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メタバースが成功するために必要な3つの条件とは?

メタバースに注力する企業

メタバースという仮想空間にFacebook改めMetaだけではなく、多くの企業が参入を計画している。マイクロソフトは自社のビデオ会議ツール「Teams」をメタバースに対応すると発表した。アクセンチュアは、従業員研修をメタバースで行なう取り組みむつもりだ。

このメタバース、企業が顧客の気をひくためのバズワードっぽいし、仮想空間はかの有名なセカンドライフなど過去にもたくさんのサービスが現れては消えていった。メタバースも一年後には誰もその言葉を口にしていないし、何なら意味を忘れてしまっているかもしれない。

現時点でメタバースが成功するかどうかに賭けるなら失敗する方に賭けるだろう。

でも、いくつかの条件が揃えば、メタバースが成功する可能性もある。その条件を考えてみます。

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改良されたスマートグラス

普通のウェブではなく、メタバース(仮想空間)にアクセスするメリットは、自分の部屋にいながら別の場所にいるような感覚がして、その世界で対面で人に会えたり、街を歩いて買い物したりすることだ。通常のネット世界では、スマホやPCの画面を見ているだけだが、視覚、聴覚そして触覚でその場にいるような感覚に没入できるので、より深く人と交流できる。

メタバース世界に入り込むためには、「画面」ではなく「VR」が必要だ。VRの視覚部分はVRゴーグルが現状は担っているが、一般の人に海に潜るゴーグルみたいなものを常用するのは無理がある。

そこで、各社がVRゴーグルより軽量なスマートグラスを開発している。メガネ型なら長時間使用できるし、外出先でもメタバース世界に没入できる。

スマートグラスの課題のひとつはバッテリーだ。重量が重くなると耳と鼻に負担がかかる。軽量にするためにはバッテリー容量を減らさなければいけないので、駆動時間は短くなってしまう。

もうひとつの課題は没入感だ。メタバース世界に没入するには前面だけではなく、視覚全体を覆う映像が必要だ。スマートグラスで実現するためには側面も覆ってしまう必要があるので、そうなると外観がVRゴーグルに近づいてしまう。

この2つの課題をクリアして、一般ユーザーにとってもスマートグラスが気軽に長期間没入できるデバイスになることがメタバースの成功に不可欠だ。

キラーコンテンツ

メタバースが成功するためには、キラーコンテンツの登場が待たれる。メタバースしかできないことが実現できるようになって初めて一般ユーザーがメタバースを使う意味が生まれる。

古い話でいえばVHSが流行った背景にはアダルトビデオの流通があったと言われる。Nintendo Switchが爆発的にヒットしたのはコロナ禍の「どうぶつの森」 ブームがあったからだ。

同様にメタバースしかできないキラーコンテンツの開発が必要だ。アダルト系は強いが、現代世界では訴求しづらいし、男性ユーザーに偏ってしまう。スマホが登場して以降、ITデバイスのユーザーは男女が半々だ。男性だけにうけてもブームとはならない。

テレワークが流行りZOOMが成功したように、ヴァーチャル空間での会議や、洋服の試着などに注目が集まれば、メタバースに参加することも一般化してくる。ユーザーが増えれば、新たなサービスが次々と生まれるはずだ。

デファクトスタンダードの登場

今のところメタバースのサービスは乱立している。メタ以外にも多くの企業が独自のメタバースのサービスを構築しようとしている。

スマートフォンはiPhoneとAndroid以外の企業は撤退したが、これはAppleとGoogleがスマートフォンのOSを先行して開発したからだ。MicrosoftやAmazonがスマートフォン市場に参入を試みたが、iOSとAndroidに敵わなかったのは、先行した両社の開発が優れていたにほかならない。OSの開発は多大なコストと時間がかかるが、そのため一度人気が集まると他社が後から参入しづらい。

メタバースはスマホと違いOSに依存しないサービスだ。メタは独自OSを持っておらず、FacebookやInstagramなどのサービスの会社だ。どのプラットフォームでもサービスが稼働することでユーザーを集めてきた。

メタはメタバースのプラットフォームを構築、運営しようとしているが、現状は他の企業が参入する余地は多分にある。

メタではなくても良いが、どこかの企業が運営するメタバースに人気が集中し、ユーザー数が増えることが大事だ。デファクトスタンダードになったメタバースには他のサービスも集まる。他の企業も参入しやすくなるし、メタバース進出のノウハウも蓄積されていく。その新しいサービスを目当てに新しいユーザーが集まる相乗効果が生まれる。

どの条件も必要

スマートグラス、キラーコンテンツ、デファクトスタンダード、メタバースが成功するにはどれも必要だ。どれかが欠けても、ユーザー・企業は集まらず、成功は難しいだろう。

もうひとつ大事なのは時期だ。メタバースがバズワード化しているが、現状は成功の3条件が揃っているとは言い難い。

そのうちメタバースというワードが陳腐化してくる。5年後に3条件が揃っても、その頃にはまた別のワード・技術に注目が集まっているに違いない。

メタバースにとっては来年2022年が正念場になると思う。

IT関連のブログをほぼ毎日更新していますが、本業は小説家です。
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