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どうして新しいEvernoteの改善は進まないのか。Evernoteの現在地

進まないEvernoteの改善

9月に刷新されたEvernoteは過去にあった機能がなくなるなど、多くの問題点を抱えている。大規模なバージョンアップをおこなったら多少の不具合が出るのは仕方がないが、バージョンアップ後もなかなか改善が進まない。以前はApple Watchに対応していたiOS版だが、現在(2020/12/19)でも未対応のまま。Mac版では一切の環境設定の変更が今もできない。

どうして改善が進まないのか考えてみます。

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 Web版に統一されたEvernote

不評が多い新しいEvernoteだが、iOSに続きMac・Windows、Androidも新しいバージョンに移行した。新しいEvernoteはプラットフォームにかかわらずインターフェイスが統一されているのが売りだ。

このインターフェイスが統一されたことに今のEvernoteの問題がある。今回のEvernoteはWeb版の刷新がまずあり、iOSなどの他のプラットフォームがWeb版に合わせた形になっている。

というよりも、Webのアプリケーションが各プラットフォームで動いているように見える。Evernote社は明言していないが、新しいEvernoteはどうやらElectronというWebアプリをデスクトップアプリで動かすフレームワークを使用しているようだ。

今までiOSなど各プラットフォームに書かれていたソースコードは全て捨ててしまい、Web版のフレームワークを採用したと思われる。そうだとすれば、過去にあった機能が全てなくなってしまった理由もわかる。

フレームワークを統一した弊害

今回の無料ユーザーが利用できる端末制限にWeb版を加えてユーザーの反発が起きたが、Web版と仕様が同じになったのであれば、今回の措置は当然だ。アプリ版の代わりに仕様が同じWebブラウザ版を使われてしまえば、有料会員を利用する意味が薄れてしまう。

同時に、改善がなかなか進まない理由も理解できる。フレームワークが統一されたことで、開発費を抑えることはできただろうが、各プラットフォームへの個別対応は難しくなる。

例えばApple Watchに対応しなければいけないのはiOS版だけで、他のプラットフォームには関係がない。各プラットフォームに個別対応していけば、フレームワークを統一した意味が薄れる。

フレームワークの統一か個別対応を行うかは難しい選択だ。以前は、Microsoft Officeなどのアプリケーションも各国別に組まれていたが、今はローカライゼーションを最小限に抑えて、英語で作られたオリジナルのバージョンの上に各言語のインターフェイスを被せるのが一般的な手法になった。

Evernoteの改善がなかなか進まないのは、各プラットフォームに対してどこまで効率よくカスタマイズしていくか検討を進めているのか、その過程で試行錯誤しているからだと推定できる。本当はそれらの決まり事はフレームを統一する以前に決定していないといけないと思うが、遅々として改善が進まない現状を見ると、各プラットフォームへの対応方法とロードマップを決めていたのか疑わしくなる。

難しい「もっさり」の改善

今回のバージョンで不満が集中しているもう一つの要因は「動きがもっさり」していることだ。新しいバージョンからiOS版の起動は顕著に遅くなった。Mac版とWindows版では検索時に過去のノートを表示するのに以前より時間がかかるようになった。

これらの改善にも時間がかかると思われる。Mac版もWebブラウザと同様の手法でデータを読み込んでいると思われるからだ。実際にはMacのローカルに過去のノートを格納しているはずだが、検索して表示するまでのタイムラグはWebブラウザで検索するのとあまり変わらない。

どうなるEvernote?

Evernoteもユーザーの間に不満が高まっているのは当然わかっていると思う。それでも、改善が進まないのは、改善できない理由があるからに違いない。ここで挙げたようにElectronを採用したことが原因であるとすると、大幅な改善は厳しいと思われる。一度捨てた各プラットフォームのソースを復活させるのは困難な作業だし、コストもかかる。

AppleやGoogleなどのGAFAが支配する現代のIT業界で生き残るために、今回の問題が起きることをある程度許容してEvernoteはElectronを採用し、開発コストの再現に取り組んだわけだ。

しかし、コスト削減に成功したとしても、今回の変更でユーザーが逃げてしまっては元も子もない。

個人的には無料会員が使用する際に広告を表示するのがユーザーへの負担(特に有料会員)が少ない方法だったと思うが、GmailなどのGoogleのプラットフォームに広告がないように業務にも使うアプリに広告を載せるのには抵抗があるのかもしれない。

現実的にはEvernoteが元の状態に戻ることは、おそらくないだろう。新しいフレームワークの中で改善を進めて、過去にあった機能を復活させていくしかない。

有料会員が減ってしまえば、GAFAに比べて経営基盤が弱いEvernoteはひとたまりもない。

Evernoteに残された時間はそれほどないかもしれない。

 
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