LINEが対応策を発表
LINEの一部データが韓国にあることが明示されていないことと、中国人技術者が個人情報にアクセスできることが問題となっていたが、LINEが会見し対応策を発表した。
詳細を見てみます。
国内にデータ移管
問題になっていた2点について対処した。中国からのアクセスと業務を終了し、韓国サーバにあるトークデータを国内移転することを決めた。
韓国にあったLINEの動画や画像やLINE Payの決済情報を21年9月までに日本へ移転する。
世論に押し切られたLINE
今回問題となった運用は違法と認定されたわけではない。データの保管場所を明示しなかったことは個人情報保護委員会の要求とは異なるが、違法行為とまではされていない。
個人情報が海外にあることも、中国人技術者が個人情報がアクセスできるのも適法だ。
しかし、中国政府は中国の現地企業に情報提供を要求することが可能で、日本人の個人情報が中国政府に流出する危険性はある。韓国にデータがあるからといって現状何か問題が発生することはないと思うが、国防上避けたいという世論に押された結果、LINEはデータの国内移転を決めた。
世論の圧力だけではなく政府・行政からのプレッシャーも大きかったのだろう。LINEは行政サービスに使われるケースが多かった。個人情報の国外流出の可能性が少しでもあれば行政はLINEから手を引かざるを得ず、業務でのLINEの使用を停止する動きも出ている。そうした流れを断ち切るためにLINEはデータの国内移転を発表せざるを得なかった。
本当の問題は露見しなかったこと
本当の問題は今までこの状況が露見しなかったことだ。現状の国内情勢に鑑みれば、海外に国民の個人情報が保存されていることが発覚すれば問題になることは分かりそうなものだ。
しかし元々韓国企業であるLINEにとっては韓国に一部データが保管することは普通な行為だし、それを咎める社員もいなかったのか上層部の判断で続行されていた(経営陣が今回問題になった運用を知らなかったすれば、それはそれで問題だ)。
ヤフーとの統合に関係する議論の過程で今回問題になった運用が発覚し、報道に押される形で対応策の発表となった。
LINEだけでは今までの運用を問題視することがなかったし、ヤフーとの統合がなければ発覚することもなかったわけだ。
繰り返しになるが、LINEの運用は違法行為と認定されていない。だが、一般の人が懸念する個人情報管理に対して慎重であるべきだったし、第三者のチェックを入れるべきだった。
LINEはベンチャー的雰囲気を持ちながら急成長した企業だ。ヤフーとの統合で、LINEは良くも悪くも「普通の企業」になっていくと思われる。