Rakuten MiniのBand問題
ここ数日、Rakuten Miniが密かに仕様変更をしていると話題になっていた。販売された端末のの中に公開された仕様と異なり、Band 1(2.1GHz帯)に繋がらない端末があると指摘されていた。
Bandとは対応周波数なので、対応Bandの数は携帯電話の性能を大きく左右する。多くのBandに対応すれば、より多くの回線に繋がることができる。モデルの途中で対応Bandを変更するのはかなり異例で、しかもその仕様変更を公開しないのは前代未聞だ。
楽天モバイルもその事実をようやく認め、5月以降のロット(製造番号351676110680487以降の端末)はBand 1が非対応で、Band 4(1.7GHz / 2.1GHz帯)とBand 5(850MHz帯)に対応したと発表した。
まとめると、こんな感じ。
- 5月以前のロット:○ Band 1 / ✖︎ Band 4 ・ Band 5
- 5月以降のロット:✖︎ Band 1 / ○ Band 4 ・ Band 5
楽天モバイルは、対応Bandを変更しても通常使用に問題ないとのことだ。確かに楽天回線はBand 3のみ、パートナー回線であるauはBand 18とBand 26のみに対応しているので、今回の仕様変更の影響はないとしている。
ドコモでは使えない可能性
今回の仕様変更は問題ないのだろうか。Band 1はドコモ回線が主に使用している周波数だ。Band 1に非対応だとドコモ回線での使用はかなり厳しい。ドコモは現在eSIMを提供していないので、eSIMしか使えないRakuten Miniでは直接使用できないが、MVNOのIIJが提供しているeSIMを利用すれば、Rakuten Miniをドコモ回線に繋げることはできるが、Band 1非対応のモデルだと接続に支障が出る可能性がある。
Band 1は国外でも利用されているので、海外ローミングに影響が出ることもあり得る。
Band 4とBand 5はアメリカで主に利用されているので、アメリカでの使用では以前のモデルよりも快適に利用できるはずではある。
仕様変更の理由は?
Band 4とBand 5に追加したのはわかるが、Band 1を外したのはなぜだろう。通信チップの仕様上、両方のBandに対応できなかったのだろうか。両Bandに対応した端末は存在するので、不可能ではないように思うが、Rakuten Miniの通信チップの仕様が分からないのでなんとも言えない。
穿った見方をすれば、Band 1に非対応にすることで、国内の他のキャリアでの利用を防いだとも言えてしまう。楽天モバイルは、現在一年間無料の回線と合わせてRakuten Miniを1円で販売している。楽天モバイルの端末販売は全てSIMフリーで解約手数料も発生しないので、一年間無料で楽天回線とau回線を毎月5GB使った後に契約を解除して、Rakuten Miniを別キャリアで利用することができてしまう。そうなると、楽天としては定価2万円のRakuten Miniを1円で買われただけになってしまうので、大幅な赤字だ。
とは言え、楽天モバイルは既存のキャリアの囲い込みを打破する名目で誕生したのでSIMロックをかけるわけにもいかず、窮余の選択としてBandの制限を加えたとも考えることができる。なぜなら、Bandの制限をかけた端末に切り替えた直後に端末の1円販売キャンペーンを始めているからだ。
当初の目標ほど楽天モバイルの契約者数が増えていないので、Rakuten Mini1円キャンペーンを急遽始めようとしたが、1年後の他キャリアへの流出を防ぐためにRakuten Miniの仕様を変更したともとれてしまう。
仕様変更を黙っていたのもよくない。1円とはいえ公開されているスペックを見て買ったら、別のスペックの端末が届いてしまうのだから。
どうしてこうなった?
今回の問題は、アメリカで利用できるようにしたとも取れるし、他キャリアへの流出を防いだととれてしまう。
どちらにせよ、仕様変更を公開しなかったのは、明らかなミスだ。
楽天モバイルはMVNOとしては携帯ビジネスを長く行ってるいるので、業界の慣習も理解してるはずなのに、この失態が起きたのは不思議で仕方がない。
第4のキャリアとして鳴り物入りでスタートした楽天だったが、回線の問題に加えて、今回は端末にも問題が出てしまった。スマートフォンが生活に深く浸透している現代、携帯キャリアは信頼が非常に重要だ。キャリアの都合や障害で回線が繋がらなくなってしまえば、生活に支障が出てしまう。ユーザーとしては、少し高くても安定した信頼あるキャリアと契約したい。
日本の携帯電話料金を下げるために楽天には信頼を築くような慎重な対応を期待したい。