縮小する日本
コロナ禍で、日本がどんどん小さくなっている。ドル換算の名目GDPでは、日本以外の多くの国が伸びているのに対して、日本だけ減少している。
今年になって円安も進んでいる。通貨価値の下落は国力の低下を意味することが多い。
それでも、日本のGDPはまだ世界2位だから大丈夫という人もいるだろうけど、今の日本経済は図体は大きいけど、稼げない老舗企業みたいになっている。企業規模が大きくても業績が悪ければ倒産するのは、日本航空やその他の巨大企業で見てきたはずだ。
経済に詳しい人は、それでも日本の経常収支はプラスなのだから、日本は「倒産」しないと思うかもしれない。日本の経常収支の内訳を見ると、直接投資収益が大きく、日本企業が海外での生産活動で大きく利益を得ているのがわかる。日本企業であれば、日本の税収には寄与するが、従業員採用のほとんどが海外なので、日本の労働環境の改善にはほとんど寄与しない。
経済は相対的なものだ。日本が黒字だとしても、成長率が各国より劣れば、日本の国力は相対的に衰えていることになる。
将来の見通しも暗い。今後80年で、日本の人口はマイナス40%とほぼ半減する。人口減少している先進国は多いが、G8で日本は最大の下落率だ。人口が減れば、市場は縮み、国内企業の業績は悪化する。
経済予測にはいろいろな見方があるが、見てきたように日本の将来には悲観的なデータが多い。しかもコロナ禍で、先進国の中でも日本は最も自粛期間が長くなっている。欧米ではオミクロン株が流行中なのに経済活動を正常化させているのに、日本は自粛を余儀なくされている。国民性といえばそれまでだが、経済活動の観点からすれば、間違いなくマイナスだ。
コロナ禍で婚姻率も低下していて少子化も進んでおり、少子高齢化は過去の統計より加速している可能性が高い。
そんな日本に生きている日本人は、今後どうすれば良いか考えてみます。
日本がダメなら海外で働く?
日本経済がダメなら、さっさと日本を脱出して海外で働けば良いと思う人はいるだろうけど、ちょっと考えてほしい。多くの日本人は海外で働くには多くのハンディがある。まずは言語。ネイティブ並みに外国語が話せる日本人は少数だろうし、言葉だけではなく海外の慣習に不慣れな日本人の方が圧倒的に多い。たとえ海外に慣れて、英語が堪能だとしても、海外で働く日本人が現地の人より優位なわけではなく、やっとスタートラインに立てただけだ。いや、どんな国でも海外の人より現地の雇用を優先する。よほど優秀でなければ、現地で良い仕事にありつけない。
それよりも、海外に進出している日本企業へ就職した方が、良い待遇を得られる可能性が高い。ファーストリテイリングや多くの製造業が海外へ進出している。国内市場にあまり依存していない日本企業で働く方が、日本人としての特性を活かすことができる。
または、日本国内に進出している外資系企業で働くのも手だ。国内にいながらグローバルビジネスを学ぶことができるし、海外へ転勤や転職する道も開ける。ただ、日本経済が縮小した時に外資系企業は日本から早々に撤退することがあり得る。最近でも、エディバウアーなどアパレル企業が日本から撤退している。今が黒字でも将来性がなければ、外資系企業はさっさと撤退してしまう。
海外へ投資
そうは言っても、海外進出している企業や外資系企業に全員が就職できるわけではない。そういう人が日本にいながらできるのが、海外投資だ。海外の株や債権、不動産を購入することで、日本の低成長にあまり依存することなく、日本にいながら海外の成長の恩恵にあやかることができる。今はウクライナ情勢やインフレによりアメリカの株価は不安定だが、長期的視点で見ると米国株は一貫して伸びている。
一企業ではなく、インデックス投資、長期投資、分散投資、ドルコスト平均法など、基本的な投資法を学ぶだけである程度の成績が出せるはずだ。
日本企業に勤務しているなら、日本市場へ投資するよりも海外へ投資した方がリスクヘッジになる。日本市場へ投資すると、日本経済が悪化すれば自分の給料が危うくなるし国内市況も悪化すれば共倒れになる。
副業のすすめ
ここ数年、副業をすすめる記事をよく見かける。副業があると収入が増えるだけではなく、リスクヘッジになる。国が縮小するとき、経済は不安定になり、どの企業・業界が沈むか予測するのは非常に難しい。自分が勤めている企業・業界がいつ沈むかわからない。複数の収入があることで、自信にもなるし、本業がダメになっても生き残れる。
現実を見据えて
マクロ経済は個人ではどうすることもできない。個人がどんなに頑張っても日本の人口が増えるわけではないし、日本経済が成長するわけでもない。
我々ができることは、現実を見据えて、できる限りの対策を取ることだけだ。現実を冷静に観察して賢く生きよう。