1.4%増加したパソコン出荷台数
今年の第二四半期(2018年4月から6月)の全世界のパソコン出荷台数が前年より1.4%増加したとガートナーが調査結果を発表した。
引用:Gatner
2020年のWindows 7サポート期間切れが近づいてきたので法人需要が伸びたと言うが、どこまで影響があったのだろうか。日本ではWindows XPのサポート切れの需要は一時期高まったが、他国ではそれほどでもなかった。
そもそも伸び率は前年比1.4%で、大きな上昇ではなく、昨年まで6年連続減少傾向にある。背景には、もちろんスマートフォンの隆盛がある。昨年のパソコン出荷台数が2億6000万台に対して、スマートフォンは約6倍の15万台。
ガートナーの予測でも、今後のパソコンの出荷台数は横ばいと予測している。
寡占化が長期低迷の原因
スマートフォン以外にもパソコン販売の長期低迷の理由は寡占化にもある。Lenovo、HP、Dellの上位3社が世界パソコンシェアの約60%を占める。この3社は、10年間ずっと上位を維持している。
インテルなどからパーツ購入して組み立て販売するパソコンは薄利多売であまり儲からない商売だが、シェアを維持できるならある程度の売上と利益が見込める。
利益が低ければ、新たな投資も難しく、現状維持に走らざるを得ず、イノベーションを起こしづらい。パソコンが長らく新基軸を打ち出せていない背景には薄利多売と寡占化がある。
Microsoftが、Surface Goのような斬新なパソコンを開発しなければならないのは、WindowsパソコンをリードするMicrosoftがイノベーションを起こさないと、硬直化したパソコン市場に風穴が開かないからだ。
一方でMicrosoftは、Microsoftなりの制約があり、日本でのSurface Goの販売価格が高額になるなど、市場を変えるほどのインパクトをだせていない。
パソコン市場はすでに30年の歴史がある。シェアも仕様も硬直化し、既得権益により大幅な変革は極めて起きづらい環境にある。
スマートフォンが浸透した現代で家庭用パソコンが急激に増加することは、もはやないと思う。ビジネス用パソコンは文房具と同様しばらく使われるだろう。
オフコン再来
十年後のパソコンはパーソナルコンピュータではなく、オフィスコンピュータ、オフコンと呼ばれているかもしれない。言うまでもなく、オフコンはパソコンが登場する前に使われていた事務用の小型コンピュータの名称で、メインフレームの端末だった。
歴史は繰り返すと言うが、コンピュータが再び業務用に特化しても、僕らにはスマートフォンがある。スマートフォンこそが、真のパーソナルコンピュータなのかもしれない。