ソニー決算は減収減益
ソニーの2019年決算は減収減益だった。売上は前年比マイナス5%、営業利益もマイナス5%。コロナウィルスの影響もあり苦しい決算となった。
ゲーム部門の決算内容について詳しくみていきます。
ゲーム&ネットワークサービス部門は減収減益
今やソニーの屋台骨となった「ゲーム&ネットワークサービス」分野の売上はマイナス14%、営業利益はマイナス24%と大幅減となった。
コロナの影響よりも、販売末期に差し掛かっているPS4の売上が落ちたことが大きい。
PS4の販売減少は、発売一年前にPS5のスペックを発表した影響もある。次期モデルの存在が見えてくれば現行モデルの買い控えが進むのは自明だ。もちろんソニーもそんなことは百も承知で発表した。早めに次期モデルを発表することでPS5を盛り上げ、PS4からPS5へうまく移管したい思惑がある。
ゲーム機ビジネスはモデルチェンジの時にシェアが変動することが多い。ゲーム機の世代交代が起きる度に、任天堂とソニーのシェアが入れ替わっている。現在はNitendo Switchがトップシェアを握っているが、PS4も大きなビジネスとなっている。PS5がスタートダッシュに失敗してシェアを失えば、ソニーの経営を揺るがす事態になる。それを防ぐために、販売末期のPS4の売上を犠牲にしてもPS5の立ち上げを優先したと思われる。
長い販売サイクルをもつゲーム機ビジネスは、販売末期に入るとハードウェアの売上がどうしても落ちる。落ち込みをカバーするために、日銭の収入がある定額ゲームサービス「PS Plus」のメリットは大きいが、ハードウェアの販売減少の方を埋めるまでには至らなかった。
値下げもあり得るPS5
注目のPS5は当初の予定通り、年末商戦に投入する見込みだ。コロナウィルスによる影響は多少出ているが、大幅な開発・製造遅延は起きていない。
コロナの影響が大きいのは供給側ではなく需給側だ。コロナにより景気が低迷すれば、購買意欲は減退する。年末のPS5の販売開始時に景気が回復していなければ、PS5の販売戦略にも悪影響がある。早めにスペックを発表してしまったので、大幅な販売延期は難しいだろう。せっかく盛り上げてきたPS5への期待が薄れるし、販売末期のPS4の売上はさらに減少するだろう。
初期の販売立ち上げに失敗したゲーム機が後から盛り返すのは非常に難しい。景気低迷のまま年末を迎えた場合、当初の想定よりも安い価格でPS5を販売しなければならない可能性もある。
厳しい選択を迫られるソニー
今のソニーにとってゲーム機ビジネスは最重要な分野なので、失敗は許されない。PS4からPS5へ安全にバトンを渡そうとスペックを早めに公開したが、そのために販売延期が難しい選択になってしまった。
ライバルのNintendo Switchは「巣ごもり需要」と「どうぶつの森」の販売タイミングがピッタリ一致して、メガヒットになっている。
年末に景気が低迷した状態なら、スタートダッシュを成功させるために安い価格で販売しなければならないかもしれない。