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楽天の2020年度Q4決算は赤字。モバイル事業はいつ黒字になるのか?

増収減益

楽天の2020年度Q4決算は売上が前年同期比プラス15%、営業利益が前年同期比でマイナス1978億円の赤字決算だった。コロナ禍とGOTOキャンペーンで主力のEC事業と旅行部門が伸びたが、携帯電話事業への投資の影響で大幅な赤字となった。

本業では黒字なので、携帯電話事業が足を引っ張っている状況だ。携帯電話事業が黒字になるのか考えてみます。

 増える損失額

グラフを見ても分かるとおり営業損失額は毎期増え続けている。自社回線を増設するためのインフラ工事に費用がかかる一方で、1年間無料キャンペーンを実施しているので、通信費の売上はほとんどない(過去の楽天モバイル契約は除く)。

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 1GB未満無料プランの発表もあり、契約者数は増えていて2月8日時点で250万を突破したそうだ。

ただ、日本の携帯電話の契約者数は1億9000万件で、シェアトップであるNTTドコモの契約者数は8000万を超える。これにはビジネス用途やカーナビなどの組み込み型も含まれるが、3大キャリアと比較して楽天モバイルの契約者数が相当少ないことがわかる。

MVNO全体の契約者数は2560万なので、楽天の契約者数はMVNOの10%ぐらいでしかない。

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機器の増設に伴い、楽天回線の通信エリアは広がっていて、現在の人口カバー率は約75%。ただ、この地図を見てもわかる通り、ほぼ都市圏に限られる。

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今後さらに基地局を増やしていき、今年の夏までには人口カバー率96%まで持っていく計画だが、人口カバー率が96%まで到達しても、屋内や地下鉄、キャンプ場などの郊外レジャー施設でも切れずに繋がるかというと疑問だ。

すでに開通ずみとなっているエリアでも、プラチナバンド持たない楽天回線は屋内など電波が通りづらい場所では通信しづらい状況が続いている。

楽天自身もプラチナバンドがないと解消できないと認識しており、総務省へ陳情をしている。

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通信エリアが広がらなければ契約者数も増えないわけなので、投資は必要だが、投資した資金を回収できるかどうかが事業を継続できるかのポイントだ。

楽天モバイルはMNOなので、3大キャリアと同程度の基地局を保有しなければいけない。仮想化などでコストを抑えていると楽天は言っているが、全体で1兆円を超える設備投資になりそうだ。

しかもこれは4Gの話で、5Gはまだほとんど手付かずだ。楽天は4Gが使えれば5Gも使えると初期の頃は言っていたが、現状5Gが使えるのは東京の極一部のエリアだけだ。

3大キャリアで契約者数が最も少ないソフトバンクで4500万。いくら仮想化でコストが抑えられると言っても初期投資がかかる現状では楽天モバイルが黒字になるには、少なくても2000万契約は必要だと思われる。

もちろんそれは無料の1GB未満のユーザーではなく、普通に使ってお金を払ってもらえるユーザーが2000万人必要だ。普通に考えれば、それは相当難しい。1GB未満無料で料金プランでは3大キャリアに差をつけたが、ahamoなどで値下げしてきた3大キャリアにとどまるユーザーも多いと予想される。三大キャリアもテレビCMを盛んに打って、ahamoなどの新しいサービスへ誘導しようとしている。

ahamoよりも安いのは20GB以下の話で、20GBを超えると楽天モバイルとahamoの価格は2980円と変わらない(通話料金が無料かどうかの違いはある)。5G時代になれば通信量が増えるのは間違いなく、昨年まで楽天が主張していたように無制限での利用が当たり前になる時代が来ると、楽天モバイルの価格優位性は現状よりも小さくなる。

また、楽天モバイルはahamoとは異なり実店舗のコストも乗ってくる。

楽天経済圏が広がれば良い?

以上、見てきたように楽天モバイルが黒字になるのは相当難しいと言わざるを得ない。

それでも楽天が携帯電話事業を行うメリットは、楽天経済圏の拡大にあると思われる。楽天モバイルと契約するためには楽天のアカウントが必要だ。アカウントを持つことでDMなどを送信できるし、楽天市場、楽天トラベルなどへの誘導が可能になる。

現に楽天では楽天モバイル経由での売上が伸びているという。

だが、ドコモやauもショッピングサイトを運営しているが、そこまでの相乗効果は出ていない。携帯電話と契約したからといってその事業者のショッピングサイトへ行く人がどれだけいるか不透明だ。

携帯電話事業単体では黒字にならないから言い出した方便のように聞こえる。

ただ、楽天が携帯電話事業に参入したおかげで、事業者間の競争が激しくなり、ahamoなど携帯電話料金の値下げが起きたのは事実だ。

色々課題はあるが、楽天モバイルにはこれからも携帯電話業界の台風の目として頑張ってほしい。

 
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