QRコード決済多すぎる問題
PayPayやLINE Pay、メルペイに楽天ペイ、乱立するQRコード決済。すべてのサービスを知って使っている人はいないだろう。
7月1日から、セブン&アイホールディンググループが新しいQRコード決済「7Pay」を始める。同時に、今までQRコード決済ができなかったセブンイレブンで、PayPayなどのサービスも利用できる。
7月11日からは、PayPay、LINE Pay、メルペイが3社合同のキャンペーンを開始する。期間中にセブンイレブンで3社のサービスを利用すると利用額の20%還元してくれる。
ライバルである3社が合同でキャンペーンを行うのは初めて。なぜ合同キャンペーンを行うのか。それだけセブンイレブンが魅力的なのだろう。セブンイレブンは日本最大の小売店舗の売上を誇り、店舗数も最大だ。そこでの利用が定着すれば、QRコード決済のデファクトスタンダードになれる。
推測だけど、3社合同キャンペーンを行うことになったのは、セブンイレブンがQRコード決済をはじめるときいて、3社ともセブンイレブンに打診したからだろう。
直近の調査はないが、この3社と楽天ペイを合わせた4強が、おそらく現在日本でシェアを握っているサービスと思われる。ユーザー数では最も多いと思われる楽天ペイに追従するために、3社が協力したともいえる。
4社のサービスのメリット・デメリットを比較してみました。
楽天ペイ
楽天が運営するサービス。開始が早かったのと、日本最大の通販サイト「楽天」の会員が利用できるので、現在トップシェアを誇る。
強み
- 楽天スーパーポイントが使える
- クレジットカード払いができる
弱み
- 銀行からのチャージはできない
楽天ペイは、クレジットカードの代替として利用して、ネット通販で貯まる楽天スーパーポイントをリアル店舗で利用する意味合いが強い。ざっくりいうと、ネットの楽天サイトと同様にリアル店舗で買い物ができるのが楽天ペイの一番のメリットだ。
チャージはできないので、クレカがないと利用しづらい。これは同じ楽天グループが運営する楽天Edyがあるからだと思われる。楽天Edyは国内最大の非接触型決済サービスであり(交通カードを除く)、楽天グループ内の電子マネーとしては楽天ペイのほうが後発だ。今後は統合するかもしれないが、決済方法も異なるので、現状はまだできていない。
先発なので利用できる店舗も比較的多い。
PayPay
100億円キャンペーンで一気に有名になったPayPay。
強み
- 銀行口座からのチャージが可能
- クレジットカード払いができる
- 使える実店舗が多い。特に個人営業
弱み
- 三菱UFJ銀行や一部の地方銀行などチャージできない銀行がある
PayPayは、銀行口座からのチャージ、クレジットカードと多彩な支払い方法が選べる。一番の強みは使える店舗数の多さ。特に個人経営の飲食店では、他のサービスと比較して感覚的には圧倒的に多い。ソフトバンクグループが擁する営業パワーで、今まで決済端末が高価で導入できなかった店舗にもPayPayを導入させている。
銀行からのチャージができるのはよいが、三菱UFJ銀行や一部の地方銀行からのチャージができないのが弱点(LINE Payは三菱UFJ銀行でチャージができる)。代わりにクレジットカードでは使えるが、還元率は低い。PayPayがほぼ毎月行うキャンペーンだと、クレジットカード払いだと0.5%だが、チャージ額からの支払いでは20%。大きな違いがある。
クレジットカードからのチャージはヤフーカードでしかできない。チャージできる銀行に口座がなく、ヤフーカードをもっていなければPayPayにチャージできないのだ。コンビニでYahooマネー経由のチャージは可能だが、少々面倒。
LINE Pay
メッセージアプリの最大手LINEが運営するLINE Pay。
強み
- 銀行口座・コンビニでのチャージが可能
- 潜在ユーザー数が多い
弱み
- クレジットカード払いができない
- LINE Payカードを作る必要がある
多くの銀行・コンビニでチャージできるので、使いやすい。ただ、LINE Payの本質はチャージ式のプリペイドカードなので、クレジットカード払いができない。チャージしないと利用できないので、常に残高を気にする必要がある。
ただ、LINEユーザーは圧倒的に多いので、このユーザー全員がLINE Payを利用すればデファクトスタンダードになる可能性もある。
メルペイ
70%支払い還元などで、今年になって急速に台頭してきたメルペイ。フリマアプリで国内最大手のメルカリが運営している。
強み
- iD払いができる
- 銀行口座からのチャージができる
- メルカリの売上から支払える
- あと払いができる
弱み
- クレジットカード払いはできない
- ポイント還元がない
メルペイは、他のQRコード決済とは異なり、iD払いができる。後発のメルペイが他社へ追いつくために、QRコード決済だけではなく、既存のiDと連携する必要があったと思われる。マクドナルドなどQRコード決済を導入していない店舗でも利用できるのは大きい。
iDなどでApple Payとして非接触型決済も可能だから、わざわざアプリを起動してQRコードを提示したり、スキャンしたりする必要がない。
銀行口座からのチャージもできるので、メルカリで販売していないユーザーでも利用できる。
一方で、クレジットカード払いはできない。メリカリは、巨大なメルカリ市場を背景に新しい「マネー」としてメルペイを流通させようとしている。お金がなくてもメルカリで売買ができ、その売上がリアル店舗でも利用できる世界がメルカリの目指すところだろう。
ただ、「お金」だからなのか基本的にポイント還元がない。メルペイで支払ってもメリットが無いのだ。
まとめ:ひとつ選ぶならPayPayか
どのサービスが良いかは、ユーザーが利用している銀行口座、クレジットカードの有無によっても異なるので簡単に断言できないが、PayPayが一番使いやすいと思う。対応している銀行口座をもっていればチャージできるし、なくてもクレジットカード払いも可能だ。
クレジットカードが使えなかった個人経営の店舗への導入が多いのも大きなアドバンテージだ。
まずはPayPayを利用してみて、気に入ったキャンペーンがあれば、そのサービスを利用してみるのが良いかもしれない。