアなファンは契約せざるを得ないし、サポーターにはコアなファンが多い。
減らなかったユーザー数
DAZNはユーザー数を公開していないが、昨年の値上げでも契約者数は大幅に減らなかったと思われる。もしも契約者数が大幅に減少していたら、2年連続の値上げには踏み切れなかっただろう。コアなファンが値上げしても離れなかったに違いない。
グローバル戦略
DAZNはグローバル企業だ。世界的なインフレもあり、日本だけではなくイタリア、ドイツなどでも値上げしている。グローバル企業は、1カ国の都合ではなく全世界的に同じ戦略をとる場合が多い。今回の値上げは日本だけの事情ではなく、グローバルな方針の可能性が高い。インフレなどの国際事情を考慮して、全世界で値上げを決めたかもしれない。
独自コンテンツの重要性
動画配信サービスは過当競争だ。ディズニーなど多くの企業が参入し、鎬を削っている。同じ映画が別のサービスで配信している。
競争過多の中で、他サービスと差別化できるのが独自コンテンツだ。Disney+は、ディズニー映画やスターウォーズなど自社の独占配信のコンテンツが多く、新規参入なのに多くのユーザーを獲得している。
DAZNも同様に、Jリーグなど独占コンテンツを多く配信している。スポーツはリアルタイム観戦が主なので、他のサービスで代替しにくい。
だから、DAZNは2年連続値上げできたのだ。ただ、過去に契約したコアなユーザーは値上げしても契約を継続しそうだが、新規ユーザーの契約は厳しいかもしれない。
いきなり毎月3,700円を支払うのはハードルが高い。新規ユーザーが増えないとJリーグのスポーツ振興に影響を及ぼす。Jリーグは地上波の放送はほとんどなく、DAZNと契約しないと実質自宅で観戦できない。観戦できなければファンは増えず、市場は拡大しない。
Jリーグは2017年からDAZNと放映権の契約を続けている。12年契約で2,339億円とかなり高額な契約金をJリーグは得ており、DAZNとの契約金はチームの経営を大いに潤すことになった。だが、放映権を得たDAZNがこうやって大幅値上げして、Jリーグの新規ファン開拓に悪影響が出るようだと、逆効果になりかねない。
Jリーグがどう考えているかわからないが、DAZNの値上げは、Jリーグの将来に大きな影響が出る危険性がある。