Facebookが社名を変更
Facebookが社名を「メタ」に変更すると発表した。
突然の発表なので、色々憶測を呼んでいるが、社名を変更した理由を考えてみます。
メタバースへの決意
最近のFacebookはメタバース企業と脱皮すると公言している。メタバースとはざっくり言うと仮想空間だ。VRゴーグルやスマートグラスをはめて仮想空間に入り込み、他のアバターとコミュニケーションをとり過疎店舗で買い物を行う。
ザッカーバーグCEO曰く、現行のスマホやPCではまだまだ不十分で、VRを用いて肉体ごと埋没することで新しい体験ができるそうだ。
社名を「メタ」に変えた理由のひとつは、Facebookがメタバースにコミットしていることを示すためだ。
追求のがれ
日本にいるとそこまで伝わってこないが、アメリカでのFacebookバッシングは相当激しい。トランプ政権時にはフェイクニュースの拡散にFacebookが利用されていると糾弾された。その熱が冷めないうちに、収集した個人情報をもとにした広告が批判の対象になった。Appleが個人情報保護のためにターゲット広告の実質的な規制に乗り出すと、それに反論するFacebookはさらに叩かれた。
バッシングの中、Facebookが自社に不利な調査結果を隠蔽したという内部リークが相次ぎ、Facebookへの批判の嵐はさらに強まっている。こういった状況下で社名変更が行われた。
穿った見方をすれば、Facebookがメタバース企業になると言った背景にも、これらの批判がある。それでも、Facebookへの批判が止まないので、ついに社名も変更する決断に至った。
社名を変更することで、Facebookの批判という流行の議論が「メタバースが必要か」という別の議論に移ることをFacebookは期待している。
Googleの先例
Googleも自社サービスを管理する持ち株会社の社名を「アルファベット」に変更した。「Apple Computer」もiPhoneが流行ると社名から「Computer」を外した。
社名は会社の目的や倫理を表す。Appleは社名から「コンピューター」を除外することで、コンピューターに縛られることなく、スマートフォンやタブレット、サービスへとビジネス領域を広げることができた。
今回Facebookの社名は変更したが、サービス名は変更していない。FacebookもInstagramもそのままだ。今やFacebookはさまざまなサービスを買収して単一のサービス企業ではないので、Facebookを全体の社名にするのは収まりが悪いとは思うので、社名変更は妥当だが、やはりタイミングが悪い。
この時期での社名変更は、第二の理由である「批判逃れ」の意味に取られてしまう。Googleとは違い「メタ」が「Facebook」の持ち株会社になるわけでもない。
社名変更は何も解決しない
社名変更はFacebookの批判を一時的にぼやかすことができるかもしれないが、Facebook(あ、メタか)を取り巻く環境の本質は変わらない。
ターゲット広告への批判は尽きないだろうし、Appleも批判を緩めないだろう。メタバースというと聞こえは良いが、仮想空間に入ったところで、今ある問題が全て解消されるわけではない。仮想空間上での匿名で規制をしなければ、フェイクニュースはやはり広まるだろう。仮想空間での行動全てはメタに把握され、仮想空間で収集した(仮想空間での)個人情報を使って広告や直接的に物品を販売することができる。今度は仮想空間の個人情報はどうなるのかという批判が生じるだろう。
社名が抜本的な改善につながらないことはザッカーバーグCEOもわかっているはずだ。社名変更でも今の批判が止まなかったら、サッカーバーグはどうするのだろう。次の一手が注目される。