携帯2年契約の解約料の上限を1000円に?
携帯電話のキャリアと2年契約を結び、途中で解約する場合は9,500円かかる。これは大手3キャリア全て同額だ(この時点で競争原理が働いていないが)。
この解約料の上限が1,000円になると日経新聞などが報じた。
総務省曰く「まだ議論中で決まっていない」ということだが、ユーザーが他のキャリアに移行しやすくすることでキャリア間の価格競争を行わせて、通信料金を値下げしたい総務省の意向があるので、上限が定められ解約料が安くなることは確実だろう。
「既存のビジネスモデルを崩壊させる」「お上がそこまで口出しするのか」「新しい料金プランを発表したばかりなのに、また違うプランを作らないといけない」など、いろいろな意見が出てきている。どれも、ごもっともだ。
ここで、ユーザー視点からあえてポジティブにこの値下げ方針を考えてみます。
ユーザーの選択肢を増やす
解約料が値下げされれば、ユーザーは今よりも自由にキャリアを選ぶことができる。安いプランがあれば移行できるし、自分の生活パターンが変わったら、それに合わせてプランを選ぶことができる。
たとえばサラリーマン時代は昼休みも高速な回線が必要で大手キャリアと契約していたが、フリーランスになれば昼休みは重要ではないので格安キャリアを選びたくなる。
そういったときに解約料が高額だと、格安キャリアへ移行しづらい。
キャリアへ値下げを促す
「携帯電話料金は4割安くなる」という官房長官のプレッシャーもあり、ドコモとauが新しい料金プランを発表したが、4割安くなるユーザーはごくわずか。民間企業として当たり前だが、大手キャリアは売上と利益が下がりづらいプランを考えてきた。
携帯電話の購入とセットの長期契約が禁止されたので、新しい囲い込みとして「家族契約」を持ち出してきた。
「4割安くした」と言うなら、普通に同じギガ同士で40%安くすればわかりやすいのに、そうなっていない。3代キャリアの株価を見てもわかるとおり、市場も売上・利益が大幅に下がらないと見越している。
高い料金プランを大手キャリアが維持するなら、格安キャリアを選べば良いという話になるが、MVNOは名前の通り、大手キャリアの回線を借りているので、高品質で格安の通信を提供できるわけではない。それができているのは大手キャリアのセカンドキャリアというべきUQ Mobileとワイモバイルぐらいだろう。
ここで登場するのが楽天である。2019年10月より楽天が携帯電話事業に新規参入する。レガシーの施設を持たず、仮想化した設備で運営することでコストを大幅に下げられるとしている。
料金プランはまだ発表されていないが、安くなければ移行するユーザーは限定されるので、既存の大手キャリアより大幅に安い料金プランが予想される。
今回の解約料金の上限を定める話の裏には、この楽天参入があると思われる。どんなに圧力をかけても値下げをのらりくらりと回避する大手キャリアに業を煮やした政府が、新しいキャリアができる10月を千載一遇の好機と捉えて、更に大きなプレッシャーを大手キャリアに掛ける手段にでたのだ。
「これで料金を値下げしないのであれば、ユーザーは楽天に移行するけど、それでもいいのか?」と総務省が大手キャリアを脅しているわけだ。
ユーザーからしたら、料金が安くなるのは大歓迎なので、どんどんやってほしい(楽天の回線品質がどうなるかは注視が必要だが)。
結局ユーザーが決める携帯電話料金
政府主導で値下げが行われる事態になっているが、値下げされないひとつの要因はユーザーにもある。昔からの習慣でキャリアを変えずに高額な通信料金を払い続けてるユーザーが多ければ、キャリアは値下げをする必要がない。
既存プランでも契約満了時に移行することはできるのに、しない(契約満了時がわかりづらい、移行可能期間が短い問題もあったが)。
これではユーザーが舐められても仕方がない。携帯電話料金は家計の大きな支出になっている家庭も少なくないだろう。ユーザーももっと学習して、自分に合った料金プランに移行する努力は必要だ。