コロナ禍で伸びた業界
歴史的な年になった2020年、最も伸びた業界が家庭用ゲーム業界だろう。家から出られない人々がゲームを買い求めた。そんな2020年のゲーム業界を振り返ります。
- コロナ禍で伸びた業界
- 歴史的な売り上げとなったNintedo Switch
- SwitchはWiilと同じ轍を踏む?
- 買えないPS5
- Switch一強体制が続くのか? それとも第3の流れが生まれるのか?
歴史的な売り上げとなったNintedo Switch
コロナ禍で日本だけではなく全世界の人たちがNintendo Switchを買い求めた。Nintendo Switchが伸びた理由は「どうぶつの森」だ。自宅から出られないフラストレーションを解消するためにバーチャル世界で外出し、友人たちとコミュニケーションが取れる「どうぶつの森」は時流に乗って文字通り爆発的にヒットした。
もう一つのヒット作が「リングフィットアドベンチャー」。自宅にいて運動不足になるのを解消する目的とゲームの出来も良かったので、こちらも大いに売れた。付属物を使うゲームは敷居が高いが、リングフィットアドベンチャーは時代の流れに見事に乗った。
任天堂のQ2の売り上げは前年同期比プラス73%、営業利益はプラス209%。驚異的な売り上げと利益を記録した。Nitendo Switchシリーズは前年同期比プラス81%、ソフトウェアはプラス71%。
この時期に「どうぶつの森」を発売したのは偶然だけど、任天堂の圧倒的なブランド力とNitendo Switchがポータブルゲーム機だったことが大きかった。
家族が全員自宅にいると、テレビの取り合いになる。自室で遊べるポータブル機は時代にマッチしていた。
SwitchはWiilと同じ轍を踏む?
今でも全世界で入手しづらい状態が続くNintendo Switchだが、死角はないのだろうか。
実は12月のクリスマスシーズンに有力なゲームが任天堂から販売されなかった。直近のゲーム販売ランキングは、こちら。1位はKONAMI制作、2位以降は任天堂制作だが、2位のあつ森は3月販売で、5位のピクミンが10月発売。10月以降に有力なソフトが任天堂から発売されていない。
- 1位:桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜
- 2位:あつまれ どうぶつの森
- 3位:リングフィットアドベンチャー
- 4位:マリオカート8 デラックス
- 5位:ピクミン3 デラックス
「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルドの記事」の前日譚である「ゼルダ無双 厄災の黙示録」が11月にコーエーテクモゲームスから発売されたが、現在のところ(12月20日現在)累計27万で、ミリオンセラーが続出している任天堂ソフトと比べると大きな差がある。
掻き入れ時のクリスマスシーズンに有力ソフトが登場しなかった。任天堂のゲーム機というと任天堂制作のゲームが圧倒的に売れて、ハードの売り上げを引っ張っていくのが基本路線だが、来年以降も2月に「スーパーマリオ 3Dワールド」のリニューアル版が予定されているだけで、任天堂発の有力ゲーム発売は予定されていない。
Wiiはハードが売れても新作ソフトの発売が続かず、人気が失速した。今でもハードが売れているSwitchはWiiの轍を踏まないと思いたいが、人気ソフトが増えないとWiiのように失速する危険もある。
買えないPS5
今年はPS5が発売されたが、1番の話題は入手しづらいことだった。欲しいのに抽選で何度も外れた怨嗟がSNSを埋めた。国内のPS5の売上は約25万台。この数字はPS4よりかなり少なく、高価で不発に終わったPS3に近い販売推移だ。
PS5の人気がないわけではなく、日本国内に割り当てられた台数が少ないのだ。その証拠にアメリカでは累計150万台を売り上げたといわれており、SIEのアメリカ市場偏重の政策が見て取れる。
お膝元の日本での割り当てが少ないのは日本市場の小ささが影響している。全世界のゲーム市場で日本のシェアは10%程度だ。さらに据え置き機の売上は日本では芳しくない。家が狭くテレビの台数が少ないので、ポータブル機が人気なのだ。
アメリカではeスポーツ需要もあり、据え置き機の人気はまだまだ健在だ。PS5は性能の割りに価格も抑えているので、生産さえ追いつけば売れる可能性は高い。
ただ、日本市場で絶好調のSwitchに並んで売っていくためには、ゲーム開発会社が開発したいと思えるほどにハードが売れる必要がある。もともと洋ゲーが強いPS5だが、日本での販売台数が伸びないと、洋ゲー偏重の流れが加速し、国内ではXBOXと似たようなポジションに落ちる可能性もある。
来年以降、国内でPS5がどのように売られていくか注目である。
Switch一強体制が続くのか? それとも第3の流れが生まれるのか?
今年のゲーム業界はコロナ禍でSwitchの独壇場だった。ただ、見てきたようにSwitchも今後の有力ソフトが見当たらない弱点もある。ひょっとするとコロナ禍でゲーム開発が遅れているのかもしれない。任天堂は各国のスタジオと連携してゲームを制作している。出張ができないためにコミュニケーションが取りづらく、開発に影響が出ている可能性もある。
PS5は、全世界では今のところ堅調だが、国内での販売台数の少なさは気になる。来年以降、販売台数が伸ばせるか、またSwitchの「どうぶつの森」のようなキラーコンテンツを生みせるか。
Switch、PS5とも懸念材料がある。その間隙をついて、第3のゲームが流行することが来年あるかもしれない。まだ一般化していないがGoogleやAppleのストリーミングゲームが流行るかもしれないし、世界市場ではXBOX、また次期Apple TVはゲーム機に近い形で登場するという噂もある。
ゲーム市場は、外でエンターテイメントを消費できない現代、大きな成長要素をを含んだ市場だ。来年以降もゲーム機業界の動きに注目したい。